目次
1. ジャボチカバとは?

ジャボチカバ(Jabuticaba)とは、ブラジル原産(南アメリカ大陸原産)のフトモモ科キブドウ属の植物である。キブドウ属の特徴は、花や果実が枝ではなく直接幹にできることだ。春と秋にできる果実は直径2~3cmの濃い紫色で、ちょうど「巨峰」と同じような見た目をしている。味も巨峰と同じように甘酸っぱく、果肉はやわらかくて美味しい。ブラジルなどでは日常的によく食べられている。
ジャボチカバの名前の由来は?
ジャボチカバという名前は、トゥピ語でカメ、カメのいる地、カメの脂肪などを意味する「jabotim(ジャボチム)」が由来であると考えられている。また、ジャボチカバにはブラジリアングレープツリー・グアペルー・ヒバブルー・イバプル-・サバラといった別名が数多くあるそうだ。
ジャボチカバの産地はどこ?
ジャボチカバはブラジル原産の植物で、アルゼンチン・パラグアイ・ボリビアなどで多く作られている。また、1900年代になりカリフォルニアなど北アメリカ大陸で栽培が始まる。その後、フィリピンやインドなどアジア圏へ広がり、日本でも沖縄県や鹿児島県で栽培されるようになっている。
2. ジャボチカバの主な栄養価と栄養素

ジャボチカバは特別栄養価が優れているわけではないが、ほかの果物と同じようにビタミンやミネラルなどをバランスよく含んでいる。また、ジャボチカバにはポリフェノールを含んでいることが分かっている。そこでジャボチカバの主な栄養価とポリフェノールについて確認しておこう。
ジャボチカバの栄養価
文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」などには、ジャボチカバの栄養価は収録されていない(※1)。そこでアメリカ・パデュー大学園芸・造園学科のデータを参考に、ジャボチカバ100gあたりの栄養価を紹介する(※2)。
- エネルギー:45.7kcal
- たんぱく質:0.11g
- 脂質:0.01g
- 炭水化物:12.58g
- ビタミン
・ビタミンB1:0.02mg
・ビタミンB2:0.02mg
・ナイアシン:0.21mg
・ビタミンC:22.7mg - ミネラル
・カルシウム:6.3mg
・リン:9.2mg
・鉄:0.49mg - 食物繊維:0.08g
ポリフェノールも含んでいる
ジャボチカバは紫色の天然色素であり、ポリフェノールの一種である「アントシアニン」なども含んでいる(※3)。ポリフェノールは抗酸化物質の一つとして知られており、体内では活性酸素を取り除く働きなどを担っている(※4)。ジャボチカバにはこのような機能性も期待できるそうだ。
3. ジャボチカバの基本的な食べ方

ジャボチカバの果実は2〜3cmの球形で、濃い紫色の外皮に包まれている。通常はこの外皮に包まれた水分をたっぷり含んだ、真っ白でプルプルとした果肉の部分を食べる。一般的な食べ方は、ブドウを食べるように外皮ごと口の中に含み、外皮と種だけを吐き出すというもの。また、あらかじめ手で外皮を剥いてから、みずみずしい果肉部分だけを食べるという方法もある。
4. 美味しいジャボチカバの使い道3選

