目次
1. ほうれん草の基本的な栄養価

「日本食品標準成分表」には、「生/茹で/冷凍/油炒め」や「通年平均/夏採り/冬採り」といったように状態別・季節別に、さまざまなほうれん草の栄養価が収録されている。ここでは基本となる「ほうれん草(通年平均/生)」の100gあたりの栄養価を紹介する。
ほうれん草(生)の100gあたりの栄養価
- エネルギー:18kcal
- たんぱく質:2.2g
- 脂質:0.4g
- 炭水化物:3.1g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.04g
・一価不飽和脂肪酸:0.02g
・多価不飽和脂肪酸:0.17g - ビタミン
・βカロテン:4200μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:2.1mg
・ビタミンK:270μg
・ビタミンB1:0.11mg
・ビタミンB2:0.2mg
・ナイアシン:0.6mg
・ビタミンB6:0.14mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:210μg
・パントテン酸:0.20mg
・ビオチン:2.9μg
・ビタミンC:35mg - ミネラル
・ナトリウム:16mg
・カリウム:690mg
・カルシウム:49mg
・マグネシウム:69mg
・リン:47mg
・鉄:2mg
・亜鉛:0.7mg
・銅:0.11mg
・マンガン:0.32mg
・ヨウ素:3μg
・セレン:3μg
・クロム:2μg
・モリブデン:5μg - 食物繊維:2.8g
(・水溶性食物繊維:0.7g)
(・不溶性食物繊維:2.1g)
2. ほうれん草の栄養面の特徴を解説!

ほうれん草は、ビタミン類・ミネラル・食物繊維などをバランスよく含んでいる。また、カロリーは低く、食塩相当量も少なくなっている。このようなほうれん草の特徴的な栄養素を確認しておこう。
その1.ビタミン類をバランスよく豊富に含む
ほうれん草はβカロテン・ビタミンE・ビタミンK・ビタミンB群・ビタミンCといったビタミン類をバランスよく含んでいる。特にほうれん草を100g食べれば、1日に必要なβカロテンの約40%を補うことが可能だ(※2)。また、ビタミンB群にはビタミンB1・ビタミンB2・葉酸などに分けることが可能だがいずれも多い。このことから「緑黄色野菜の王様」などと呼ばれることもある。
その2.鉄分・カルシウムなどのミネラル類も豊富
ほうれん草がカルシウム・鉄だけでなく、カリウム・マグネシウム・亜鉛なども多く含んでいる(※3)。ミネラルの働きはそれぞれで異なるが、いずれも身体の働きを調整する役割を担っている(※4)。またミネラル類は食品から補う必要があり、ほうれん草は豊富なミネラル源にもなっている。
その3.食物繊維も比較的多く含んでいる
ほうれん草は、食物繊維を100gあたり2.8g含んでいる。現代人は食物繊維が不足しているといわれているため(※5)、ほうれん草を食べることである程度の食物繊維を補うことが可能だ。なお、成人男性(18~64歳)の場合、1日あたり食物繊維を21g以上摂取したほうがいいとされている(※2)。
その4.カロリーや食塩相当量はかなり少ない
ほうれん草のカロリーやナトリウム(食塩相当量)は非常に低い。そのため、ダイエットや塩分制限をしている人にとって、ほうれん草はおすすめの食品となっている。食事制限を行っていると栄養バランスが偏ってしまうことが多いため、ほうれん草を食べて栄養バランスを整えるようにしよう。
3. ほうれん草の収穫時期による栄養価の違い

ほうれん草は年中流通している食品であるが、時期によって栄養価が異なる。特に旬である冬のほうれん草はビタミンCの含有量が増える。収穫時期によるビタミンCの違いは以下のとおりである。
時期別のほうれん草のビタミンC含有量
- 通年平均:35mg
- 夏採り:20mg
- 冬採り:60mg
冬採りほうれん草のほうがビタミンCは多い
ビタミンC以外の栄養価は収穫時期が変わってもほとんど同じとなっている。しかし、ビタミンCだけは「夏採り」と「冬採り」で約3倍も含有量が変わる。冬採りのほうれん草は「ビタミンCもしっかりと補える」と覚えておこう。
4. ほうれん草の調理方法による栄養価の違い

