1. ひじきの戻し方
乾燥ひじきは水で戻してから料理に使う。まずは基本となる戻し方をおさらいしておこう。
ひじきの戻し方
- ひじきは軽く洗い、表面の汚れを落としておく
- 大きめのボウルにザルを重ね、ひじきを入れる
- ひじきが完全に浸かるくらい水をたっぷり入れる
- 芽ひじきは5〜10分、長ひじきは20〜30分ほど水に浸けておく
- ザルをあげて水を捨てたら再びボウルに戻す
- 流水で軽く洗い、ザルをあげてさらに20秒ほど流水にさらす
- 水を切ったら完了
浸水時間は使う量や料理によって変わってくるので調節してほしい。また、ひじきは水を吸うとふくらむ。それを見越してやや大きめのボウルとザルを用意しておこう。
2. 【レシピ】ひじきの煮物
ひじきを使った料理の代表といえば煮物だろう。さまざまな食材と組み合わせることができるが、本稿ではごく基本となるひじきの煮物のレシピを紹介する。
材料
- 乾燥ひじき
- にんじん
- 油揚げ
- ごま油
- 煮汁
お好みで水煮大豆やちくわ、しいたけなどを入れるのもよい。なお煮汁は水・醤油・みりん・酒・砂糖・和風だしを使う。戻している間に合わせて作っておくと効率がよい。またひじきは戻してにんじんは皮をむいておこう。
作り方
- にんじんと油揚げを細切りにする
- 鍋にごま油をひき、戻したひじき・にんじん・油揚げを炒める
- 油が全体に行き渡ったら煮汁を入れる
- 汁気がなくなるまで煮込めば完成
ひじきを戻すなど下ごしらえをしておけば、調理自体は20分程度で済む。ごま油の香ばしさが食欲をそそる1品の完成だ。
3. 【レシピ】ひじきと大豆の和風サラダ
続いて、ひじきと大豆を使ったさっぱり和風サラダのレシピを紹介しよう。
材料
- 乾燥ひじき
- にんじん
- キャベツ
- 大豆(蒸しまたは水煮)
- 和風ドレッシング
同じように乾燥ひじきは戻しておこう。和風ドレッシングは市販のものでOKだが、サラダ油と醤油・砂糖・酢を混ぜてオリジナルを作るのもおすすめだ。
作り方
- 鍋にお湯を沸かす
- にんじんとキャベツを千切りにする
- 鍋でひじきを軽くゆでる
- 同じく鍋でにんじんを2分、キャベツを1分ほどゆでる
- ひじき・にんじん・キャベツの水気をよく切る
- ボウルなどに食材を入れ、大豆も加えて和風ドレッシングでよく和える
- 冷蔵庫で冷やしたら完成
食感を楽しむなら千切りはやや太めがよい。またキャベツをゆでる際、熱湯に塩を少々加えると緑色が鮮やかになり、サラダ全体の見た目も明るくなる。食材はいずれも水気をよく切っておくことがポイントだ。
4. 【レシピ】ひじきとツナの炊き込みご飯
お次はツナ缶とひじきなどで作る、炊き込みご飯のレシピを紹介しよう。
材料
- 乾燥ひじき
- にんじん
- ツナ缶
- 油揚げ
- ちくわ
- お米
- 和風だしの素(顆粒)
- 醤油
- 酒
- みりん
- 塩
ひじきは戻し、にんじんや油揚げ、ちくわなどは食べやすいサイズにカットしておこう。なお油揚げは油抜きをしておくと味が染み込みやすくなる。
作り方
- 炊飯器にお米と調味料を入れる
- ひじき・にんじん・ツナ缶・油揚げ・ちくわを入れて炊く
- 炊きあがったらよく混ぜて完成
和風だしが美味しい、ひじきとツナ缶のほっこりする炊き込みご飯も手軽に作れる。なお、お米を炊くときの水の量は普通と同じでOKだ。お好みで、いろいろな具材を入れて楽しむのもよいだろう。
5. 【レシピ】ひじきと豆腐のハンバーグ
ひじきは主に副菜というイメージだが、豆腐ハンバーグなら主菜になる。ふんわりした食感だが食べごたえがある1品だ。
材料
- 乾燥ひじき
- 木綿豆腐
- 鶏ひき肉
- にんじん
- 長ネギ
- おろし生姜
- 塩
- 胡椒
- 鶏ガラスープの素(顆粒)
- サラダ油
具材に枝豆やたけのこを入れても美味しい。また下ごしらえとして、ひじきは戻しておき、木綿豆腐は水気を切っておこう。
