目次
1. 食前酒とは?

まずは食前酒がどうやって生まれたのか、基本的なポイントをチェックしよう。
食前酒の発祥
食事の前に楽しむ食前酒は、18世紀ごろにイタリアの貴族の間で始まったとされている。その後食前酒はヨーロッパ中に広がり、aperire=開くというラテン語の言葉からアペリティフという呼び方で親しまれている。
アペリティフは食事の準備運動
食前酒を飲む目的にはムードを盛り上げるなど精神的な部分もあるが、一番の目的は食事の前の準備運動である。少量のアルコールを飲んでおくことで、食欲が増して食事がより美味しくいただけるのだ。そのため食欲増進効果のある発泡性のお酒や、胃への負担が少ないアルコールが比較的低めのお酒などが食前酒に向いている。
ヨーロッパでは食事の流儀
ヨーロッパではいきなりレストランで食事を始めるのではなく、まずはパブやバーで食前酒を一杯、というのが一般的だ。仕事帰りに外で食前酒を軽く嗜んでから、自宅で夕食をとるということもある。ヨーロッパでは食前酒は食事の流儀ともいえるほど浸透している文化なのだ。
2. 食前酒の効果

次は食前酒を飲むことでどんな嬉しい効果があるのかをみていこう。
1.食欲促進
お酒を飲んでいると食欲がわく、締めのラーメンまで食べたくなるという経験をしたことがある人もいるだろう。これと同様に食前酒のアルコールによる胃への刺激は、食欲を促進してくれる。また、胃液など消化液の分泌がよくなるという効果もあるのだ。
2.HDL(善玉)コレステロールの増加
適度な量の食前酒を飲むことで、HDL(善玉)コレステロールが増えるという効果もある。HDLが増加することで、体内の不必要なLDL(悪玉)コレステロールを取り除いてくれるのだ。しかしあくまで適度な量を摂取した場合であり、飲みすぎると逆に体に悪いため注意しよう。
3.血圧を下げる
お酒を飲んで体が温まったという経験をされた人は多いのではないだろうか。アルコールの摂取には血流が良くする効果や血圧を下げてくれるという効果がある。これも適量を飲んだ場合の効果であり、飲みすぎると反対に血圧が上がってしまうので気を付けてほしい。
3. 食前酒の種類

食前酒の嬉しい効果が分かったら、今度はどういったものが食前酒におすすめなのかをみてみよう。
ワイン系の食前酒
ワインといえば食中に飲むお酒というイメージが強いかもしれないが、食前酒に向いたものもある。スパークリングワインや軽めの白ワイン、またはそれらを使ったワインカクテルもおすすめだ。甘めの食前酒を楽しみたい人ならシャンパンとオレンジジュースを合わせたミモザ、白ワインとカシスリキュールを合わせたキールなどを試してみてほしい。
ソーダ系の食前酒
ソーダを使ったカクテルも食前酒におすすめだ。ジントニックや梅酒のソーダ割りなどはさっぱりした味わいで一杯目のお酒としてもよい。カンパリソーダやスーズトニックなど、ハーブを使ったリキュールの食前酒には消化を助ける成分を含んだものもある。
ビールやシャンパン
まずは炭酸系のお酒で乾杯、というシーンは食前酒を意識していなくてもよく見かける。これは食欲増進に効果的で実は理にかなっているのだ。スッキリした口当たりのシャンパンを選ぶもよし、ビールであればフルーツビールや小麦ビールなどのクラフト系を選んでみるのもよい。
4. 食後酒もある!

食前酒のアペリティフだけでなく、食後に楽しむ食後酒もあるのをご存知だろうか。食後酒はフランス語でディジェスティフと呼ばれ、食前酒とは対照的なお酒が楽しまれる。食後酒の効果や選び方についてもみていこう。
消化を後押し!
日本ではあまり浸透していない食後酒だが、食後酒を飲むことで消化がよくなるというメリットがある。もちろん胃に負担をかけないように適量を楽しむことが鉄則だ。
食後酒の選び方
食後酒はデザートのように甘口のお酒を楽しんだり、アルコール度数の高いものをじっくり嗜むという飲み方が多い。ちょっとしたデザートやドライフルーツと合わせることもある。
食後酒の種類
食後酒にはアイスワインやポートワインなどの甘口ワインや、リモンチェッロなどのフルーツリキュール、ブランデーなどの蒸留酒が向いている。食前酒や食中酒よりもアルコール度数の高いものが選ばれることが一般的だ。
5. おすすめの食前酒5選

最後に食前酒として楽しみたいお酒を5種類紹介する。
サントリー「アペロール」
鮮やかなオレンジ色が目を引くイタリア生まれのハーブリキュールだ。ソーダや白ワインで割り、オレンジを添えて食前酒として飲まれることが多い。
カネッラ「ブラッドオレンジ・ミモザ」
通常のミモザはオレンジジュースとシャンパンを混ぜて作るカクテルだが、これはブラッドオレンジジュースを使っている。果実感がたっぷり感じられ、アルコール度数も低いためお酒が苦手な人にも飲みやすい。
キリン「ハードシードル」
さっぱりした食前酒を楽しみたいけど、ビールやワインは苦手という人はぜひシードルを試してみてほしい。リンゴ果汁100%で造られており、フルーティーで爽快感のある味わいだ。
サントリー「 ヴィッラ サンディ プロセッコ DOC」
イタリアの人気スパークリングワイン、プロセッコは食前酒にも食中酒にもぴったりだ。辛口だがフルーティーでほのかに甘みが感じられる。アルコール度数もワインの中ではやや低いため飲みやすい。
キリン「グランドキリン ホワイトエール」
食前酒として飲むビールは、いつものビールではなく少し趣向を変えてみてはいかがだろうか。小麦で造られるホワイトエールは苦みが控えめで、フルーティーな香りが楽しめる。
結論
食前酒を飲むことにはさまざまなメリットがあるので、食事前にぜひ取り入れてほしいものだ。食前酒に向いているお酒は種類も豊富なので、普段飲むことのない銘柄との出会いにも繋がるかもしれない。飲みすぎには気を付けつつ、お酒と一緒に楽しい食事の時間を過ごしてほしい。