1. 諸説あり! 「おにぎり」と「おむすび」の呼び分け

「おにぎり」と呼ぶか、「おむすび」と呼ぶか、日頃はあまり意識していないかもしれないが、どちらか一方を使っている場合が多いかもしれない。言葉の成り立ちや言葉の指す意味をきちんと確認していこう。
・「起源が異なる」説
「ごはんを握る」という動作を由来としていると考えられているのが、「おにぎり」。『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)』を読み解くと、「握飯」という記載があるらしい。昔、飯のことは「いひ」と呼ばれており、「にぎりいい」が変化して「にぎりめし」となり、今の「おにぎり」になったと考えられえている。
神様の名前が起源とされるのが、「おむすび」。『古事記』に登場する農業の神様である「神産巣日神(かみむすびのかみ)」を起源としており、神が宿っていると考えられていた米を結ぶことで霊力を取込むという意味を持つことから「おむすび」となったとされている。
神様の名前が起源とされるのが、「おむすび」。『古事記』に登場する農業の神様である「神産巣日神(かみむすびのかみ)」を起源としており、神が宿っていると考えられていた米を結ぶことで霊力を取込むという意味を持つことから「おむすび」となったとされている。
・「形による違い」説
三角形に握ってあるものが多いが、丸型や俵型などもあり、形によって呼び分けているのではないか?という見解もある。ただし三角形に限定するものを「おむすび」、「おにぎり」は形を限定しないという説のある一方で、「おにぎり」は三角形限定、「おむすび」はなんでも良いとする真逆の説もあり、結論付けが難しい。
・「地域によって呼び名が違う」説
東日本では比較的「おむすび」と呼ばれることが多く、西日本では「おにぎり」と呼ばれることが多い傾向があるようだ。ちなみに名古屋には「天むす」がある。天ぷらを具にしたおにぎりは、「天ぷらおむすび」を略して「天むす」。東と西の分かれ目であり、きれいに分けることは難しそうだ。
2. 歴史を紐解いてみよう

「おにぎり」と「おむすび」。どうやら違いは呼び名だけで、同じものを指しているようだ。この歴史は、平安時代ごろまでさかのぼるのではないかと言われている。
平安時代の貴族社会では、「屯食(とんじき)」という強飯(こわいい)を丸く握り固めたものがふるまわれていたらしい。貴族が食べるのではなく、下僕にふるまう用途で盛られていた宮廷食とみられている。「屯」という字に「人が集まる」という意味があるため、いわゆるパーティーでふるまわれる料理といったような位置づけであったと思われる。
ちなみに強飯であったというように、当時のおにぎりはもち米を蒸して炊いたものであったとされる。平安時代には米というとうるち米よりももち米が主流だったらしい。あらたまった席で強飯を器に高く盛り付け、箸を立てたとか。今でこそごはんに箸を立てるなんて縁起の悪いこととして叱られるが、当時は正式な盛り方だったとされる。うるち米よりも粘りの強いもち米では、しっかり箸を立てることができていた。
その後、戦国時代後期から江戸時代にかけて、白米のおにぎりが普及したとされている。ちなみに平安時代以前には、米は粥や雑炊で食べるのが一般的だった様子。お米を「蒸す」ためには道具が必要で、ある程度文明の発展した食べ方であると言えよう。
平安時代の貴族社会では、「屯食(とんじき)」という強飯(こわいい)を丸く握り固めたものがふるまわれていたらしい。貴族が食べるのではなく、下僕にふるまう用途で盛られていた宮廷食とみられている。「屯」という字に「人が集まる」という意味があるため、いわゆるパーティーでふるまわれる料理といったような位置づけであったと思われる。
ちなみに強飯であったというように、当時のおにぎりはもち米を蒸して炊いたものであったとされる。平安時代には米というとうるち米よりももち米が主流だったらしい。あらたまった席で強飯を器に高く盛り付け、箸を立てたとか。今でこそごはんに箸を立てるなんて縁起の悪いこととして叱られるが、当時は正式な盛り方だったとされる。うるち米よりも粘りの強いもち米では、しっかり箸を立てることができていた。
その後、戦国時代後期から江戸時代にかけて、白米のおにぎりが普及したとされている。ちなみに平安時代以前には、米は粥や雑炊で食べるのが一般的だった様子。お米を「蒸す」ためには道具が必要で、ある程度文明の発展した食べ方であると言えよう。
3. うまいおにぎりのポイント!形と米の関係

・形
おにぎりの主流と言えば、三角形だろうか。古くは山型に握った頂点に神が宿ると信じられていた。はじまりは関東からだと言われている。
俵型のおにぎりは関西でよく見られる。関西地方では味付け海苔が好まれ、これが巻きやすい形状であるため俵型が定着したのではないかとされている。
まん丸なおにぎりは九州でよく見られる。関西文化の影響を受けているため俵型のものも多く見られる。
円盤型という変化球も。東北地方ならではの形とされる。葉っぱで巻いたり、焼きおにぎりにしたりしやすいという特徴がある。
俵型のおにぎりは関西でよく見られる。関西地方では味付け海苔が好まれ、これが巻きやすい形状であるため俵型が定着したのではないかとされている。
まん丸なおにぎりは九州でよく見られる。関西文化の影響を受けているため俵型のものも多く見られる。
円盤型という変化球も。東北地方ならではの形とされる。葉っぱで巻いたり、焼きおにぎりにしたりしやすいという特徴がある。
・米
温かいうちだけでなく、時間が経って食べることも多い、おにぎり。「冷めてもおいしい」がポイントになるが、今のお米はどれも「冷めてもおいしい」らしい。米の品種改良の際には、おにぎりにして食味を確認することもあるのだとか。
三角形に握るためには粒がしっかりとしていて、弾力のある「はえぬき」が適している。米粒がつぶれることなく、空気が入りやすいという特徴を持つ。丸型に作るのであれば「ゆめぴりか」が適している。お茶碗で転がすように形成していく作り方にも合っているとか。中がふっくらして、少し固められた表面とは異なる食感を楽しむことができる。
全国各地におにぎりは存在する。その土地の特産を具材にして楽しむのはもちろん、その土地でとれた米はやはりその土地のおにぎりにもマッチした特性を持っている。それを固く握るのか、ふんわりと結ぶのかでもおにぎりは違う表情を見せてくれるのだ。
三角形に握るためには粒がしっかりとしていて、弾力のある「はえぬき」が適している。米粒がつぶれることなく、空気が入りやすいという特徴を持つ。丸型に作るのであれば「ゆめぴりか」が適している。お茶碗で転がすように形成していく作り方にも合っているとか。中がふっくらして、少し固められた表面とは異なる食感を楽しむことができる。
全国各地におにぎりは存在する。その土地の特産を具材にして楽しむのはもちろん、その土地でとれた米はやはりその土地のおにぎりにもマッチした特性を持っている。それを固く握るのか、ふんわりと結ぶのかでもおにぎりは違う表情を見せてくれるのだ。
結論
「おにぎり」と「おむすび」は同じもの。どちらで呼んでも間違いではないし、地域性があると言われてはいるものの、明確な境界線も不明。形による呼び分けも、ルールがあるようではっきりしない。ただし古くから日本人に親しんできたことだけは確か。私たちにはしっかりおいしいおにぎりを見極める舌があり、時代が流れてもソウルフードであることに変わりはない。
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