ジャボチカバは収穫後、傷むのが早い。そのため早めに生で食べたり、ジャム・お菓子・ジュースなどに使ったりするのがおすすめだ。ジャボチカバの美味しい使い道を3つ紹介しておこう。
使い道1.ジャボチカバのジャム
ジャボチカバをジャムにしておくと、トーストに塗ったり、ヨーグルトにトッピングしたりとさまざまな料理に使うことができる。ジャボチカバのジャムは、鍋にジャボチカバと被るくらいの水を入れてから、1時間30分程度煮る。その後、ジャボチカバを濾してから、鍋にジャボチカバの液を戻して砂糖を加えてから煮詰める。ジャボチカバがトロトロになるまで煮詰めればジャムの完成となる。
使い道2.ジャボチカバのケーキ
ジャボチカバを使ってお菓子を作るのもよい。たとえば、ジャボチカバの果実を使ったパウンドケーキは、丁度いい甘みがあるのでおすすめ。パウンドケーキに使う場合は、フードプロセッサーにジャボチカバの果実と牛乳を入れて攪拌しておき、それを使って生地を作っていけばよい。生地は砂糖とバターを泡立ててから、ジャボチカバを入れて、薄力粉とベーキングパウダーを加えて作ろう。
使い道3.ジャボチカバのお酒
ブラジルなどではジャボチカバを使ったリキュールやミントジュレップなども有名だ。リキュールにする場合は、ジャボチカバをよく洗ってから水気を切り、空の保存瓶にジャボチカバとお酒(蒸留酒)を漬け込めば作れる。また、ミントジュレップを作る場合には、ジャボチカバのリキュールを使うようにしよう。ジュレップカップにリキュールを加えれば赤色のキレイなお酒が出来上がる。
5. ジャボチカバの入手方法とは?

ジャボチカバは生産量が少なく、収穫後の劣化が早いため流通量はかなり少ない。そのため、ジャボチカバを入手するには「産地に行く」「家庭菜園で育てる」のいずれかを行うのがおすすめだ。それぞれのポイントについても解説しておこう。
入手方法1.産地で食べる
日本国内では沖縄県や鹿児島県などでジャボチカバの栽培が行われている。仕事や旅行などで訪れた際には、現地のジャボチカバ農家に行ってみるといいだろう。また、本州では静岡県の西岡農園などで栽培している。時期や気候により収穫状況が変わるため、事前に確認してから訪問してみよう。
入手方法2.家庭菜園で育てる
ジャボチカバは家庭菜園で育てることも可能だ。ブラジル原産の木でありながら寒さに強く、比較的育てやすい。日本では小葉系・中葉系・大葉系などの種類が販売されており、それぞれ果実の大きさなどが異なる。近くの園芸店でジャボチカバを見かけない場合は、通販で苗を購入するとよいだろう。
6. ジャボチカバの栽培・育て方のポイント

ジャボチカバは庭植えだけでなく、鉢植えでもよく育ち実をつける。詳しい育て方は購入店などで確認することをおすすめするが、以下のポイントなどを意識して育てるようにしよう。
ポイント1.日光と水やりをしよう
ジャボチカバは、春から秋にかけて数回実をつける。実を多くつけるために、春から秋の時期は日当たりのよい場所に置こう。また、ジャボチカバは乾燥が苦手なので、土の表面が乾いたら水をたっぷりとあげること。特に、夏場は毎日注意して水を切らさないことがポイントだ。逆に冬は休眠するのでその間は水をあげすぎず、多少土が乾いた状態にしておくほうがよい。
ポイント2.1~2年に一度植え替えをしよう
ジャポチカバの成長はゆっくりであるが、鉢植えで育てる場合は1~2年ごとに植え替えが必要である。植え替えをしないと鉢の中が根でいっぱいになり、通気性が悪くなり根腐りが起こってしまう。春頃に一回り大きな鉢を用意して植え替えるようにしょう。
結論
ブラジル原産のジャボチカバは、甘酸っぱさとみずみずしさが特徴のフルーツだ。劣化しやすく流通量も少ないため日本では中々手に入らないが、沖縄県や鹿児島県など一部地域では栽培しており食べることが可能だ。また、苗は購入できるので、興味があれば家庭菜園に挑戦してみるとよいだろう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm - ※2:Horticulture and Landscape Architecture - Purdue University「Jaboticabas」
https://hort.purdue.edu/newcrop/morton/jaboticabas.html - ※3:沖縄工業高等専門学校紀要「沖縄県産ジャボチカバを原料としたワインの機能性について」
http://okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12001/18697/1/KJ00008494479.pdf - ※4:厚生労働省e-ヘルスネット「抗酸化物質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html