1. サン・フェリシアンの特徴

サン・フェリシアンは牛乳から作られるソフトタイプのチーズである。同じ地方で製造されるサン・マルスランをヒントに作られた。もとは山羊のミルクから作られるシェーブルタイプのチーズであったが、時の経過とともに牛のミルクを使うようになった。中は淡黄色で、表皮は白く薄い酵母で覆われている。
サン・マルスランとの違い
サン・フェリシアンの直径は8~10cm程度で、もとにしたサン・マルスランに比べるとひと回りかふた回りほど大きい。また、サン・マルスランの脂肪分が50%なのに対し、サン・フェリシアンは60%と高い。固形分に含まれる乳脂肪の割合が60~75%にして作る製法はダブルクリームと呼ばれ、こってりとした牛乳のコクが感じられるのが特徴である。サン・フェリシアンよりもさらに脂肪分を高めたチーズもある。
味や香り
サン・フェリシアンは濃厚なミルクの甘みが特徴である。とろとろに熟成させてもクセが少ないため、熟成チーズ初心者でも食べやすい。シルキーでなめらかな舌触り、やわらかいバターのような食感だ。口に入れるとほのかにナッツのような香りが広がる。風味豊かでコクのある甘さが特徴的だ。
2. サン・フェリシアンの産地と食べごろ

サン・フェリシアンはフランスのローヌ・アルプ圏で作られる。ローヌ・アルプ圏では良質なミルクから作られるチーズが人気で、上品なコクとさわやかな香りが定評のある「ボーフォール」や、スパイシーなシェーブルチーズ「ピコドン」などが有名である。また、「コート・ロティ」や「コンドリュー」、「エルミタージュ」などの高級ワインの産地としても知られている。
食べごろ
年間を通して食べることができるが、春から秋にかけてが最も美味しい。2週間以上熟成させ、とろとろになった状態がベスト。ナイフで切ると中からチーズがとろっと流れ出し、濃厚な甘みのあるミルクの味をより感じることができる。保存はあまりきかないが、サイズも大きすぎないので気負わず購入できるところも魅力だ。
3. サン・フェリシアンの食べ方

サン・フェリシアンは容器に入れて販売しなければならないほどやわらかい。とくに熟成させてとろとろになった状態のサン・フェリシアンは手でつまんで食べることはできないので、ヨーグルトのようにスプーンですくって食べるのが一般的だ。
また、とろっとした形状を活かしてソースにし、生野菜をつけて食べたり、バターのようにトーストに塗って食べたりしても美味しい。値段は高いが、濃厚なので少量でも満足感が得られる。さまざまな食べ方を楽しむとよいだろう。
また、とろっとした形状を活かしてソースにし、生野菜をつけて食べたり、バターのようにトーストに塗って食べたりしても美味しい。値段は高いが、濃厚なので少量でも満足感が得られる。さまざまな食べ方を楽しむとよいだろう。
相性のよいワイン
サン・フェリシアン自体が濃厚でまったりとした味わいなので、ワインはすっきりとしたテーブルワインがよい。日本でも有名な「ボジョレーヌーボー」などがおすすめだ。フルーティーな白ワインも合う。サン・フェリシアンはフランス産のチーズなので、ワインもフランス産のものにするとよいだろう。
結論
熟成期間により味や食感が変化するサン・フェリシアンについて紹介した。同じチーズでさまざまな顔を楽しむことができるのがサン・フェリシアンの魅力である。また、ミルクのコクや甘みだけでなく、ほんのりとした苦みも感じられ、味に深みがあるのもこのチーズならでは。最初の一口目は目を閉じて、ゆっくりと味わってみるとよいだろう。
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