1. 日本酒の種類一覧

日本酒は大きく分けると吟醸酒・純米酒・本醸造酒の3つの種類に分類される。さらに細かくすると8種類に分けられ、多くの日本酒はこの8種類のどれかに当てはまる。まずはこの8種類についてみていこう。
純米酒
米、米麹、水のみで造られた日本酒。精米歩合の規定はない。
吟醸酒
米、米麹、水と醸造アルコールで造られており、吟醸造りで仕込まれた精米歩合が60%以下の日本酒。吟醸造りとは低温で長時間かけて発酵させる手法で、この方法を用いることで華やかな香りが生まれる。
大吟醸酒
米、米麹、水と醸造アルコールで造られており、吟醸造りで仕込まれた精米歩合が50%以下の日本酒。
純米吟醸酒
純米酒と吟醸酒の条件を満たしたものを純米吟醸酒と呼ぶ。米、米麹、水で造られており、吟醸造りで仕込まれた精米歩合60%以下の日本酒。
純米大吟醸酒
純米酒と大吟醸酒の条件を満たしたものを純米大吟醸酒と呼ぶ。米、米麹、水で造られており、精米歩合が50%以下の日本酒。
特別純米酒
米、米麹、水のみで造られた日本酒。精米歩合は60%以下、または特別な製造方法を用いたもの。特別な製造方法についての説明表示が必要。
本醸造酒
米、米麹、水と醸造アルコールで造られた、精米歩合が70%以下の日本酒。
特別本醸造酒
米、米麹、水と醸造アルコールで造られた日本酒。精米歩合は60%以下、または特別な製造方法を用いたもの。特別な製造方法についての説明表示が必要。
2. 日本酒の味の種類

日本酒の種類を理解したら、次にみておきたいのが味わいの種類だ。銘柄によって味わいはさまざまなので、「純米酒ならこういう味」と言い切ることはできないが、種類ごとに味わいの傾向はある。ここではざっくり甘口好き向けと辛口好き向けに分けて、おすすめの銘柄を紹介する。
株式会社 一ノ蔵「一ノ蔵 無鑑査本醸造 辛口」
米から造った醸造アルコールのみが添加されている、本醸造酒ならではのスッキリした辛口が味わえる銘柄だ。冷やしても温めてもおいしくいただけて、料理にも幅広く合う。飲みやすい辛口を探している人におすすめしたい。
亀泉酒造「亀泉 純米吟醸生原酒 CEL-24」
高知県で造られる、甘口白ワインを思わすようなフルーティーな純米吟醸酒だ。純米吟醸酒には甘みのあるものが多いが、この日本酒は酸味やフレッシュさもあり飽きのこない味わいで人気が高い。甘口好きな人にぜひ飲んでほしい日本酒だ。
石川酒造「多満自慢 純米無濾過」
東京都内で造られている、純米酒らしい味わいの純米酒だ。米の旨みがしっかりと感じられるまろやかな味わいで、ほのかな甘さがありとても飲みやすい。辛口すぎるのは苦手だが程よい甘さがある日本酒を探している人におすすめしたい。
3. 季節限定の4種類の日本酒を楽しもう

春夏秋冬がある日本の国酒である日本酒には、四季に合わせて季節限定で造られる4種類の酒がある。3~5月に売り出されるほのかな甘さの春酒、暑い季節でも楽しめるスッキリした夏酒、ひと夏を越えて旨みののった秋酒、造りたての新酒を楽しめる冬酒。どの種類のお酒にも四季のありがたみを感じさせてくれる旨さがある。ぜひおすすめしたい季節限定の日本酒を紹介する。
(株)せんきん「仙禽 雪だるま しぼりたて活性生酒」
冬の風物詩、かわいい雪だるまがラベルに描かれた冬季限定のお酒だ。しぼりたてならではのフレッシュで軽快な飲み口とフルーティーな味わい、にごり由来のクリーミーさが楽しめる。せんきんは夏酒、秋酒など種類豊富な季節の日本酒を出しているのでぜひチェックしてほしい。
富久千代酒造「鍋島 吟醸 summer moon」
佐賀県が誇る人気銘柄、鍋島の夏限定酒だ。どっしりと芳醇で華やかな種類の酒が多い通常の鍋島とは一味違い、フルーティーでキレのあるさわやかな味わいになっている。
相原酒造「雨後の月 千本錦 純米大吟醸 ひやおろし」
広島を代表する酒米、千本錦で造られる秋酒だ。通常日本酒は絞った後と出荷前の二回加熱処理をするが、ひやおろしは絞ったお酒を火入れし、そのまま夏の期間貯蔵して二度目の火入れをせずに秋に出荷されるお酒である。このひやおろしは、夏の期間を経て生まれるまろやかさと大吟醸酒ならではの華やかさが楽しめる、バランスのよい味わいだ。
4. 山廃の日本酒とはどんな種類なの?

日本酒には山廃という種類があり、ラベルにその名前をみたことがある人もいるだろう。日本酒造りで酵母が元気に働くためには乳酸菌が必要であり、現在は販売されている乳酸を添加するのが一般的だ。一方で、蔵の空気中に存在する天然の乳酸菌を育てて乳酸を取り込む伝統的な方法があり、これを生酛造りと呼ぶ。この生酛造りには山卸しという骨の折れる工程があるが、これを簡略化した造り方が山廃というわけだ。山廃の味わいにはいろいろな種類があるが、旨みや酸味、コクがしっかりとした力強い味わいを持つ傾向がある。最後におすすめしたい山廃の日本酒を紹介する。
菊姫合資会社「菊姫 山廃純米」
日本酒の業界で最初に山廃のお酒として販売されたのが菊姫で、山廃の種類の中でも知名度が高い銘柄だ。山廃ならではのコクのあるふくよかな味わいで、ほのかな香ばしさも感じられる。冷やして飲むよりも少し温めて飲むのがおすすめだ。
株式会社車多酒造「天狗舞 山廃仕込 純米酒」
さまざまなお酒のコンペティションで受賞歴のある車多酒造の人気銘柄だ。山廃特有の香りや味わいはあるもののスッキリとした後味で、初めて山廃の日本酒を飲む人にもおすすめしたい1本。
結論
日本酒の種類はたくさんあり、覚えるのは大変かもしれないが、知っておくと自分好みの1本をみつける手掛かりになる。ここで紹介した以外にも日々蔵元は個性豊かな日本酒をリリースしているので、種類の枠を越えて自分のお気に入りを探し出してほしい。