1. 薬味とは?
薬味とは「加薬(かやく)」と呼ぶこともある、香りや味が強い野菜や果物などの総称である。少量でも料理の香りが豊かになり、酸味や辛味などの味わいをプラスしてくれる。また、薬味にはさまざまな栄養素・機能性成分が含まれているのも特徴である。なお、欧米の「ハーブ」や「スパイス」なども薬味の一種であり、これらは主に料理の風味付けなどのために使われている。
薬味にはどんな種類がある?
ひと口に薬味といってもその種類はさまざまある。大きく分けると、野菜類・柑橘類・海藻類・香辛料・種子類などがあり、さらにそれぞれに具体的な食品が含まれる。以下に主な薬味をまとめておく。
- 野菜類:ネギ・ショウガ・大根・ワサビ・シソ・ミョウガ・三つ葉など
- 柑橘類:レモン・柚子・すだち・ライム・カボス・シークヮーサーなど
- 香辛料:唐辛子・コショウ・山椒・花椒・クミン・八角・シナモンなど
また、ゴマ・松の実・クルミなどの種子類、海苔・青のり・アオサなどの海藻類、桜エビ・チリメンジャコ・魚粉などの動物性のものもある。この他にも洋食・中華料理・韓国料理・エスニック料理などそれぞれで使われている薬味があり、世の中には本当に多くの種類の薬味が存在している。
2. 薬味を使う理由とは?
料理に薬味を使う理由は、「ニオイ消し」「風味を添える」「彩りを出す」「殺菌効果・防腐効果」「消化促進・食欲増進」などさまざまある。ここではこのような薬味を使う理由やメリットなどについていくつか確認しておこう。なお、薬味の種類によって、期待できる働きなどは異なる。
理由1.臭みを消す
ワサビ・ショウガ・大根おろしなどには、肉類や魚類などの生臭いニオイを和らげる作用がある。ニオイが和らぐ理由はそれぞれ異なり、ワサビの場合は刺激的な香りがするため、他の食材の臭みなどを感じにくくするから。また、ショウガの場合は臭みそのものを消そうとするからといわれている。
理由2.味を引き立てる
薬味には味を引き立てたり、香りを付けたりするものも多い。例えば、柑橘類を薬味として使えば爽やかな香りと酸味が付き、しつこい料理があっさりと食べられるようになる。また、爽やかな香りが付くことで、食欲が湧いたりもする。このように料理の味と香りを引き立てるためにも使われる。
理由3.彩りを与える
薬味はその色味が特徴的であり、料理に彩りと華やかさを与えてくれる。例えば、茶色っぽい肉料理に緑色の小ネギを散らしたり、炒め物に赤色の糸唐辛子をトッピングしたりするなどがある。このようにするだけで色味が少ないシンプルな料理が、ワンランク上の上品な料理になるのだ。
3. 主な薬味5種類を詳しく解説
前述のとおり、薬味には本当に数多くの種類がある。そこでここでは主な5種類の薬味について、その特徴や働きなどを詳しく解説する。どんな働きがあるのかしっかりと確認しておこう。
その1.ネギ
ネギは、長ネギも小ネギも薬味として使われている。硫化アリルという成分を含んでおり、これが消化液の分泌を促して食欲増進に繋がっているといわれている。また、ネギを切った時に感じる独特な臭いも、この「硫化アリル」が関係している(※1)。輪切りにしたり、みじん切りにしたり、白髪ネギにしたりしてトッピングすることが多くなっている。
その2.ショウガ
ショウガは、すりおろしたり、スライスや千切りにしたりして使われることが多い。ショウガは、殺菌作用を有している「ジンゲロール」や、ジンゲオールから作られる消化促進をサポートする「ショウガオール」などを含んでいる(※1)。ビタミン類やミネラル類などの基本的な栄養素は少ないものの、このように他の食材には見られない特有の作用が期待できる。
その3.ニンニク
ニンニクはショウガと同じように、すりおろしたり、スライスにしたりして使われることが多い。ニンニクには食材の臭みを和らげる働きがあるほか、「アリシン」による殺菌作用や抗酸化作用なども期待できる。また、アリシンはビタミンB1と結合し、ビタミンB1の吸収を高める「アリチアミン」に変化する。その他、エネルギー燃焼を高める「スコルジニン」も含んでいる(※1)。
その4.ワサビ
ワサビは、主にすりおろして使うことが多い。ワサビには「イソチオシアネート」という辛味成分が含まれており、これが臭みを和らげたり、食欲増進をサポートしたりするといわれている。また、ワサビには「シニグリン」という辛味成分も含まれており、こちらには殺菌作用や食欲増進などの働きがあるとされている。日本では古くから刺身などの生魚と一緒に食べられることが多くなっている。
その5.シソ(大葉)
シソ(大葉)は、そのまま使ったり、千切りにしたりして使うことが多い。シソには「ペリルアルデヒド」という香気成分が含まれており、シソ特有の爽やかな香りを楽しむことができる。また、ペリルアルデヒドには殺菌作用や食欲増進などの働きもあるという。
結論
特に和食に欠かせない薬味には、臭みを消す、味を引き立てる、彩りを与えるなどさまざまな働きがある。また、一口に「薬味」といってもその種類は数多くあり、それぞれ違った特徴や働きがある。料理によっておすすめの薬味は異なるので、どんな風に仕上げたいのかなどを考えながら使い分けるようにしよう。
【参考文献】
- ※:農畜産業振興機構「薬味の歴史と夏の薬味」
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/joho/1307/joho01.html - ※1:農畜産業振興機構「野菜ブック」
https://www.alic.go.jp/y-suishin/yajukyu01_000313.html
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