目次
1. ホップとは何?ビールと合わせて基本的な特徴を紹介

はじめに、ホップとは一体どのようなものなのか、基本的な特徴から解説する。また、ホップがビールにもたらす重要な役割や、その豊富な種類についても加え、じっくりと紹介していこう。
ホップとは
ホップとは、ビールの主原料となるアサ科の植物のことを指す。日本ではカラハナソウとも呼ばれている。受粉前の雌株はまつぼっくりに似たような形をしていることが特徴で、その雌株が持つ毬花(きゅうか)と呼ばれる部分がビール造りに用いられるのだ。
ホップがビールにもたらす役割とは
ホップがビールにもたらす役割は、大きく4つに分けられる。まず「ビールに欠かせない苦みを加える」こと、次に「ビールに香りを与える」こと、そして「ビールの泡持ちをよくさせる」ことに加え、「ビールの雑菌の繁殖を防ぐ」という効果もある。これら4つの役割は、前述したホップの雌株の毬花を割ると出てくる、ルプリンという黄色の粉が持つ成分によって果たされていることも覚えておきたい。
ホップの種類をチェック
ホップは、主に北半球の穏やかな気候の地域で栽培されている。これらの地域はホップベルトとも呼ばれ、栽培されているホップの種類の総数は100種類以上にも及ぶという。代表的な種類をいくつか挙げると、やさしい香りと上品な味わいが特徴のファインアロマホップを代表するチェコ産の「ザーツ」、ファインアロマホップに比べてより強い香りが特徴のアロマホップを代表するアメリカ産の「カスケード」。そして、とくに力強い苦みが特徴のビターホップを代表するドイツ産の「マグナム」などがある。また近年は、ホップの多様化と技術の進歩が進んだこともあり、より個性的な香りを持つ品種も登場している。サッポロビールが開発した「ソラチエース」は、松やヒノキといった、和の香りを持つことが特徴だ。このように、使用されるホップによってビールの味わいは大きく変わるのである。
2. ビールのホップにはどんな効能がある?

本項では、ビールのホップの持つ効能について解説しよう。ビールを飲むほどに健康効果に期待ができるわけではないが、実際にホップには、身体にうれしいさまざまな効能があるという研究結果が発表されている。適量を飲み、美味しく健康にビールを楽しんでもらいたい。
ホップの持つ効能とは
ホップの持つ効能は、ひとつではない。実際にヨーロッパ圏では、ホップはハーブの一種として、生薬としても用いられているのだ。(※1)まず、ホップ由来のビールの成分には、アルツハイマー病や認知症の予防にも期待が持てるという研究結果が発表されている。(※2)ホップの苦み成分であるイソアルファ酸が、認知機能低下の改善を促すとされるのだ。まさに「良薬は口に苦し」のことわざ通りである。また、熟成させたホップには体脂肪を低減させる効果に期待が持てるという研究成果もある。(※3)この熟成ホップは苦みがあまり強くないこともあり、飲料だけでなくさまざまな食品にも使用できるとして、今後の多様性にさらに期待されている。
3. ビールのホップ以外にはどんな種類がある?

ビールはホップだけを原料に造られているお酒ではない。では、ビール造りで使用される原料には、ホップ以外にどのようなものがあるのだろうか。本項では、ビールのホップ以外の種類について解説していこう。
ビールの原料を確認しよう
ビールの原料はホップをはじめ、麦芽、酵母、そして水が使用されている。麦芽は主に大麦から作られ、ビールの味わいや香り、色合いを生み出す。ホップは前述の通り、ビール造りにおいて欠かせない役割をしっかりと果たす存在だ。次に酵母だが、酵母が麦芽の糖分を分解して、アルコールと炭酸ガス、ビールの香り成分のエステルを作り出す。最後に水だが、水はビールの約90%を占める原料だ。ビールの品質を決める重要な役割を担う存在ともいえるので、各メーカーともに厳選した水選びが行われている。一般的に流通するラガービールには軟水が向いているとされ、エールビールには硬水が向いているとされる。これらの主原料のほかに、米やコーンなどの副原料の使用も認められており、中にはフルーツやスパイスが副原料として使用されるケースもあるなど、さまざまな味わいのビールが存在する。
4. ホップで有名なおすすめのビールの銘柄は?

最後に、ホップで有名なビールの銘柄をいくつか紹介していこう。ホップにこだわって造られたビールは、のどごしだけでなく個性的な香りや苦みがあることが特徴だ。使用されるホップによって変わるそれぞれのビールの個性を、実際に味わってみてほしい。
サントリー「ザ・プレミアムモルツ・香るエール」
サントリーが販売する「ザ・プレミアムモルツ・香るエール」は、プレモルの愛称でもおなじみのザ・プレミアムモルツのエールビールの銘柄である。アロマホップやファインアロマホップを複数回に分けて投入するという、サントリー独自のアロマリッチホッピング製法を採用しており、ホップの香りを最大限まで引き出した上質な味わいが特徴だ。
グランドキリン「ホワイトエール」
キリンビールのクラフトビール事業である、グランドキリンが販売する「ホワイトエール」は、ホップの香りにとくにこだわったエールビールの銘柄である。使用されているネルソンソーヴィンホップ由来の香りは、まるで白ワインのようにフルーティーであることが特徴で、口当たりもやわらかく、ビールが得意でない人でも飲みやすい味わいに仕上がっている。
ヤッホーブルーイング「インドの青鬼」
ヤッホーブルーイングが販売する「インドの青鬼」は、同社の代表銘柄である「よなよなエール」と肩を並べ、人気のエールビールの銘柄である。ホップの使用量がとくに多いIPAという種類のエールビールであり、柑橘系の華やかな香りの中に表れる、ホップ由来の非常に強い苦みとコクが楽しめる。
結論
ホップとはビール造りにおいて重要な役割を担っているだけでなく、さまざまな健康効果にも期待が持てる原料であることを知ってもらえただろうか。今後ビールを飲む際は、使用されているホップの種類にこだわってみるのもおもしろいだろう。ホップのことを知って、より美味しくビールを楽しんでほしい。