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東洋種と西洋種のハーフ?ほうれん草【交配種】とは

東洋種と西洋種のハーフ?ほうれん草【交配種】とは

投稿者:ライター 井澤佐知子(いざわさちこ)

監修者:管理栄養士 渡邉里英(わたなべりえ)

鉛筆アイコン 2019年10月24日

日本の食卓において、登場頻度がとても高い野菜のひとつがほうれん草である。スーパーマーケットに行けば、年間を通じてほうれん草は購入可能だ。ふだん、深く考えもしないで買っているこのほうれん草にも、東洋種や西洋種が存在することを知っている人は少ないかもしれない。我々が手にするほうれん草の多くは、東洋と西洋のほうれん草をかけあわせたタイプが最も多い。その「交配種」とは、どんな特徴を有しているのであろうか。

  

1. 東洋でも西洋でも冬に大活躍のほうれん草

冬の寒さにとても強い野菜、それがほうれん草である。世界各国で栽培されるほうれん草は、日本ではとくに人気が高く、FAO(国際連合食糧農業機関)の統計によれば、世界で3番目の栽培量を誇っている。また、日本の政府は重要野菜14品目に、ほうれん草を加えている。現在、私たちが手にするほうれん草の多くは、「交配種」と呼ばれるハーフである。その経緯を見ていこう。

ほうれん草の起源は7世紀!

ほうれん草は、西アジアから中央アジアが原産といわれている。ほうれん草というその名も、ペルシャの国の中国名「菠薐(ホーレン)」に由来する。中国でのほうれん草の起源は7世紀にさかのぼるほか、ヨーロッパでは1351年にその利用についての最初の記述が残る。東洋と西洋、それぞれの地で発達した品種には、固有の特徴がある。近代に入ると、先進国がより食べやすいほうれん草の開発に力を注いだため、現在世界の多くの国で栽培されるのが、東洋種と西洋種のよいところを取った「交配種」となったのである。とくに、えぐみが少なく収量も多い「F1」と呼ばれる品種が、交配種の主流となっている。

また、ほうれん草は16~18℃の範囲でよく育つといわれているが、寒さにも強いため平均気温が10℃以下の地域でも問題なく栽培可能な野菜なのである。ある調査によれば、マイナス9℃に達する氷点下においても耐え得たというから驚異である。

2. 交配種のほうれん草は中庸の道を行く

ほうれん草の葉をしげしげと観察する機会は多くないが、実際には品種によって葉の形は多様である。私たちが普段食している交配種のほうれん草は、どのような特徴を持ち、旬はいつなのか、詳しい情報をみてみよう。

東洋種と西洋種の相違

一般的に、東洋種は淡白であっさりとした味わい、西洋種は濃厚な食味を特徴としているが、交配種はまさにこの中間といったところである。東洋種は、葉が厚くはなく茎の部分が長い。さらに、葉はスペードのような形をしている。ただし、収量が少ないため現在は生産量が減っている。一方、西洋種は葉が肉厚で茎が短いために、日本のように束にされて売られることはほとんどない。丸みを帯びた葉は、くるっとカールをしていたり縮れていたりする。中間種はまさにこの2種の真ん中というのが言い得て妙であり、葉の肉の厚さ、茎の長さなどほうれん草の中庸といった感がある。ほうれん草の西洋種が、日本に到達したのは明治時代に入ってからである。収量やえぐみの少なさ、栽培の安易さなど、さまざまなメリットを取り入れた交配種が次々に生まれ、現在はこれらが主流となった。

ほうれん草の旬と正しい選び方

栽培技術の発達で、ほうれん草も年中口にできる野菜となった。本来、ほうれん草の旬は冬である。冬の寒気が、ほうれん草に甘みを与えるために、今でも冬のものが最も美味しいとされている。ほうれん草の丈は、およそ20〜25cm、葉にハリとつややかさがあり、茎の部分もシャキッとしているものが新鮮さの象徴である。葉がしんなりしていたり、茎の切り口が古くなってたりすものは避けるのが無難である。また、葉が主役のほうれん草は、花をつけると味が落ちて商品価値が下がる。畑で収穫する際には、花をつける前に収穫するのが重要である。

3. 中間種のほうれん草、しょうゆ味もバター味もGood!

お浸しなどのあっさりした味付けに向いている東洋種、高温の調理に向く西洋種、双方の特徴を受け継ぐ交配種は、いずれの味付けとも相性がよい。ただ、西洋種の特徴であるアクの強さは侮れないため、お浸しにする場合は、塩を入れたお湯で茎の部分からさっと茹で、アク抜きをしたほうがよい。茹でたあとは、冷水にさらすとさらに美味しい。

ほうれん草は、アニメのポパイのエネルギー源としても有名である。しかし、えぐみや食感は決して子どもたちに好まれるものではない。西洋では、栄養豊富なほうれん草を子どもに食べさせるために、とろけるチーズやバターとともに炒めることが多い。

結論

世界各国、50ケ国以上で日常的に栽培されているグローバルな野菜、ほうれん草。原産地である西アジアから東に向かったほうれん草も、西に向かったほうれん草も、それぞれの風土に合致した進化を遂げてきた。現代人の我々は、そのよいところだけを交配させた品種を美味しく食べることができる。甘さののったほうれん草は、冬の食卓を視覚的にも彩ってくれるありがたい野菜なのである。
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  • 公開日:

    2019年8月20日

  • 更新日:

    2019年10月24日

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