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栗を美味しく保存するには?常温から冷凍まで方法を解説

栗を美味しく保存するには?常温から冷凍まで方法を解説

投稿者:ライター 高田さおり(たかださおり)

監修者:管理栄養士 佐々木倫美(ささきともみ)

鉛筆アイコン 2021年9月 8日

ほくほくとした甘い栗は、そのまま食べても美味しい食べ物だ。スイーツや和食のアレンジにもよく使われるが、下処理に手間がかかるため、保存方法について意外と知られていない。今回は、気になる栗の栄養価やカロリーから、保存方法までまとめた。また、栗が手に入った時に欠かせない下処理についても解説する。

  

1. 栗は古来からの栄養源!

秋の味覚・栗。山へ栗拾いに行くのも秋ならではの楽しい行楽で、スーパーや八百屋で売っているのを見かけると、秋の到来を感じるだろう。古事記や万葉集、枕草子、源氏物語にも出てくる栗は、昔から日本人の壮健を支えてきた高カロリーな栄養源だ。

栗のカロリー

栗のカロリーは100gあたり147cal(※1)とされている。栗は種実類の中でも、ナッツ類に分類される食物である。

炭水化物

栗100g中に含まれる炭水化物は36.9g(※2)であり、炭水化物を多く含んでいることでも知られている。生きていくうえでのエネルギー源となる成分だ。不足すると意識障害を起こすこと(※3)があるともいわれ、生物には欠かせないとされている。

ビタミン類

栗にはビタミンA、B1そしてCが多く含まれている。一般的には熱に弱いビタミンCだが、栗の場合、デンプンに包まれている状態のため加熱にも強い。ビタミンCは身体の機能を正常に保つために必要とされる栄養素(※4)といわれているため、失われずに摂ることができるのはうれしい点といえるだろう。

カリウム

栗に含まれているカリウムには、ナトリウムの体外への排出を促すはたらきがあり、高血圧の予防効果があるとされる栄養素としても知られている(※5)。現代人の場合、塩分の高い加工品の多量摂取により、カリウム不足も引き起こされがちであるため、積極的に摂りたい栄養素のひとつといえるだろう。

亜鉛

新陳代謝には欠かせないミネラルである亜鉛も、栗には多く含まれている。不足すると、身体にさまざまな不調をもたらす(※6)。新陳代謝・細胞分裂に携わる、人間に必要な栄養素だ。

2. 栗の下処理方法

美味しい茹で栗に仕上げるためには、下準備が欠かせない。栗を入手したら、すぐに下処理を行うようにしよう。栗はそのまま放置しておくと2~3日程度で表面が白くなり、虫が出てくることがあるからだ。

天日干し

ザルなどに栗を重ならないように並べて、天日にあてて半日ほど干しておく。こうすることで、栗の甘みが増すのだ。もし時間がないときは、この工程は省略しても問題ない。

水に浸す

栗を大きめのボウルに入れて、かぶるくらいの水を加え、数時間~半日程度水に浸しておこう。もし栗の中に虫が入っていても、水に浸すことによって追い出すことができる。スーパーなどで購入した栗の場合は虫が入っていることは少ないが、自分で拾ってきたものや直売所、マルシェなどで購入したものなどは要注意。

茹でる

栗を鍋に入れ、かぶるくらいの水を入れる。その中に塩を入れ混ぜて中火にかけ、沸騰するのを待とう。沸騰したら、弱火にして小さめの栗なら20~30分、大きめの栗なら40~50分茹でる。このとき、栗が鍋の中で踊るくらいの火加減を保つことに留意しよう。茹で上がったら火を止めて、粗熱が取れるまでそのままにしておく。こうすることで、アクが抜けてむきやすくなり、ほくほくと美味しい茹で栗に仕上がる。

3. 栗の常温保存方法

購入した栗を皮がついたまま常温で保管する場合には、傷まないようにすることと虫に注意すること、さらに乾燥しないようにすることが大切だ。生栗のまま常温保存する場合には、下処理をしたあとで新聞紙に包もう。さらに、直射日光が当たらない涼しい場所に置くことも大切である。こうすることで、最長で1週間程度の保存が可能だ。また、そのまま水につけておく保存方法もある。バケツやボウルなどに水と栗を入れる方法だ。水に入れたときに浮いてきた栗は、虫がいるか乾燥しているため保存せずに廃棄しよう。この方法でも、1週間ほど日持ちする。

4. 栗の冷蔵保存方法

栗は冷蔵保存も可能だ。冷蔵で得られる意外な効果と方法についてまとめた。

冷蔵すると甘みが増す?

