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バニラエクストラクトとは?特徴や違い・代用方法や作り方まで紹介

バニラエクストラクトとは?特徴や違い・代用方法や作り方まで紹介

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 黒沼祐美(くろぬまゆみ)

鉛筆アイコン 2021年8月30日

お菓子作りをする人ならば、耳にしたことがあるかもしれないバニラビーンズ。対して日本ではあまり知られていないが、欧米では非常にポピュラーなバニラエクストラクト。このほかにも、バニラエッセンスなら聞いたことがあるという人もいるかもしれない。これらは、どれもバニラの風味をつけたいときに使うものだ。それぞれの違いをあげながら、使い分け、そして使い回しができるのかを学んでいこう。

  

1. バニラエクストラクトとはバニラ香料の一種

バニラは、中南米原産のラン科バニラ属の植物のこと。白い花が咲き、芳醇な香りを放つが、料理やお菓子作りに使われるのは、バニラビーンズと呼ばれる種子を含むさやである。人々は、古くからあのなんともいえない香りに魅了され続けてきた。17世紀にはすでに香りを生かした菓子が作られており、アイスクリームのフレーバーとして定着したことを皮切りに、需要が爆発的に増加。現在の産地は、マダガスカルやレユニオン諸島だ。バニラビーンズは、とても高価。このため、よりリーズナブルにあの香りを味わうために誕生したのが、バニラエクストラクトをはじめとするバニラ香料だ。

バニラエクストラクトとは

エクストラクトとは、抽出物を意味する言葉。バニラエクストラクトは、その名の通り、バニラの抽出物である。本物のバニラエクストラクトは、バニラビーンズをアルコールに漬け込み、香りをはじめとする成分を抽出したもののこと。保存性の観点などから、ウォッカなど、高い度数のアルコールを使用しているため、バニラの香りより、アルコールの風味を先に感じることがある。日本では、あまり知られていないが、欧米では非常にポピュラーな存在だ。日本で手に入るバニラエキストラクトは、人工的に作られた香りではなく、天然のバニラを使用しているものが多い。

バニラビーンズとは

バニラビーンズは、バニラの種子を含むさや(果実)を指すのが一般的。収穫時には香りは薄く、発酵と乾燥を重ねることで、あの芳醇な香りへと変化する。ちなみにバニラがさやを蓄えるのは、自然の状態ではなかなか難しいこと。というのも、バニラの花は咲いてから24時間以内に受粉しないと、しおれてしまうのだ。現在では人工授粉の技術が発達しているが、それでも手間が非常にかかることもあり、スパイスの中でも1、2を争うほど高価である。柔らかくしなやかなものが、上質なバニラビーンズだとされている。

2. バニラエクストラクトとバニラエッセンス・バニラオイルの違い

バニラエクストラクトとバニラビーンズと並んで、日本でよく知られるバニラにまつわる素材といえば、バニラエッセンスとバニラオイルであろう。バニラエクストラクトとの違いを学んでいこう。

バニラエッセンスとは

日本ではバニラ香料として、もっとも一般的で、スーパーで簡単に入手することができるバニラエッセンス。こちらもバニラの香りをアルコールに抽出したものだ。バニラエクストラクトとの大きな違いは、バニラの香りが天然かそうでないか。バニラエッセンスは、高価なバニラビーンズではなく、人工的に作られたバニラ香料をアルコールで薄めたものがポピュラー。パッケージを見てみると原材料に食品添加物と記載されているものが多い。香りが高く、ほんの数滴でバニラの風味を表現してくれる。添加物の入っていないナチュラルなバニラエクストラクトに比べると香りの高さは段違い。使用量も少なくて済む。

バニラオイルとは

バニラの香りをオイルに抽出したもの。天然素材のみを使って作られたものと、人工香料などを使用して作られたものがある。アルコール抽出のバニラエクストラクトやバニラエッセンスとは異なり、油性の香料なので、油脂との相性がよく、耐熱性が高い。具体的には、バターが多い生地になじみやすかったり、高温になる焼き菓子に入れても香りが残りやすい。

バニラエクストラクトとその他のバニラ香料の使い方の違い

バニラエクストラクトとバニラエッセンスのアルコール分は、加熱調理すると蒸発する。バニラエクストラクトは、ナチュラルな素材なので、香りも穏やか。対してバニラエッセンスは、人工香料なので強めの香りを味わうことができる。冷菓にも向いている。バニラエクストラクトは、バニラエッセンスよりも濃度が低いので、数滴ではなく、少し多めに入れるといいだろう。ただし、ブランドにより香りの濃度は異なるので注意が必要だ。前述の通り、バニラオイルは、バターが多く、高温で焼きあげる焼き菓子に向いているが、逆に冷菓に使うと少々油っぽさが気になることもある。

バニラエクストラクトとその他のバニラ香料の値段の違い

製菓食材専門の大手『cotta』で販売されている香料で検証してみよう。

バニラエクストラクト 59ml 2497円
バニラエッセンス 30ml 595円
バニラオイル 30ml 719円

10ml換算するとバニラエクストラクトが423円、バニラエッセンスが198円、バニラオイルが240円とバニラエクストラクトが格段に高いことがわかる。ちなみにここで卓上にあげたバニラエクストラクトは、バニラビーンズを水とアルコールにつけただけのナチュラルなものである。

