1. 福島の日本酒の上手な選び方

はじめに、福島の日本酒の上手な選び方について解説する。ラベルを見て、直感で手にとってみるのも日本酒選びの楽しみ方のひとつといえるが、せっかく美味しく福島の日本酒を味わうのであれば、選び方のポイントは頭に入れておきたい。
福島の日本酒を地域で選ぶ
日本で3番目に広い面積を持つ福島では、大きく分けると会津・中通り・浜通りの3つの地域で日本酒の生産が行われている。地域ごとに特色のある日本酒が造られているので、まずは福島の日本酒をこれらの生産地域で選んでみてはいかがだろうか。それぞれの特徴を簡潔に表すと、会津産の日本酒は、米のふくよかな旨みやフルーティな香りを持つ銘柄が多い。中通り産の日本酒は、キレのよさや複雑な風味が際立つような個性的な銘柄がならぶ。そして浜通り産の日本酒は、太平洋に面している地域だけあり、魚介によく合う淡麗な味わいの銘柄が豊富だ。このように、福島の日本酒は生産地域だけでも大きく個性が異なるのである。
福島の日本酒を有名銘柄で選ぶ
福島の日本酒には、全国的に名前を知られる有名銘柄も多く存在する。中には入手困難なことから高値で取引されているプレミアム日本酒もあり、特別な日のプレゼントとしても高い人気を誇っている。銘柄選びで悩む場合は、このような有名銘柄から選んでみるのもわかりやすくおすすめだ。代表する銘柄は数多く存在するが、中でも廣木酒造の「飛露喜」や、宮泉銘醸の「写楽」は、福島の日本酒でもとくに知られる銘柄である。近場で簡単に手に入る銘柄ではないが、機会があればぜひ手にとってみてほしい。
2. 金賞受賞した福島の日本酒とは?

実は福島は、全国新酒鑑評会での金賞受賞銘柄数が8回連続日本一を獲得するなど、日本で有数の金賞受賞蔵を持つ地域としても知られている。全国新酒鑑評会とは、1911年より続く歴史ある競技会であり、年度ごとに造られた日本酒の出来栄えを競うという目的で開催されている。2021年5月に開催された2020酒造年度の全国新酒鑑評会では、全国の蔵元から821点の出品があり、福島の日本酒は17銘柄が金賞に選ばれ、長野県とならび全国で最多となった。本項では、そんな福島の日本酒の金賞受賞銘柄から、とくに多く金賞を獲得している銘柄を紹介しよう。
奥の松酒造「奥の松 大吟醸雫酒 十八代伊兵衛」
「奥の松 大吟醸雫酒 十八代伊兵衛」は、福島県二本松市に本社を置く、奥の松酒造が販売する日本酒の銘柄である。全国新酒鑑評会では12年連続で金賞を受賞している。気品あふれる吟醸香となめらかな口当たりが特徴で、じっくりと時間をかけて造られた繊細な味わいが楽しめる。
名倉山酒造「名倉山 大吟醸 鑑評会出品酒」
「名倉山 大吟醸 鑑評会出品酒」は、福島県会津若松市に本社を置く、名倉山酒造が販売する日本酒の銘柄である。全国新酒鑑評会では、「奥の松 大吟醸雫酒 十八代伊兵衛」と同じく、12回連続で金賞を受賞している。甘みや旨み、酸味など、さまざまな味わいのバランスがとれた仕上がりが特徴だ。
3. まだまだある!福島のおすすめ日本酒

前項では金賞受賞銘柄を紹介したが、福島の日本酒でおすすめしたい銘柄はまだまだ多く存在する。中でも前述した福島の日本酒を代表する銘柄、「飛露喜」と「写楽」については、詳しく知っておきたい。それぞれの特徴を解説しよう。
廣木酒造「飛露喜」
「飛露喜」は、福島県会津坂下町に本社を置く、廣木酒造が販売する日本酒の銘柄である。廣木酒造は江戸時代より続く老舗蔵元ながら、一時は廃業も考えるほどの経営不振に陥ったこともあったという。しかしそんな状況を救ったのが「飛露喜」である。「飛露喜」の人気は瞬く間に全国に広まり、現在では海外からも高い評価を受ける銘柄として広く認知されている。華やかな香りとバランスのよい味わいは、いつ飲んでも飽きのこない仕上がりだ。種類も豊富なので、いろいろと飲み比べて自分の好みを見つけてみてはいかがだろうか。
宮泉銘醸「写楽」
「写楽」は、福島県会津若松市に本社を置く、宮泉銘醸が販売する日本酒の銘柄である。ラベルには旧字体で「寫樂」と記されている。もとは東山酒造が販売する銘柄だったものの、2009年に廃業後、宮泉銘醸が銘柄を受け継ぐこととなった。良質なお米を原料に、名水で仕込んだ上品な味わいは、全国の日本酒ファンを唸らせる逸品である。通年販売の種類のほかに、月ごとに異なる個性を持つ種類も販売されていることが特徴だ。それぞれラベルの色や文字の色が分けられているので、ボトルコレクションも楽しめるだろう。
結論
実は福島も日本を代表する酒どころとして、全国的に認知されているということを理解してもらえただろう。日本酒ファンの人は、ぜひ福島の日本酒も選択肢に加えてみてはいかがだろうか。全国で認められる本格的な味わいを、ぜひ自宅でじっくりと味わってみてほしい。