1. 牛肉の消費期限は切り方で変わる!?

消費期限と賞味期限の違い
牛肉の切り方によって消費期限が変わる理由を説明する前に、「消費期限」と「賞味期限」の違いを学習しておこう。消費者庁によって定められた食品表示法により、「加工食品などには賞味期限か消費期限のいずれかを表示すること」が決められている。消費期限とは「安全に食べられる期限」のことで、その期日までに消費しなければならないことを意味する。一方、賞味期限は「美味しく食べることができる期限」の意味。期日を過ぎたら直ちに食べられなくなる訳ではないが、品質の保持はその期日まで可能ということだ。傷みやすい弁当や生菓子には消費期限、品質の劣化速度が緩やかなスナック菓子や缶詰などには賞味期限が記載されている。
牛肉の消費期限は切り方次第
一般的に、ブロックの牛肉よりも薄切りの方が消費期限は短い。これは、牛肉は空気に触れる面が少なければ少ないほど長期保存が可能となるためだ。肉が空気に触れると、酸化して鮮度が落ちる。ブロック肉の場合は表面こそ空気に触れるものの、中側は一切触れることはない。しかし、薄切りの場合は、全体的に空気に触れてしまう。このため、同じ日に加工された肉であっても、切り方によって表示される消費期限が異なるのだ。
2. 牛肉の保存、ポイントは?

冷蔵保存は密閉がカギ
肉だけでなく魚や野菜などすべての生鮮食品に言えることだが、なるべく早く食べた方が鮮度は高く、美味しい。そして、安全性も高い。必要な分だけ購入し、その日のうちに使い切ることが理想である。しかし、パック売りが主流の現代ではなかなか難しく、使いきれないことも大いにある。その場合には、鮮度を保つために正しい方法で保存しよう。
- キッチンペーパーなどで表面についた肉汁を拭き取り、ラップで包む
- ジッパー付きの保存バッグに入れ、チルド室か冷蔵庫の下段(温度の低い場所)で保存
ブロック肉なら5日、薄切り肉は3日、ひき肉は1日ほど冷蔵保存可能である。
冷凍保存は小分けが便利
肉の切り方によって1~5日は冷蔵保存が可能だが、その期間以上に保存する必要がある場合には、冷凍保存しよう。冷凍すると包丁などで必要な量を切り分けることが難しいため、あらかじめ小分けにして冷凍すると便利だ。
- ブロック肉
使いやすいサイズにカットし、1度で使う分量ごとにラップで包む。 - 薄切り肉
ラップの上に1枚ずつ広げて重ね、使いやすい分量ごとに包む。 - ひき肉
ラップの上に使いやすい分量を平らに乗せて包む。
ラップで包んだ後は、ジッパー付きの保存バッグに入れて冷凍する。急速冷凍機能がある場合には活用しよう。冷凍保存可能な期間の目安は約1ヶ月。また、再冷凍は風味を損なうためNGである。
3. 食べられる?食べられない?キケンのサイン

できるだけ新鮮な牛肉を選び、気をつけて保存していても、予定通りに調理できないこともある。また、いざ使おうとしたら、何となく鮮度が怪しいこともあるだろう。ここからは、牛肉の危険サインについて解説する。すぐ調理した方がよいサイン、または食べない方がよいサインを見極めよう。
- 消費期限
まず、1番の目安は表示されている消費期限だ。根拠に基づいて決められているため、消費期限の当日までには使うべきである。パックから移す場合にも、保存バッグに消費期限を書き写しておこう。 - 変色
消費期限内であっても、時間の経過とともに牛肉が黒っぽく変色することがある。変色のみでにおいやぬめりなどが気にならないようであれば、すぐに調理し、じっくりと火を通して食べよう。 - におい
日本食肉研究会によると、鮮度の高い肉であっても酸臭や血液のにおいはある。また、肉牛の餌によっては、草や乳のようなにおいがすることもある。しかし、傷み始めた牛肉や腐ってしまったものは、明らかな酸っぱいにおいが鼻につく。勿体ないが、食べない方がよいだろう。 - ぬめり、糸を引く
肉の表面がぬるっとして、触ると糸を引く。これは、肉が完全に腐敗している状態である。どんな高級な牛肉であったとしても、食べるのは諦めよう。 - ドリップ
ドリップとは、肉の内側から流れ出てきた液体である。ドリップには水分と旨味が混ざっているため、ドリップが大量に出ている肉は風味が落ちる。色の濃いドリップや濁ったドリップも注意のサイン。
結論
せっかくの牛肉を美味しく、そして安全に食べるため、消費期限を理解し、さらに保存にも気をつけよう。いつ使うのかを考え、冷蔵・冷凍を決めるとよい。ちなみに、冷凍した牛肉を使う際には、冷蔵庫に移して数時間おき、半解凍の状態で調理すると風味が落ちにくい。