1. 蓼とは?カロリーはごくわずか!
蓼(たで)の基礎知識とカロリーから解説する。なお本稿における栄養素およびその数値はすべて、文部科学省「食品成分データベース」(※1)に掲載されている「芽蓼(めたで)」のものを紹介している。
蓼とは?
タデ科タデ属の植物を総称して「蓼」と呼んでいる。新芽(芽蓼)はツンとした辛みがあり、独特の風味が癖になる。その辛みが生臭さを和らげるとして、刺身のつまや薬味などで活躍する野菜だ。蓼の葉や茎は殺菌・抗菌といった作用があり、古くは民間薬として虫さされに対する治療薬であったり利尿剤だったりに用いられてきたという。
蓼100gあたりのカロリー
「食品成分データベース」によれば、芽蓼100gあたりのエネルギーは43kcalである。実際に料理に使う蓼の量は数g程度などごく少量が多い。仮に5gとした場合2.15kcalだ。蓼のカロリーは実質、無視できるものと考えて問題ないだろう。
2. 蓼は意外と栄養豊富!食べないともったいない
カロリー以外の栄養が気になる方もいるだろう。同じく「食品成分データベース」を参考に、芽蓼100gあたりの主な栄養とその効能をまとめたので確認していこう。
蓼100gあたりの主な栄養一覧
- たんぱく質:3.0g
- 脂質:0.5g
- 炭水化物:8.8g
- ミネラル(無機質)
└ナトリウム:9mg
└カリウム:140mg
└カルシウム:49mg
└マグネシウム:70mg
└リン:110mg
└鉄:2.3mg
└亜鉛:0.9mg
└銅:0.09mg
└マンガン:7.66mg - ビタミンA
└βカロテン:4900μg - ビタミンE(トコフェロール)
└α:4.8mg
└β:0.1mg
└γ:Tr(微量) - ビタミンK:360μg
- ビタミンB群
└B1:0.15mg
└B2:0.21mg
└ナイアシン:1.1mg
└B6:0.27mg
└葉酸:77μg
└パントテン酸:0.29mg - ビタミンC:67mg
- 食物繊維
└水溶性:0.6g
└不溶性:5.7g
特徴としてβ-カロテンや鉄、亜鉛、食物繊維などが多く含まれている。とくに鉄と亜鉛は、同じ重量のほうれん草と比べて多い(※2)。一度に使う量からすれば摂取量は期待できないが、蓼は意外と栄養が豊富であるといってもよいだろう。
βカロテン
ヒトの体内でビタミンAのに変わる栄養素で、抗酸化ビタミンに分類されている。活性酸素の働きを抑えたり、活性酸素そのものを取り除いたりする働きがあり、動脈硬化の予防や老化・がんの予防効果などが期待できる(※3・※4)。
鉄
血液中のヘモグロビンの中に多く存在し、全身の細胞へ酸素を供給するために必要な栄養素だ。不足すると貧血などを招くほか、集中力の低下や食欲不振を招くこともある。通常、摂り過ぎることはないが、大量に摂取すると過剰症を起こすことがある(※5)。
亜鉛
鉄などと同じミネラルの一種で、全身の細胞に存在する。細菌やウイルスから身を守るために重要な役割を果たす栄養素で、1日の摂取目安量は成人男性で11mg、女性で8mgとされている。過剰摂取すると吐き気や食欲不振、下痢などを招くこともある(※6)。
食物繊維
ヒトの消化酵素では消化できない成分で、吸収されずに大腸まで到達する。便のかさを増して腸に刺激を与えることによる便秘解消、血中コレステロール濃度の低下などのほか、食後の血糖値の上昇をゆるやかにするなど、さまざまな働きを持つ栄養素だ(※7)。
3. 蓼の糖質量は?
糖質は一般的に、炭水化物量から食物繊維量を差し引いた数値で表される。先ほどの栄養一覧から、蓼の糖質量を算出してみよう。
蓼100gあたりの糖質量
芽蓼100gあたりの炭水化物量は8.8g、食物繊維量は6.3gであることから、単純計算で差し引き2.5gが糖質ということになる。ただしお伝えしたように一度に使う量はごくわずかである。したがって、カロリーと同様にほぼ無視してもよいレベルの糖質量といえるだろう。蓼そのものより、組み合わせる食材の糖質に気を遣うほうが重要かもしれない。
4. 蓼のおすすめの使い方!料理をカロリーオフできる?
蓼自体は非常に低カロリーであるが、一度に大量に使う(食べる)ことはまずないため、蓼をなにかの代わりに食べてカロリーオフを狙う、といったことは難しいだろう。ただし、わずかではあるがカロリーオフを狙える可能性はある。蓼のおすすめの使い方と、どのようにカロリーオフが狙えるのかを最後に解説しよう。
蓼酢を作って調味料として使う
細かくすり潰した蓼と酢、醤油を混ぜ合わせるだけでよい。ピリッとした辛さと酸味が魅力の調味料になる。主に鮎の塩焼きに合わせることが多いが、鮎以外の焼き魚や薄切りの肉など、ほかの料理にもぜひ試してみてほしい。蓼酢のカロリーは非常に低いため、高カロリーの調味料を使うよりも料理をヘルシーに食べられるだろう。なお酒などを加える蓼酢のレシピもあるが、当然その分カロリーは上がるので酢と醤油のシンプルな作り方がよいだろう。
芽蓼を薬味として使う
芽蓼は刺身のつまとして付け合わされることが多い。ほのかな辛さで魚の味を引き立てる役目があるのだ。この芽蓼をほかの料理にも積極的に使ってみてはいかがだろうか?たとえばタレを使うような肉料理だ。芽蓼をまぶして塩や醤油をかければあっさり食べられるうえ、タレの糖質やカロリーも摂らずに済むなど、料理をヘルシーにできる可能性がある。食材との組み合わせがなかなか難しいかもしれないが、試してみる価値はあるだろう。
結論
低カロリー・低糖質の蓼は、一度に少量しか使わないことが多いが、それではもったいないほどβカロテンやミネラル、食物繊維など体にうれしい栄養が豊富に含まれている。手に入れたらぜひ、料理のカロリーや糖質を抑えられないか、いろいろと工夫して使ってみよう。
(参考文献)
- 1:文部科学省 食品成分データベース「野菜類_めたで_芽ばえ、生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06285_7 - 2:文部科学省 食品成分データベース「野菜類_ほうれんそう_葉、通年平均、生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06267_7 - 3:厚生労働省「カロテノイド _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html - 4:厚生労働省「抗酸化ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html - 5:厚生労働省「鉄 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html - 6:厚生労働省「亜鉛 _ 海外の情報 _ 一般の方へ _ 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業」
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/12.html - 7:厚生労働省「食物繊維の必要性と健康 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html