バニラエクストラクトとその他のバニラ香料のカロリーの違い

バニラエクストラクト 288kcal/100g
バニラエッセンス 288kcal/100g
バニラオイル 554kcal/100g

バニラエクストラクトは、多くの家庭用レシピで小さじ1くらいの使用量が明記されている。小さじ1は、5ml。グラム換算は対象物によって変化するが、バニラエクストラクトのような液体は、5~6gだ。仮に5gとすると1回の使用でおよそ14kcal。対してバニラエッセンスの家庭料理における使用量は、数滴ほど。1滴の重量は、ふり方にもよるが0.2gとすると1kcal未満となる。対して、バニラオイルは油性なので、どうしてもカロリーが高くなる。しかし、こちらも使用量は数滴なので、カロリーとしては1kcal程度。どちらにしても、そのものを食べるわけでなく、何かに入れて使われることを鑑みると相当厳しくカロリー計算をしている場合以外は、気になるカロリーではないといえるだろう。ただ、使用分として考えるとバニラエクストラクトのカロリーがもっとも高いことになる。

3. バニラエクストラクトを代用する場合

バニラエクストラクトが家にない!ということもあるだろう。そんなときバニラエッセンスやバニラオイルでの代用は可能なのだろうか?さらにバニラビーンズを使う方法は?

バニラエッセンスやバニラオイルで代用する方法

バニラエクストラクトとバニラエッセンスは、同じくアルコールで抽出しているので、代用品としてはもっとも近い存在といえる。前述の通り、バニラエッセンスのほうが濃度がかなり高いので、代用する場合は、使用量をおさえるといい。また、バニラオイルで代用することも可能。ただし、オイルなので、冷菓には向かない場合もある。使用量は、バニラエッセンス同様、控えるのが正解だ。どちらも、数滴で、バニラエクストラクト小さじ1くらいの香りが楽しめる。ただし、ブランドによっても違いが大きいので、その辺りを鑑みた使用が重要だ。

バニラビーンズで代用する方法

バニラビーンズは、毎日使うものではない。手作りのアイスクリーム、カスタードクリーム、プリンを作るときにあるとよい。その香りはバニラエクストラクトやバニラエッセンスなどの加工品とは雲泥の差。もちろん、仕上がりにも差がつく。しかし、金銭的に余裕があるのなら、ぜひ本物のバニラビーンズを購入してみてほしい。ちなみにバニリンは種子に最も多く含まれるが、さやの内部にも残っているので、さやは捨てずに乾燥させたのち、砂糖と一緒に瓶に入れてバニラシュガーにするなど、有効活用するとよい。

4. 市販のバニラエクストラクトの人気商品3選

残念ながら、バニラエクストラクトは、100均やカルディなどでは販売されていない。購入するなら、製菓食材店がおすすめだ。ある程度の値段を出すことで、添加物のない安全な商品を手に入れることができる。ここからは、市販品で安全性が高いバニラエクストラクトを紹介していこう。

アリサン「オーガニックバニラエクストラクト」

富澤商店など、大手製菓ショップで購入できるオーガニックなバニラエクストラクト。アメリカの有機認定機関OTCO認定なので、安心して使うことができる。使われているのは、上質なバニラビーンズとアルコール、水だけ。最低限の熱で処理しているところも高ポイントだ。

ドーバー「モンレニオンヴァニラエクセラン」

こちらは、最高級品として知られるブルボンバニラ100%で作られた高純度のバニラエクストラクト。香りも味もよいとされ、プロが使用することも多いという。添加物はゼロ。ナチュラルな素材だけで作られているので安心だ。

ナリヅカ「バニラエクストラクト40」

化学合成品、補助溶剤、着色料などが入っていない、正真正銘のナチュラルなバニラエクストラクト。手間暇をかけて、じっくりとバニラの成分を抽出しているので、香りも芳醇。こちらもブルボンバニラを使用している。

5. バニラエクストラクトを手作りしよう!実は簡単な作り方

バニラエクストラクトは、ナチュラルな分、実は家で簡単に作ることができる。使用するのは、バニラビーンズとアルコールだけ。

材料/

バニラビーンズ2本 
ウォッカ、バーボン、ブランデーいずれか200ml
煮沸した清潔な瓶

作り方/

  • バニラビーンズは、半分に切り、縦に切り目を入れて種子が見えるようにする。
  • 瓶に1とアルコールを入れて、軽くふる。
  • 冷暗所に置き、3週間から半年で完成。

6. バニラエクストラクトの保存方法や使用期限

バニラエクストラクトは、冷暗所での保存が基本となる。開封後は、なるべく早く使いきる必要があるものの、アルコールなので、生鮮食品のように神経質になりすぎることはない。開封後は、中に空気や細菌が入らないよう、しっかりと密封することが重要。バニラエッセンスとバニラオイルも同様だ。

結論

バニラビーンズはラン科の植物・バニラのさやと種子。バニラエクストラクトは、そのバニラビーンズをアルコールに浸し、香りを抽出したものである。それぞれ異なるものなので、特徴をしっかりと熟知したうえで使いたい。貴重なので高価ではあるが、その分、本物のバニラビーンズから漂うバニラの芳醇な香りは格別だ。たまの贅沢に、ぜひ一度は本物を手に入れて味わってみてほしい。
(参考文献)
『料理の科学』 ロバート・ウォルク 楽工社
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  • 公開日:

    2019年6月24日

  • 更新日:

    2021年8月30日

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