作り方
- にんじんや長ネギなどは細かくカットする
- ボウルにサラダ油以外の材料をすべて入れ、よく混ぜる
- 小さめの小判型や丸型などに形を整える
- フライパンにサラダ油をひきハンバーグを焼く
- 中までしっかり火が通ったら完成
味つけは醤油ベースがよいだろう。あるいは、とろりとしたあんかけもおすすめだ。冷めても美味しく、お弁当のおかずにもなるのでぜひ作ってみよう。
6. 【レシピ】ひじきと青ネギの卵焼き
5つめは、非常に簡単ながらひじきの風味が生きてしっかり美味しい、卵焼きのレシピを紹介する。
材料
- 乾燥ひじき
- 卵
- 青ネギ
- めんつゆ
- 塩
- サラダ油
これまでのレシピと同じように、ひじきは戻しておこう。また青ネギは小口切りにするか、最初からカットされているものを買ってきてもよい。
作り方
- ボウルに卵を割り入れて溶く
- ひじき・青ネギ・調味料を加え混ぜる
- フライパンにサラダ油をひき、材料を流し込んで焼く
- 中までしっかり火が通れば完成
単にひじきを加えるだけでもOKだが、青ネギを使うとより風味がよくなるのでおすすめだ。お弁当のおかずにしたいときはとくに、中までしっかり火を通すことを心がけよう。
7. 芽ひじきと長ひじきの違い
ここからは、ひじきの基礎知識を解説していく。さまざまな品種があるわけではないが、1本のひじきの中で部位ごとに呼び方が変わるので覚えておこう。
ひじきとは
日本の沿岸の岩場に生息するひじきは、長さ20~100cmに成長するヒバマタ目ホンダワラ科ヒジキ属の海藻だ。我々が普段見かけるひじきは黒いが、生のひじきは黄褐色をしている。生では食べられないため長時間茹でてから干し、さらにそれを水で戻してから料理に利用する。
芽ひじき
ひじきの葉の部分を指す。口あたりがよく、炊き込みご飯やサラダ、炒め物などによく使われる。「米ひじき」「姫ひじき」とも呼ばれる。
長ひじき
ひじきの茎の部分で、長く太い。歯ごたえがあるので煮物や炒め物に向いている。「茎ひじき」とも呼ばれる。なお、冬の寒いうちに若いひじきを刈り取って加工したものは「寒ひじき」「早どれひじき」などと呼ぶ。
8. ひじきの旬と主な産地
ひじきで季節を感じることは少ないかもしれないが、実は旬がある。主な産地とあわせて見ていこう。
ひじきの旬
2~5月頃が旬とされている。市場に出回っているもののほとんどが、乾燥ひじきかドライパックである。ドライパックは水で戻すなどの下ごしらえが必要なく、封を開けたらそのまま使える。サラダや和え物にもパッと加えるだけという手軽さが特徴だ。
主な産地
国内に出回っているひじきの約8~9割は韓国産と中国産、残りが国産だ。国産ひじきは100%天然だが、輸入物はほとんどが養殖である。とはいえ輸入物と国産物で味や歯ごたえ、栄養に大きな違いはない。国内では北海道南部、宮城県、千葉県、三重県、和歌山県など太平洋沿岸、広島県から愛媛県の瀬戸内海沿岸、長崎県、大分県、熊本県などの九州沿岸で穫れる。
9. ひじきの選び方
最後に、ひじきを選ぶときの目利きポイントを紹介しておこう。
ひじき選びのポイント
スーパーで見かける乾燥ひじきは紙袋に入って売られていることが多いが、透明な袋にパック詰めされているものもある。中身が見えるときは、色が黒々としてツヤがあり、大きさが揃っているものを選ぼう。生で売られていることもあるが、獲れたてではなく一度茹でて乾燥させたものを戻した状態である。選ぶときはふっくらとしてツヤがあるものがよい。食べるときは下ごしらえとしてお湯に通すことを忘れないようにしよう。
結論
10世紀に編纂された「延喜式」によれば、朝廷の貢納品にひじきが選ばれていた。昔から、海藻を食べてミネラルを補っていた日本人にとって、保存がきく乾燥ひじきは貴重な食材だったのだろう。栄養豊富なひじきを日々の食事に取り入れるためにも、ぜひいろいろなレシピに挑戦してみよう。