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西条柿は渋柿なのに最上級の甘さ!発祥や食べ方まで徹底解説

西条柿は渋柿なのに最上級の甘さ!発祥や食べ方まで徹底解説

投稿者:ライター 佐々木このみ(ささきこのみ)

監修者:管理栄養士 岩切千晃(いわきりちあき)

鉛筆アイコン 2021年9月 9日

西条柿は、古くから日本人に親しまれてきた歴史の長い渋柿である。西条柿には一体どのような特徴やルーツがあるのか。そして、実際に西条柿を食べる場合は、どのような点に注意すべきか。本記事で詳しく解説していこう。

  

1. 渋柿なのに甘い!西条柿とは

渋柿といえば例外なく「苦い」、「渋い」と考えるものであるが、世の中には「甘い渋柿」が存在する。この矛盾するような柿の名は「西条柿」という。西条柿とはどのような柿なのか、まずはその特徴を見ていこう。

西条柿は渋抜き後の糖度が高い

そのままの状態では渋みがあり、ほかの渋柿と同様にとても食べられるものではない。しかし、西条柿は渋抜き(渋みを抜く作業)をすることにより、糖度の高い柿へと大変身するのである。ものによっては、20度を超える糖度の西条柿もあるというから驚きだ。硬すぎもしなければ、柔らかすぎもしないというほどよいバランスを保っており、緻密で繊細な口当たりが特徴的だ。

渋抜きした西条柿は希少品

渋抜きを行った西条柿は長期間の保存ができない。ゆえに、遠くの地域に輸送をしている西条柿の数はとても少なく、多くの西条柿は現地に行かないと食べられないのだ。

西条柿は形も特徴的

柿というと平たくて四角に近い形を思い浮かべる人も多いかもしれないが、西条柿の形はかなり変わっている。平たいのではなく縦長で、果物のびわに近い形をしている。そして、側面には大きな4つの溝があるのだ。このような形をした柿は、かなり珍しいといえるだろう。サイズは小さめのものから大きめのものまでさまざまだが、200gほどが平均的だ。一般的な柿とは異なる、ずんぐりとしたユニークな見た目も西条柿の大きな特徴である。

西条柿の値段の目安

JAなどで販売されている西条柿の値段は、L~2Lサイズ15玉ほど(約2.5kg)で4000円が目安となる。1玉あたり約270円と一般的な柿よりも高価だが、送料込みの価格のため、産地で購入すればもう少し安くなるだろう。また、傷や汚れなどのあるB級品であれば、約5kgで4000円と一般的なものよりかなりお得である。(値段は2021年7月現在のもの)

2. 西条柿の発祥や産地

渋柿なのに甘く、形も個性的な西条柿は、いつごろから食べられてきたのだろうか。また、西条柿という名称は、産地と関係があるのだろうか。気になる発祥や産地についても探っていこう。

西条柿のルーツは広島や愛知が有力

西条柿はとても歴史が古い柿の一種で、16世紀半ば頃にはすでに日本にあったといわれている。自生している西条柿の木はなく、人が手入れをしないと育たない。
はじめに西条柿の栽培をスタートした地域は、広島の西条ではないかといわれている。
一方、愛媛県の「西条市」が西条柿の名前の由来になっているのではないかといった説も出ており、名前の由来や最初に栽培が行われた地域については詳細不明だ。
ただ、広島の西条に関しては、地元の東広島市にある長福寺で、西条柿に関する資料が見つかっており、当時から干し柿にした西条柿は保存食として食べられていたことも分かっている。

島根県や鳥取県での栽培が盛ん

ブランド柿として本格的に栽培されるようになったのは昭和時代のはじめ頃で、現在では島根県や鳥取県などが生産の中心地だ。西条柿の栽培面積が全国1位を誇る島根県では、県産の西条柿を「こづち」という名称で全国に出荷している。出雲市の平田町が代表的な産地だ。また、鳥取県の西条柿は八頭郡八頭町で主に生産されている。

