目次
1. マルベックとは?味わいや香り・呼び方などの特徴を解説

ワインの色が濃く、味わいも力強いことから「黒ワイン」とも呼ばれるマルベック。栽培地域によってはオーセロワやコットという別名(シノニム)でも知られている。若いうちから楽しめるワインになるが、長期熟成にも向いているブドウ品種だ。
ブドウの特徴
マルベックの果実は小粒で、果皮は厚く色が濃い。冷涼な気候に弱く、栽培は日照量の多い温暖な地域が向いている。また病気や害虫に弱い一面があり、過去には大きなダメージを受けてきた。
香り・味わい
マルベックのワインはブラックチェリーやラズベリー、プラムなどの果実や花のような華やかな香りに、皮や黒コショウといった印象も感じられる。味わいは渋みや酸味のバランスがとれておりリッチで、口当たりはスムーズだ。産地によっても味わいに違いがあり、フランスのカオールは力強い果実味のあるしっかりしたボディのワインを生む。アルゼンチンのマルベックは渋みがまろやかで、スミレのような香りに芳醇な果実味をもっている。
「マルベックの日」が存在する
マルベックには国際的に祝われる記念日がある。きっかけは1853年4月17日、アルゼンチンの一大ワイン産地となるメンドーサで農学研究所と農学学校の設立を求める法案が出されたことだ。それがアルゼンチンでマルベックを中心とするワイン産業発展のきっかけとなったとして、2011年に制定されたのが「マルベック・ワールド・デー」だ。それ以降、毎年4月17日はマルベックのワインを祝うイベントがアルゼンチンのみならず世界的に開催されている。
2. マルベックの名産地はどこ?産地ごとの違いや特徴も合わせて確認

マルベックの主要な産地はフランスの南西地方とアルゼンチンだ。とくにアルゼンチンでは主要品種として注目を集めている。
フランス
マルベックの原産地はフランスの南西地方で、カオールではマルベック単一のワインや主体としたワインがつくられている。カオールではマルベックがよく熟して濃い色合いのワインとなるため「黒ワイン」ともよばれてきた。またボルドーでも18世紀に移植されてから広く栽培されていたが、病害虫の被害や気候による影響を受けやすいため次第に栽培面積は減っていき、現在では補助品種として栽培される程度にとどまっている。
アルゼンチン
マルベックはフランスからアルゼンチンにもたらされ、現在では最も多く栽培される産地となっている。とくに南アメリカ最大のブドウ生産量を誇るクージョ地方(中央部)に位置するメンドーサは、世界で最も優れたマルベックを生むと評価されるほどだ。国を代表する品種として高品質なマルベックのワインが生産されている。
3. マルベックに合う料理は?おすすめの飲み方と合わせて確認

マルベックに合わせたい料理を産地ごとに紹介しよう。ワインを飲むときは温度やグラスも味わいを左右するポイントとなる。
相性のよい料理
マルベックのワインはぜひ肉料理と合わせてみてほしい。フランスのカオールのワインには鴨肉のコンフィや仔羊のローストなどがおすすめだ。風味豊かなソーセージやブルーチーズなどもよいだろう。牛肉大国としても有名なアルゼンチンのマルベックは、肉に塩を擦り込んで炭火で焼く「アサード」という料理との相性がバツグンだ。また、味わいが軽やかなマルベックには和食のすき焼きや肉じゃがなどを気軽に合わせてみよう。
おすすめの飲み方
マルベックのワインの飲み頃の温度は16~18℃だ。赤ワインは冷やしすぎると渋みや酸味が強くなってしまうので注意が必要だが、室温よりは少し低めくらいの温度の方がバランスのよい味わいを楽しめるだろう。グラスはボウルの部分が大きめで、先がほどよくすぼまった形状のタイプがおすすめだ。
4. マルベックで造られたおすすめのワインは?

マルベックで造られたおすすめのワインを紹介する。気軽に肉料理に合わせられるワインを探しているときなどはぜひ参考にしてほしい。さまざまな産地のワインを飲み比べてみるのもよいだろう。
稲葉「カオール シャトー デュ セードル」
自然なワイン造りを心がける造り手。2つの異なる土壌で育ったマルベックがブレンドされており、カオールの魅力を存分に味わえる力強く深みのあるワインだ。完熟した果実の香りに、味わいは酸味と渋みのバランスがよくスパイシーさも感じられる。
ファインズ「カテナ マルベック」
カテナはアルゼンチンを代表するワイナリーだ。メンドーサの良質な畑で育ったマルベックのみを使って造られるフルボディで複雑な味わいの赤ワイン。すぐに飲んでも十分に楽しめるが、長期熟成のポテンシャルももっている。
エノテカ「モンテス・アルファ・マルベック」
チリで高品質ワインを生む先駆けとなったモンテスは、現在もトップワイナリーとして名を馳せている。このワインはマルベック主体で造られ、凝縮した果実味とやわらかな渋み、オーク樽のニュアンスも感じられるエレガントな味わいだ。
結論
フランス南西部原産のブドウ品種であるマルベックは、渋くかたいイメージをもたれることも多かったが、現在はパワフルながらもエレガントな味わいのワインを造る生産者も増えている。産地によっても違った表情をみせるので、マルベックで造られたワインを色々と試してみてはいかがだろうか。