1. 浸透圧で魚の水分とともに臭みが浮き出てくる

魚にパラパラと塩を振りかけて少し置いておくと、表面にじんわり水分が滲んでくるのがわかる。これは、魚の表面近くの塩分濃度が高くなり、それを薄めようという浸透圧の働きによって、魚の中の水分が表面に引き出されたものだ。中の水分が出てくることによって、身が締まり崩れにくくなるというわけ。しかも、この中からの水分には魚の生臭さも含まれているので、身が締まると同時に生臭さも除去できるという一石二鳥の効果があるのだ。
2. 塩は魚の旨味を中に閉じ込めてくれる蓋になる

魚にはアルブミンやグロブリンというタンパク質が含まれている。これらは、加熱することで凝固する性質を持っているが、塩はその作用を促進する働きがある。つまり、魚に塩を振りかけてから焼くと、表面が素早く固まって、中の旨味が中に閉じ込められるのだ。
3. 表面に浮き出た水分は拭き取るひと手間を忘れずに

ただし、ここでひとつ注意したいことがある。それは、塩をかけてしばらく置いた時に表面に滲み出てくる水分をそのままに調理しないこと。焼く前にさっと表面をペーパータオルなどで拭き取ろう。そうしないと、せっかく余分な水分と一緒に中から出てきた魚の臭みがくっついたままになってしまう。
また、塩を振るのは調理する20分〜30分位前がいい。塩を振ったまま長時間置いておくと、残しておきたい旨味も程よい水分も出てきてしまうので注意しよう。
また、塩を振るのは調理する20分〜30分位前がいい。塩を振ったまま長時間置いておくと、残しておきたい旨味も程よい水分も出てきてしまうので注意しよう。
結論
料理における塩の使い方は、味付けだけではないことを知っていただけただろうか。当たり前のように行われている料理の手順やコツには、必ず科学的に解明できる根拠があるものだ。ぜひそうした目で料理を捉え、腕を上げていただきたい。