3. 西条柿の美味しい食べ方

渋抜きを行ったばかりのまだ新鮮な西条柿の場合は、とくに手を加えずにそのまま食べる方法が一番おすすめだ。

西条柿の熟し柿もおすすめ

西条柿は日持ちしないため、数日経つと実が熟してかなり柔らかくなる。そんなときは「熟し柿」として食べるのもよい。西条柿の熟した実はゼリーのようにプルプルになり糖度がさらにあがるため、新鮮な実とはまた違った食感や甘さを楽しめる。
もし、常温の熟し柿が苦手な場合は、熟し柿を冷凍庫で凍らせてシャーベット状にしてみよう。冷凍庫から取り出してしばらく時間を置き、半解凍の状態で食べると冷たくてシャキシャキの食感を味わうことができるのでおすすめだ。

4. 西条柿を美味しく食べるための3つのポイント

西条柿を美味しく食べるには、次の3つのポイントをおさえておくとよいだろう。

ポイント1:西条柿の収穫時期と選び方

西条柿は、10月中旬~11月中旬頃にかけて収穫される。収穫された西条柿はドライアイスで渋抜きされ、すぐに出荷される。成熟すると果皮が緑色から黄~橙色に変化するが、黄緑色の部分があっても食べごろだ。形や果皮の汚れなど見た目が劣るものでも甘みは変わらないため、自家用には問題ない。渋抜きされたものは果肉が柔らかくなっているため、入手したらできるだけ早く食べよう。

ポイント2:西条柿の皮のむき方

西条柿の側面にある溝はかなり深いため、普通の柿のように実を回しながら切ることが難しい。
そのため、まずは西条柿の溝に沿って4等分に西条柿を切り分けてから、側面の皮をむいていく方法がおすすめだ。
このむき方を実践することによって、西条柿の皮むきがスムーズに行える。

ポイント3:西条柿の保存方法

西条柿は日持ちがしないため、早めに食べきるのが一番だ。乾燥すると軟化が進むため、食べきれない場合はポリ袋に入れて口を締め、冷蔵保存しよう。しかし、冷蔵庫でも4~5日ほどしか保存できない。それ以上保存期間を延ばしたい場合は、熟し柿を冷凍保存してシャーベットとして食べよう。

5. 西条柿の干し柿の作り方

西条柿のような渋柿は、干し柿にするというのも美味しい食べ方の一つだ。渋抜き済みの西条柿は日持ちしないが、保存食でもある干し柿にすれば、長期保存も可能になる。

干し柿を作る環境

干し柿は、しっかり乾燥させることが大切だ。そのため、空気が乾燥している時期に作るのがポイントである。西条柿の旬である10~11月頃ならちょうどよいだろう。気温20℃以下で、ベランダや軒先など雨が当たらない場所を選ぼう。また、干し始めて10日ほどの間は発酵や急激な乾燥を避けるために、直射日光を避けることも重要である。

基本の干し柿の作り方

  • 西条柿を洗い、カビを防ぐため水気をしっかり拭き取る
  • へたを丸く短めに切りそろえ、皮をキレイにむく
  • 吊るし用の紐1本(1.2m)に10個を目安(半分の長さなら5個)に、柿同士が触れ合わないよう吊るしていく
  • 鍋に湯を沸かし、柿を紐ごと5秒ほどつける
  • 風通しのよい軒下などに柿を干す
  • 焼酎などのアルコールを霧吹きで柿に吹きかける
  • 1週間ほど経過し表面が硬くなってきたら、ビニール手袋をはめ柿を軽くもむ
  • さらに2週間~1ヶ月以上干す。長期間干す場合は、週に1~2回ほど7と同様に柿をもむ

