1. 【東方美人】は烏龍茶の仲間

中国茶は加工方法と色によって白茶、緑茶、紅茶、青茶、黄茶、黒茶の6つに分類することができ、東方美人茶は烏龍茶と同じ青茶に分類される。しかし東方美人茶は烏龍茶の仲間であるが、非常に発酵度が高いため紅茶に近いともいわれる。茶葉の発酵とは酸化させることを指す。日本の代表的な緑茶は無発酵茶であるため、日本人にはあまりピンとこないかもしれない。青茶は半発酵茶とも呼ばれているのだが、発酵度は15~80%と幅広い。そのため同じ青茶でも種類によってまったく異なる風味となる。
東方美人茶はヨーロッパでも人気
東方美人茶は発酵度が70%前後と紅茶よりの青茶であるため、ヨーロッパでも飲みやすいと人気のお茶だ。ヨーロッパでは「オリエンタル・ビューティー」と呼ばれ親しまれている。東方美人茶はフルーティーな香りと紅茶のようなオレンジがかった色を特徴としている。また、東方美人茶独特の風味には、「ウンカ」という虫が大きく関係している。ウンカが収穫前の茶葉を噛むことで茶葉は自分を守るための物質を作り出す。この物質がフルーツにようなさわやかな香りをもつことから、東方美人茶は青茶でありながら紅茶のような風味になるのだ。現在は東方美人茶という名称が広く使われているが、茶葉の見た目から「白毫烏龍茶」、またフルーティーな香りから「香檳烏龍茶」とも呼ばれる。名称は異なるものの茶葉自体は同じものであるため、東方美人茶が見つからないときは別の名称で探してみよう。
2. 東方美人の製造方法と保存方法

東方美人茶は青茶と同様に製造される。まず、摘んだ茶葉はすぐに萎凋(いちょう)という作業に入る。萎凋とは風通しの良いところに茶葉を置き萎れさせることで、茶葉が微発酵を起こし、香りを生み出すのだ。十分に茶葉が萎れたら、做青(さくせい)・揺青(ようせい)と呼ばれる作業が行われる。做青・揺青は、青茶製造のうえで重要な作業で、湿らした茶葉を乾燥させながら揺らすことで酸化発酵の調整を行う。東方美人茶に適した発酵が行われたら殺青(さっせい)という茶葉を加熱する作業によって酸化発酵を止める。殺青のタイミングを誤ると発酵の過不足が出てしまうので、非常に重要な作業だ。最後に乾燥させれば店頭で見る東方美人茶の完成だ。
東方美人茶を買いすぎてしまったら
買いすぎてしまった東方美人茶をそのまま放置しておくと、せっかくの風味が損なわれてしまうため保存には細心の注意が必要だ。東方美人茶は湿気に弱いため、開封後は密封できる容器に入れて保存しよう。また密封したら、できるだけ日の当たらない涼しい場所で常温保管しよう。温度を維持できるという点から冷蔵庫に保管する人もいるが、開け閉めが多い家庭用の冷蔵庫だと温度変化が多くなり結露が発生する恐れがあるため、注意が必要だ。
保存方法を工夫することで長く楽しむこともできるが、早めに飲みきるようにしたほうがよい。
保存方法を工夫することで長く楽しむこともできるが、早めに飲みきるようにしたほうがよい。
3. 東方美人を美味しく飲むポイント

中国茶の飲み方はさまざまある。専用の茶器を持っていなくても、持っている急須やティーポッドなどを使ってまったく問題ない。しかし本格的に中国茶を堪能したいなら、中国茶用の茶器を使うのがおすすめだ。中国茶で使われる茶器には茶壺(ちゃふう)と蓋碗(がいわん)の2種類あり、飲むお茶によって使い分ける。香りを楽しむお茶を飲むときには茶壺のほうが適しており、東方美人茶のフルーティーな香りを楽しむなら茶壺が最適だといえる。
茶壺の使い方
茶壺に茶葉を入れる前に、まず茶壺を温める作業を忘れてはいけない。最初に熱湯を入れて茶壺を温めたら、すぐ熱湯を捨てて東方美人茶の茶葉を入れる。今度は抽出用の熱湯を、茶壺からあふれるぐらい入れる。もし茶葉も流れ出てしまいそうになったら茶壺のふたでおさえつけよう。ふたをした状態でさらに熱湯を茶壺にかけて蒸す。熱湯をかけるのは茶壺の保温性を高めたいからだ。抽出し終えたら茶こしを使いながらカップに注ぐ。
美味しく淹れるための条件
中国茶を美味しく飲むには、それぞれに適した温度と時間で抽出する必要がある。青茶は発酵度に幅があるため、同じ青茶でも温度と時間が違う。そのため、それぞれに適した温度と抽出時間を知っておかなければならない。東方美人茶は85℃のお湯で1分間抽出するのがベストの飲み方だ。低めの温度で抽出することで東方美人茶のフルーティーな香りを堪能することができる。
結論
台湾を代表する東方美人茶は蜜のような甘い味わいとフルーティーな香りが特徴だ。紅茶のような味わいを楽しめる烏龍茶であるため、ヨーロッパでも愛されたお茶である。本格的に東方美人茶を楽しむなら中国茶を飲むときに使う茶壺を使おう。茶壺を使うことで東方美人茶の持つフルーティーな香りを十分に堪能できる。
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