じつは、栗は寒い冬の時期に糖分を蓄えるとされている。そのため、家にある栗を冬場の環境に似た場所に置けば、甘みを増すことができるのだ。甘みを増すために置く場所は、0~1℃ほどのチルド室やパーシャルがよい。30日寝かせると、その甘みは4倍にもなるとされている。より甘い栗を食べたいときには、冷蔵保存のテクニックを上手に活用しよう。

栗の冷蔵保存方法

冷蔵保存の方法は、天日干しして行う方法と茹でてから行う方法がある。新鮮な栗の場合、まず下処理で水分を抜いてから冷蔵保存するとよいだろう。天日干しする時間は1日程度でOKだ。天日干しで下処理をしたあと、新聞紙で包んで保存袋に入れて冷蔵庫へ。新聞紙が湿ってきたら変えることを忘れずに行えば、3ヶ月程度保存可能である。また、茹でたあとで冷蔵する場合には、水分をふき取ってから冷蔵庫に入れよう。茹で栗を冷蔵庫で保存する場合には、3日程度で食べきることも大切だ。

5. 栗の冷蔵保存方法

栗は、冷凍庫で長期保存もできる。皮をむいてもむかなくてもOKだ。それぞれの冷凍栗の処理と保存の仕方についてまとめた。

皮をむいて冷凍する方法

まずは、皮をむいて下処理をしたあとで冷凍する方法からみていこう。

アク抜きする

まずは栗を熱湯に1~2時間程度くらい浸けたあと、鬼皮と底の境にナイフを入れ、引っ張るようにしてむいていこう。栗の皮むき専用ナイフなどもあるので、入手しておけば普通の包丁よりも作業がスムーズだ。続いて渋皮だが、この部分には活性酸素を抑制する効果が期待できる、ポリフェノールのタンニンが含まれている(※7)。また、食物繊維も豊富なため、渋皮を残して料理するのもおすすめだ。皮をむいたのち、水にさらしてアク抜きを行おう。

水気を切って冷凍保存

10分程度水につけてアク抜きをしたら、キッチンペーパーなどを使ってしっかりと水分をふき取っておこう。水をふいたら冷凍用の保存バッグに入れれば、むき栗として冷凍庫で保存できる。

皮をむかずに冷凍する方法

栗を洗って水分をふいたあと、保存バッグに入れるだけだ。鬼皮のまま冷凍した栗は、半解凍の状態でむいて使用できる。いったん凍らせた場合のほうがむきやすいと感じることもあるので、勝手がいい方法を選んで冷凍するといいだろう。

6. 調理後の栗の保存方法

甘い砂糖で栗を煮て瓶詰にする保存方法なら、さらにロングスパンでの保存が可能だ。代表的な「栗の渋皮煮」なら、渋皮と栗の実の栄養素の両方を余すことなくいただける。「甘露煮」ならペーストにしてスイーツに応用することも可能だろう。人気の調理法である「栗の渋皮煮」と「栗の甘露煮」のそれぞれの保存方法と保存期間についてまとめた。

栗の渋皮煮

煮沸消毒をした瓶に栗とシロップを入れる。しっかりと加熱した渋皮煮の栗を瓶に入れ、完全に漬かるようシロップをたっぷりと入れよう。その後、ふたを軽く閉めた状態の瓶を熱湯が入った鍋に並べる。瓶の7~8割浸かった状態で30分煮沸したあと、しっかりとふたを閉めてして冷ます。脱気ができた栗の渋皮煮は、ふたを開けなければ常温で1年間保存可能だ。

栗の甘露煮

渋皮煮と同様、煮沸した瓶に栗とシロップを入れる。たっぷりとシロップを入れて渋皮煮と同じ手順で脱気を行い完成。甘露煮の場合、しっかりと脱気を行えば3ヶ月程度保存可能だ。

結論

日本人にはなじみ深い栗。小さな頃から身近にある食物である。しかし、下処理に手間がかかるため、調理したことがないという人も多いだろう。今回紹介した方法を使って、栗の下処理と調理にチャレンジしてみてはいかがだろうか。丁寧に下処理をした栗は、美味しいだけでなく栄養も満点だ。保存もきくため、ぜひ一度トライしてみてほしい。
(参考文献)
※1文部科学省 食品成分データベース「種実類/(くり類)/日本ぐり/生」
※2文部科学省 食品成分データベース「種実類/(くり類)/日本ぐり/生」
※3厚生労働省「炭水化物 / 糖質 | e-ヘルスネット」
※4厚生労働省「ビタミン | e-ヘルスネット」
※5厚生労働省「高血圧 | e-ヘルスネット」
※6厚生労働省「ミネラル | e-ヘルスネット」
※7厚生労働省「抗酸化物質 | e-ヘルスネット」
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  • 公開日:

    2017年7月22日

  • 更新日:

    2021年9月 8日

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