6. 西条柿のおすすめ通販3選

西条柿は、通販で取り寄せることもできる。産地から直送してくれるオンラインショップを利用し、自宅で西条柿の美味しさを体験してみてはいかがだろう。生食用、干し柿用、あんぽ柿のおすすめ通販を紹介する。いずれも10~11月の旬の時期以外は取り扱い休止のため、申込期間などは各ショップのホームページを確認しよう。

甘さバツグンの西条柿

全農とっとりアグリマーケット

鳥取県の八頭町産の西条柿が直送される。脱渋処理済のためそのまま生食でき、強い甘みとバランスのよい食感が魅力の商品だ。約2.5kg、約5kg、傷や汚れのあるお得な自家用など、数種類から選ぶことができる。予約販売制のため、申込期間などはホームページをチェックしよう。

JAしまね出雲平田柿部会ひらたの柿直売所

島根県出雲市平田町産の西条柿が直送される。日本野菜ソムリエ協会主催の野菜ソムリエサミットで食味評価部門1位を獲得した西条柿だ。量は2.5kg、5kg、10kgから選ぶことができる。

干し柿用の西条柿

神話の国・出雲の西条柿通販サイト【柿壺】「吊るし柿用西条柿」

L~3Lからサイズを選ぶことができ、いずれも総重量7.5kgの商品である。皮をむきやすいよう溝の浅い西条柿が選ばれ、吊るし紐も付いているため、届いたらすぐに干し柿を作ることができる。

西条柿のあんぽ柿

全農とっとりアグリマーケット「あんぽ柿(西条柿)」

一つひとつ丁寧に皮をむき乾燥させ、半生の状態に仕上げたあんぽ柿は、甘みが凝縮している。3個入り1パックで、パック数を選ぶことができる。

7. 西条柿を家庭菜園で栽培してみよう

西条柿は、自分で育てることもできる。苗木を購入し、家庭菜園で育ててみよう。

西条柿のを苗木から栽培する方法

植え付けは、基本的に11月頃から梅雨入り前の時期に行うが、東北より北の地域は春に植えるとよい。通気性がよく、やや湿り気のある土で育つため、腐葉土をすき込み浅めに植え付けよう。乾燥に弱いため水が切れないように、とくに夏季は1週間に1回以上水やりを行う。
肥料は12月頃に有機質のものを与える。夏に花芽がつき、翌春に開花、結実する。柿の樹高は高くなりやすいため、収穫時に不便にならないよう適時剪定を行い、低めに枝が広がるよう仕立てるのがポイントだ。枝が広がると実も付きやすくなる。炭そ病になった葉は速やかに処分し、害虫防止のためスミチオン乳剤を6、7月に散布するとよい。

焼酎を使った西条柿の渋抜き方法

西条柿の渋抜きは、ドライアイスを使用する方法が現在は一般的だ。しかし、家庭で行う場合はより簡単な方法がある。それが、焼酎を使った渋抜きだ。手順は次の通りである。
  • ボウルに焼酎を入れる
  • 西条柿のへたを下にして、焼酎にサッとつける
  • へたに焼酎がついたまま、西条柿をビニール袋に入れ口を閉じる
  • 湿度が低く涼しい場所で1~3週間ほど寝かせる
焼酎がない場合はアルコール度数30度以上の酒でも代用できる。1週間経ったら味見をしながら、渋抜きの時間を調整しよう。ちなみに寝かせている間にある程度アルコールは抜けるが、子どもには食べさせないほうがよい。

結論

渋抜きしたとたん、最上級の甘さをもつ柿になる西条柿。この西条柿を新鮮な状態で味わいたい場合は、現地まで足を運ばないといけないため、かなり希少価値の高い柿といえるだろう。しかし、通販でも品質のよい西条柿を取り寄せることは可能だ。もし、食べる機会があった場合は、ぜひともその甘さを堪能してみてほしい。
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  • 公開日:

    2019年6月11日

  • 更新日:

    2021年9月 9日

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