目次
1. ネクタリンとは?

ネクタリンとは、中央アジア原産のバラ科モモ属の果樹であり、果肉が黄色い「黄桃」の一種である。さまざまな品種があり、代表的なものでいうと「秀峰」「ファンタジア」「メイグランド」「ハルコ」などの種類がある。見た目はスモモ(プラム)に似ているが、香りや味は桃とそっくり。また、旬も普通の桃と同じく7~8月頃となっている。ただし、収穫時期は品種ごとに異なる。
ネクタリンの主な産地
農林水産省の「特産果樹生産動態等調査」によれば、2018年(平成30年)のネクタリン全体の栽培面積は115.0haであった。前年の17年の栽培面積は114.3haであったため微増となっている。とくにネクタリンの栽培が盛んなのは長野県で、18年時点の栽培面積は75.3ha(約66.5%)。長野県以外では福島県(17.2ha)、青森県(11.0ha)、山梨県(5.9ha)などでも生産されている(※1)。
ネクタリンの旬と流通時期
ネクタリンは「あかつき(白桃の一種)」や「黄金桃(黄桃の一種)」などと同じく、7月~9月頃が旬となっている。また、一般的なピークは8月頃とされている。品種によって収穫時期は少しずつ異なり、たとえば、主要品種である「秀峰」や「ファンタジア」は8月中旬以降と比較的遅めになっている。タイミングが合えば9月に入ってからでもネクタリンを入手できる可能性はある。
2. ネクタリンの代表的な品種を4つ紹介

ネクタリンには、秀峰、ファンタジア、メイグランド、ハルコ、サマークリスタル、フレーバートップ、スイートトップなどさまざまな種類がある。ここでは生産量の多い秀峰、ファンタジア、メイグランドなどの特徴を確認しよう。
その1.秀峰(しゅうほう)
秀峰は、ネクタリンとモモを交配させて作られた品種である。250~280g程度の大玉で、ジューシーな食感と優しい酸味が特徴となっている。長野県で多く作られているが、福島県や青森県などさまざまな地域で栽培されている。2017年はネクタリンの中で最も多く生産されている。
その2.ファンタジア
ファンタジアは、1969年にアメリカ合衆国農務省(USDA)が発表したネクタリンで、コールドキングとレッドキングを交配して作られた品種である。250~300g程度の大玉で、ジューシーな食感と程よい甘みが特徴だ。福島県や長野県での生産量が多く、晩成のため主に8月中旬以降に収穫される。
その3.メイグランド
メイグランドは、レッドグランドとアーリーサングランドを交配させて作られた品種である。150g程度の小玉で、まん丸のきれいな球体が特徴。また、酸味が少ないため食べやすいことも特徴である。2017年の統計情報を見る限りでは、メイグランドは長野県だけでのみ作られている。
その4.フレーバートップ
フレーバートップは、フェアータイムから偶然発生した品種とされている。250g前後の大玉であり、鮮やかな赤色の果皮と丸い見た目が特徴である。また、一般的には酸味と甘みが強く、ジューシーで甘酸っぱい味わいを楽しむことができる。日本では長野県や青森県などで栽培されている。
3. ネクタリンの基本的な栄養価

文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によれば、ネクタリン(生)100gあたりの栄養価は以下のようになっている(※2)。なお、ネクタリンの基本的な栄養価は普通の桃と似ているが、βカロテン当量(ビタミンA)に関しては桃よりもネクタリンのほうが圧倒的に多い。
ネクタリン(生)100gあたりの栄養価
- エネルギー:43kcal
- たんぱく質:0.7g
- 脂質:0.3g
- 炭水化物:10.7g
- ビタミン
・βカロテン当量:240μg
・ビタミンB1:0.02mg
・ビタミンB2:0.03mg
・ナイアシン:0.7mg
・葉酸:12μg
・パントテン酸:0.20mg
・ビタミンC:10mg - ミネラル
・ナトリウム:1mg
・カリウム:210mg
・カルシウム:5mg
・マグネシウム:10mg
・リン:16mg - 食物繊維:1.7g
(・水溶性食物繊維:0.7g)
(・不溶性食物繊維:1.0g)
4. ネクタリンの基本的な食べ方

ネクタリンは皮に毛が生えていないため、そのままでも食べることが可能だ。しかし、皮が硬いため歯に引っかかることも多い。そのため、以下のような方法で切り分けるのがおすすめだ。
ネクタリンの上手な切り方
- 包丁をネクタリンの筋から種に当たるまで入れる
- ネクタリンを一周回して切れ目を全体に入れる
- 包丁を抜いてから、実をねじってネクタリンを割る
- 割れたネクタリンを食べやすい大きさに切り分ける
5. ネクタリンの美味しい食べ方2選

ネクタリンの甘みとジューシーさを楽しむなら生食がおすすめだが、ネクタリンをジャムやコンポートなどにするのもおすすめ。また、ジュースなどにしても美味しく楽しむことができる。そんな生食以外のネクタリンを美味しい食べ方についても確認しておこう。
その1.ネクタリンのジャム
ネクタリンのジャムは、トーストやヨーグルトなどの味付けに使うことが可能だ。作り方はネクタリンをカットしてから、レモン汁(またはクエン酸)と合わせておく。次に弱~中火で加熱して、ネクタリンがトロトロになるまで煮込む。その後、砂糖を加えて煮込めばネクタリンのジャムの完成だ。煮沸消毒した清潔なビンなどに入れれば、長期保存することも可能である。
その2.ネクタリンのジュース
ネクタリンの甘みと酸味を活かしたジュース・スムージーもおすすめだ。作り方はカットしたネクタリン、牛乳(ココナッツミルク)、市販のマンゴージュースなどをジューサーに入れて攪拌する。その後、氷を入れたグラスにできたジュースを入れたら完成である。お好みでバナナなどを加えたりして、フルーツジュースにしても美味しい。
6. ネクタリンの正しい保存方法

スーパーなどで買ってきたネクタリンの果肉が硬い場合は、美味しく食べるために追熟するほうがよい。追熟はフルーツキャップを被せたまま新聞紙に包み、常温で置いておくことで行うことができる。
また、熟したネクタリンはあまり日持ちしないため、できるだけ早めに食べるほうがよい。食べる前に1~2時間程度に冷蔵庫に入れて冷やすと美味しく食べられる。冷蔵庫で保存すれば5日程度持つが、「低温障害」という冷やしすぎによる品質悪化が起きやすいので注意しよう。
また、熟したネクタリンはあまり日持ちしないため、できるだけ早めに食べるほうがよい。食べる前に1~2時間程度に冷蔵庫に入れて冷やすと美味しく食べられる。冷蔵庫で保存すれば5日程度持つが、「低温障害」という冷やしすぎによる品質悪化が起きやすいので注意しよう。
結論
黄桃の一種である「ネクタリン」は長野県をはじめ、青森県や山梨県などさまざまな地域で栽培されている。あまり流通量が多くないため普段なかなか目にする機会が少ないが、その香りと味は非常にいいので見つけたらぜひ食べてみるといいだろう。
【参考文献】
- ※農林水産省「ももの歴史と主な品種」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1905_06/spe2_01.html - ※JAながの「農産物情報 桃・ネクタリン」
https://www.ja-nagano.iijan.or.jp/products/fruits/peach.php - ※1:農林水産省「特産果樹生産動態等調査」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokusan_kazyu/ - ※2:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
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