このサイトは、画面を 
縦にしてご覧ください。

高温調理にかなう濃厚な味わいと肉厚のほうれん草【西洋種】

投稿者:ライター 井澤佐知子(いざわさちこ)

監修者:管理栄養士 渡邉里英(わたなべりえ)

2019年10月24日

ほうれん草の品種は、原産地であるペルシア周辺からシルクロードを経て日本まで到達した東洋種と、アフリカからスペインを抜けてヨーロッパに普及した「西洋種」がある。東洋種はお行儀よく長めの茎とそろった葉が同じようなサイズで販売されることが多いのに対し、西洋種は短めの茎に葉の大きさもまちまちで野性味を感じさせる形状が多い。味わいも、繊細な東洋種とは趣を異にする濃厚さがある。

\この記事をシェアする/     
  • Facebook
  • Twitter
  • Hatebu
  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

1. 西暦1000年頃にヨーロッパに到達したほうれん草

バターなどの乳製品ととくに相性がよいとされるほうれん草の西洋種。現在もヨーロッパ各地で栽培され消費も多いほうれん草の祖先は、日本の東洋種と同じくイラン周辺にあるといわれている。東洋種とはどんな違いがあるのであろうか。

スペインからヨーロッパ各地に普及したほうれん草

7世紀のアジアではその存在が確認されているほうれん草、アフリカからイベリア半島に到達したのは推定では1000年頃とされている。ほうれん草を使用した記録の最も古いものは1300年代であるという。また、19世紀にはアメリカ大陸にも到達し、栽培は世界規模へと拡大した。西洋種といわれているほうれん草は、葉の長さが5〜10cmと小ぶりながら、東洋種と比較するとかなり肉厚である。面積は小さいのに実が厚いことから、反り返ったような形状をしていることも多い。

意外に早く日本にやってきた西洋種

ちなみに、東洋種といわれるほうれん草の品種が日本に到来したのは17世紀である。西洋種は、イメージではかなりあとに登場した感があるが実際には幕末、つまり19世紀にフランスから持ち込まれている。しかし、東洋種と比較するといがらっぽい食感があったため日本人には敬遠され、当時は北海道の一部で栽培されるにとどまったという。

2. 病害に耐える強さが持ち味、西洋種のほうれん草

現在、日本で普及しているほうれん草の多くは、東洋種と西洋種の交配種となっている。味覚においては西洋種をしのぐといわれた東洋種のほうれん草が、交配種に劣る点とは何であろうか。

味はよし!されど病弱の東洋種、病気に強い西洋種

東洋種のほうれん草は、寒さによってのるまろやかな甘さや歯ごたえが日本人に愛されてきた。にもかかわらず、市場に交配種が普及したのはなぜであろうか。デリケートな東洋種は病気に弱く、農家にとっては苦労のタネであったようである。そのため、病気に強い西洋種と交配し双方のよいところを生かした品種が生まれたというわけである。西洋種も東洋種と同様に、冬の野菜の代表とされていることに変わりはない。

土臭さも魅力?の西洋種

東洋種よりも丈が短い西洋種は、ヨーロッパの市場などでは根がついたままの姿で無造作に販売されていることが多い。非常にアクが強く、茹でると茹で汁が真っ黒になるほどである。東洋種は、軽く茹でてお浸しであっさりと食するのが美味とされている。一方、西洋種は濃厚な味付けにも耐え得るアクの強さと葉の厚みを誇る。よくいえば、野趣あふれる味わいといったところであろうか。かなりの時間茹でても、茎の部分は硬めで葉もシャキシャキとした味わいが残る。オリーブオイルやチーズなどと調理されると食べやすいため、ヨーロッパでは子どもたちのほうれん草嫌いが意外と少ない。

3. 硬いのが身上の西洋種、まずは茹でてからが基本

肉厚の西洋種は、当然食感も硬い。というわけで、いかにチーズやバターと相性がよくても、炒める前に茹でて火を通したほうが甘みは出る。また、逆にかなりくたくたに茹でたほうれん草をバターやチーズと炒めつつペースト状にしてしまうのもえぐみが抜けて美味しい。西洋種のほうれん草ととろけるチーズを炒めたものは、熱々のうちならばチーズが伸びて視覚的にも美味しい一品となる。子どもが嫌がるときには、パルメザンチーズをかけるとさらに食べやすくなる。

茹でた西洋種のほうれん草の野性的な味を楽しみたい人には、オリーブオイルとレモンをかけることをおすすめする。西洋種のほうれん草のしつこさも、レモンの酸味で緩和されてこちらも美味である。

結論

現在最も私たちの口に入る可能性の高いほうれん草は、交配種である。つまり、東洋と西洋のハーフのほうれん草を食べているわけで、西洋種も立派に私たちの食卓を彩っているといっても過言ではない。西洋種のほうれん草は、東洋種とは味わいや形状を異にしている。しかし、寒冷地でも育つ特徴や栄養価が評価され、世界中で食することが推奨されている。西洋種に出会ったら、在来種とは異なる食味を逆に楽しむのも乙ではないか。
この記事もCheck!

おすすめ記事

ページトップへ ページトップへ