ほうれん草の食べ方には炒め物、茹で物、汁物などさまざまある。しかし調理法によっては、ビタミンB群やビタミンCといった水溶性の栄養素が流出してしまう可能性がある。そこでレンジ加熱・茹で物・炒め物などといった、調理法別のほうれん草の栄養価の変化についても確認しておこう。
調理法1.レンジ加熱
ほうれん草の下茹で方法の一つに「レンジ加熱」がある。レンジ加熱の特徴には、ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミンの流出を防げることがある。しかし、鉄分の吸収を阻害する「シュウ酸」を十分に取り除けないという欠点がある(※2)。
調理法2.茹で物
ほうれん草は、茹でて下ごしらえすることもできる。茹でる調理法の特徴は「シュウ酸」を十分に取り除けること。しかし、水溶性ビタミンなどが流出する可能性が高い。実際「日本食品標準成分表」を見ても、茹でるとビタミンCや葉酸などは半分近くまで減ってしまっている(※1)。
調理法3.炒め物
ほうれん草を炒め物にすることも多い。炒め物の特徴は水溶性ビタミンの流出を防げることと、βカロテンなどの脂溶性ビタミンの吸収率をアップできることだ。ただし、茹でる調理法に比べると「シュウ酸」が残りやすく、高カロリーにないやすい点には注意が必要となる。
5. ほうれん草の種類を上手に使い分けよう

ほうれん草には、一般雑種・東洋種・西洋種・サラダほうれん草・赤軸サラダほうれん草・ちぢみほうれん草などさまざまな種類がある。このうちサラダほうれん草やちぢみほうれん草などは、ほうれん草の欠点ともいえる「シュウ酸」が少なく(※6)、生食のままでも美味しく食べられる。栄養素を逃さず食べることもできるため、上手にほうれん草の種類を使い分けるようにしよう。
6. ほうれん草の栄養面に関するよくある質問

ここまでほうれん草の栄養価・栄養素を詳しく解説してきた。しかし、まだほうれん草の栄養面について疑問・質問などがあるだろう。そこで最後にほうれん草の栄誉面に関するよくある質問・疑問に回答する。
Q1.冷凍ほうれん草は栄養価が落ちるの?
「日本食品標準成分表」には、冷凍ほうれん草の栄養価も収録されている。これによると生のほうれん草に比べて、冷凍ほうれん草のほうがビタミンB群やビタミンCなどが少なくなっている。その一方で、βカロテン・ビタミンE・ビタミンKなどは増えている。冷凍ほうれん草を使うときには、このような栄養価の違いについても理解しておこう。
Q2.ほうれん草は1日にどれくらい食べていいの?
ほうれん草の1日あたりの上限量は決められていない。しかし厚生労働省「健康日本21」によれば(※7)、ほうれん草などを含む緑黄色野菜は「1日に120g以上が目標」とされている。そのため、人参や小松菜、水菜、オクラ、ブロッコリーなどと合わせて、1日に120g以上食べるようにしよう。
結論
ほうれん草は、ビタミン類・ミネラル類・食物繊維などの栄養素を豊富に含んでいる。そのため、栄養バランスを整えるのに役立つ野菜だ。和食・洋食・中華料理などさまざまな料理に使えるし、炒め物・汁物などいろいろな方法で食べられるので、上手にほうれん草を取り入れるようにしよう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf - ※3:日本土壌協会「環境にやさしく美味しい農産物」
http://www.japan-soil.net/BOOKLET/TK25/TK25_A4.pdf - ※4:厚生労働省e-ヘルスネット「ミネラル」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html - ※5:厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html - ※6:農畜産業振興機構「今月の野菜 ほうれんそう」
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/0712/yasai1.html - ※7:厚生労働省「健康日本21」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b1.html#A13
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