1. ブロッコリーやカリフラワーの歴史

見た目がそっくりなブロッコリーとカリフラワー。ここでは、まずその歴史を紐解いていこう。
ブロッコリーはどこで生まれた?
ブロッコリーの生まれ故郷は、地中海の沿岸部。古代ローマ時代のイタリアでは、すでに食用になっていたとされている。原種は、古代のイベリア人が薬草として用いていたヤセイカンラン。これをケルト人が品種改良したものが、ブロッコリーの祖先だといわれている。ちなみにイベリア人は、現在のスペインにあたるイベリア半島周辺で生活をしていた先住民のことで、ケルト人は中央アジアに起源をもちながらも、後々ヨーロッパ各地を支配することになる民族だ。
カリフラワーはブロッコリーの突然変異種?
ブロッコリーだけでなく、ヤセイカンランをルーツにもつ野菜は数多く存在する。日本人にも非常になじみの深いキャベツ、栄養価が高く、近年人気のケールもその一例だ。ブロッコリーとそっくりなカリフラワーもまた、同じようにヤセイカンランが起源。ブロッコリーと同じように花蕾を食するカリフラワーは、これらキャベツやケールの突然変異で誕生したとされている。
ロマネスコはブロッコリーやカリフラワーの仲間?
ロマネスコは、イタリア原産の野菜でカリフラワーの仲間。フラクタル構造という神秘的な見た目をしており、その見た目の美しさから「世界一美しい野菜」と呼ばれることもある。ブロッコリーのような甘みとカリフラワーのようなホクホクとした食感があり、サラダや炒め物に使うと美味しい。ヨーロッパからの輸入量が多いが、近年は国内での生産量も増えているそうだ。ちなみに、ヤセイカンランをルーツにもつ野菜は、白菜やカブ、小松菜など、幅広く存在する。
日本に広まったのはカリフラワーが先?
いまでは、ポピュラー野菜として知られるブロッコリーやカリフラワー。双方、日本に渡ってきたのは、海外文化が花咲いた明治初期のこと。どちらかといえば、現在はブロッコリーのほうが季節を問わず、スーパーで見かける機会が多いように感じるが、来日当初は、いまとは少し印象が違ったよう。というのも、ブロッコリーはほかの野菜に比べて、変色や傷みが早く、人々にはあまり受け入れられなかったというのだ。双方、戦後になって国内での栽培が盛んになったが、カリフラワーのほうが人気があったよう。緑黄色野菜の栄養素が注目を浴びるようになった1980年頃を境にブロッコリーに注目が集まるようになったといわれている。
ブロッコリーとカリフラワーの旬の時期は同じ?
ブロッコリーの旬は、11〜3月の冬から春にかけて。ただし、ハウス栽培なども含めて、全国で栽培時期をずらしているため、通年手に入れることができる。また輸入品が出回ることもある。カリフラワーの旬も同じく、11~3月頃。同じようにこちらも通年で手に入れやすい環境になっている。
ブロッコリーには花が咲く?
親戚のような関係のブロッコリーとカリフラワーだが、生育過程はちょっと異なる。
ブロッコリーは花芽が成長して蕾になったものが集まった状態で収穫されたもの。収穫後も蕾が開いて花が咲くことがある。一方のカリフラワーは、花芽が成長せずにそのまま数が増えたもの。花は咲かない。
ブロッコリーは花芽が成長して蕾になったものが集まった状態で収穫されたもの。収穫後も蕾が開いて花が咲くことがある。一方のカリフラワーは、花芽が成長せずにそのまま数が増えたもの。花は咲かない。
2. ブロッコリーとカリフラワーの栄養価の違い

ここでは、ブロッコリーとカリフラワーの栄養価について確認していこう。カロリーは廃棄率を含めたものになっている。
ブロッコリー100gあたり
エネルギー/37kcal
タンパク質/5.4g
脂質/0.6g
炭水化物/6.6g
βカロチン/900μg
ビタミンC/140mg
タンパク質/5.4g
脂質/0.6g
炭水化物/6.6g
βカロチン/900μg
ビタミンC/140mg
カリフラワー100gあたり
エネルギー/28kcal
タンパク質/3.0g
脂質/0.1g
炭水化物/5.2g
βカロチン/18μg
ビタミンC/81mg
タンパク質/3.0g
脂質/0.1g
炭水化物/5.2g
βカロチン/18μg
ビタミンC/81mg
ビタミンCは茹でたらほぼ同量?
上記の通り、βカロチンやビタミンCは、ブロッコリーのほうがはるかに多いことがわかる。ただ、これは生の状態での話。茹でた状態で比較をしてみると以下のようになる。
茹でブロッコリー100gあたり
βカロチン/830μg
ビタミンC/55mg
ビタミンC/55mg
茹でカリフラワー100gあたり
βカロチン/16μg
ビタミンC/ 53mg
ビタミンC/ 53mg
ブロッコリーのビタミンCは、茹でることによってその多くが溶出してしまうようで、結果としてカリフラワーとほぼ同等の含有量になってしまう。逆にカリフラワーのビタミンCは、水に溶出しづらいといえるかもしれない。
3. ブロッコリーとカリフラワーの美味しい食べ方

親戚同士のブロッコリーとカリフラワーは、ルーツや旬は似ているものの、栄養素には違いがあることがわかった。実際に料理をする場合、どっちを選べばよいのだろう。味の違い、栄養価の違いと料理性の違いから探っていこう。
味の違い
固めに茹でた場合、ブロッコリーとカリフラワーを食べ比べてみよう。ブロッコリーは噛むとキュッとした食感があり、葉野菜のような味わいだ。一方カリフラワーはホロっとくずれるような食感で少しコリコリし、甘みが強くキャベツに近い味だ。
βカロチンを摂取したい場合
ブロッコリーとカリフラワー、最大の違いともいえるのが、その色。そして、それに伴うβカロチンの含有量だ。ブロッコリーとカリフラワーでは、その量は雲泥の差。βカロチンを摂取したい場合は、ブロッコリーを採用するのが正解だ。葉酸もブロッコリーのほうが多め。こちらの栄養素を摂取したい場合は、ブロッコリーを選ぶのが正解だ。
ビタミンCを摂取したい場合
答えは、どちらでもOK。カリフラワーのビタミンCは、加熱により失われにくいのが、茹でると結果的にはほぼ同じ含有量になる。
向いている料理と不向きな料理
ブロッコリーは、美しい色が特徴。加熱しすぎると退色してしまうので、煮込み料理には向いていない。彩りとして添えるなら、塩茹でしたものを最後にトッピングするのがおすすめだ。また、カリフラワーのなかでも紫色の品種は、煮込むと変色の可能性があるので、こちらも煮込み料理には不向き。ブロッコリーもカリフラワーも油との相性がいいので、茹でて食べる以外には、フリットなどの揚げ物もおすすめだ。
結論
似ているようだが、そもそもモノとして異なるブロッコリーとカリフラワー。どちらも癖のない味わいで食べやすいので、毎日の献立に活躍してくれる存在でもある。味、栄養価、調理性の違いを鑑みて、料理に応用するといいだろう。
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