1. シードルの度数はどれくらい?

シードルはどのようにして作られるかご存知だろうか。りんご果汁を使って作るのだが、製法に度数の秘密もある。まずはシードルの作り方と度数の関係性について紹介しよう。
シードルの度数はどれくらい?
シードルの度数はおおよそ2度から8度と幅があり、これは種類によって異なる。シードルの甘さは大きく3つに分けられ、ブリュット・ドゥミセック・ドゥの順に甘口になり、度数も低くなっていくのが一般的だ。そのためブリュットは比較的度数が高く8度に近いものがあり、ドゥの場合は2度程度のものもあるということだ。
シードルの度数の理由
シードルはどのように作られるだろうか。まずはりんごをきれいに洗って搾り、果汁を取る。そしてそのまま樽に入れ、酵母で発酵させるのだ。糖分も炭酸ガスも一切添加せず、りんご果汁に入った糖分だけを発酵させるのがシードルの特徴である。発酵によってアルコールと炭酸ガスが出るのだが、この際りんごの果汁の糖分がなくなるまで発酵させると辛口になり度数が高くなる。一方糖分を残すと甘口になる。シードルの度数は、発酵度合いによって変化するものなのである。
2. シードルの度数は他のお酒と比べて高い?

シードルの度数は2度から8度だと解説したが、これはビールや日本酒、ワインといったメジャーなお酒と比べて低いのだろうか、それとも高いのだろうか。他のお酒と度数を比較してみよう。
ビールとシードルの度数の違い
シードルもビールも2度から8度までのものが多く、ビールとシードルの度数は同じくらいといえる。ただしビールの中には12度などアルコール度数の高いものもある。バーレイワインと呼ばれ、大麦で作るワインのような味わいのビールがこれに相当する。ちなみに、シードルとビールはともに発泡性のお酒だが、シードルの中には微発泡または無炭酸のものもある。度数の似ているお酒同士ではあるが、もちろんさまざまな違いがある。
ワインとシードルの度数の違い
ワインはシードルよりも度数が高いものが多い。ワインの平均的なアルコール度数は10度から13度程度、最高で16度以上のものがある。12度以下のワインは一般的に低アルコールワインと呼ばれているようだ。ただし、モスカートというブドウで作った5度から7度程度のワインもある。シードルとワインを比較するとワインの方が度数が高いが、個々の商品を見ると一概にはいえないといえる。ちなみに赤ワインと比べると白ワインの方が度数が低いことが多いので、シードルに近い度数なのは白ワインといえるだろう。
日本酒とシードルの度数の違い
実は、日本酒は酵母が死滅していない限り発酵を続けるお酒で、酵母はアルコール度数が20度前後になると死滅してしまう。つまり、20度を超える日本酒はなかなかできないようになっている。酒税法上では、日本酒の条件に22度未満であることが設定されているが、中には46度と蒸留酒と変わらないほどの高アルコール度数の日本酒も稀にあるようだ。平均的にみれば、日本酒は15度から16度とシードルのおよそ倍の高いアルコール度数だということがわかった。
3. シードルの度数は銘柄によっても異なる?

シードルは作られる国や銘柄によって度数が違う。中には、味わいと度数が関係しないものもある。不思議なシードルの世界を紹介しよう。
国産シードルの度数
山形県で作られる朝日町ワイン「シードルセック」のアルコール度数は7度とシードルの中では高い。しかし味わいはやや甘口だ。一方アサヒビール「ニッカ シードル ドライ」は5度という低アルコールにもかかわらずやや辛口である。このように、度数が高いからといって必ずしも味わいが辛いというわけではなさそうだ。
海外シードルの度数
たとえばラトビアのアバヴァス「ブリュット」は8.5度と高めの度数で、ブリュットの名前が示す通り辛口である。一方フランスのヴァルドランス「ギルヴィック プレスティージュ・シードル」は2.5度と低いにもかかわらず中辛口である。ちなみに「ギルヴィック プレスティージュ・シードル」は青リンゴのシードルでさっぱりした味わいになるようだ。度数だけでなく使うりんごによっても味わいが変化するのがシードルの不思議なところでもあり、魅力ともいえるだろう。
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4. シードルにはノンアルコールもある?

ノンアルコールシードルはその名前が示す通りアルコールを含まないシードルだ。しかし本当にアルコールが入っていないのだろうか。最後にノンアルコールシードルについて紹介しよう。
ノンアルコールシードルとは?
その名の通り、シードルの味わいでありながらアルコールが一切入っていない飲み物がノンアルコールシードルだ。ノンアルコールなのに味わいはしっかりとシードルである。シーフードやクリームパスタ、スイーツ、フルーツなど、シードルを飲むときのようにおつまみを選んでもしっかりと相性がいいのが特徴だ。
ノンアルコールシードルの製法
基本的に、ノンアルコールシードルは搾ったりんご果汁を発酵させず、炭酸やバニラなどだけを加えたものが多い。糖分や保存料が無添加なものが多いのも特徴だ。こちらは妊婦や子どもでも飲めるようにと開発されている。一方、中にはシードルを低温低圧下でアルコールだけ除去したものもある。こちらも度数は0だが、元々お酒なので子どもは飲まない方がいいだろう。
結論
シードルは度数が低いお酒である。ワインや日本酒と比較しても全体的には度数が低いので、アルコールが苦手な人にもぴったりのお酒だ。度数の低さはりんごをそのまま発酵させるという製法に由来する。ただしいくら度数が低いとはいえアルコールが入っているので、アルコールが絶対に飲めない人はノンアルコールシードルをおすすめしよう。ノンアルコールでもしっかりりんごの味がして美味しいものである。