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アルゼンチンワインの代名詞【マルベック】の特徴を解説!

アルゼンチンワインの代名詞【マルベック】の特徴を解説!

投稿者:ライター 井澤佐知子(いざわさちこ)

監修者:管理栄養士 小林里穂(こばやしりほ)

鉛筆アイコン 2019年10月26日

フランスのボルドー地方が原産のマルベック。現在は、アルゼンチンが主な栽培地となっている。アメリカ大陸において、「ブランク・スペース」と呼ばれてワインの生産には一歩遅れを取っていたアルゼンチンは、マルベックによって大躍進を遂げた。マルベックは、いまではアルゼンチンワインの代名詞とも呼ばれている。強い個性が魅力といわれるマルベックとは、どんな品種なのであろうか。

  

1. ボルドー原産、メルロ種に追われたマルベック

現在は、マルベックといえばアルゼンチンを思い浮かべるほどだが、原産地はフランスである。しかし、現在フランスにおけるマルベックの栽培は、ボルドー地方、フランス南部の一部にとどまっている。マルベックの歴史とともに、その理由を見ていこう。

■農学者によって19世紀にアルゼンチンへ

元来、個性が非常に強いといわれるマルベックは、フランスのボルドー地方に起源があるといわれている。19世紀、欧州のぶどうを襲った害虫被害によって、フランスのマルベックは危機的状況に陥った。マルベックの苗木をアルゼンチンに持ち込んだのは、ミゲル・プジェという農学者であったという。現在、フランスにおけるマルベックの栽培地は、フランス南部のカオールである。この地のマルベックは、濃厚な色合いとくせの強さが特徴となっている。そのために、「カオールの黒」とも呼ばれている。一方、アルゼンチンに渡ったマルベックは、まろやかでビロードのようなタンニン、好ましい凝縮感、ほどよい酸味によってフランス産を凌ぐといわれるようになった。アルゼンチンの一大ワイン生産地メンドーサは、現在は「マルベックの都」と呼ばれている。

■原産地のボルドーではメルロが主役に

近年では、フランスのロワール地方でも栽培が増えてきたマルベックではあるが、原産地のボルドーではあまり見ることがない。ボルドーのワイン生産者たちは、より貴族的な味わいと評されるメルロ種を主役として選択したため、個性の強いマルベックはメルロに追われたという説もある。マルベックという名のほかに、「コ―」「オーセロワ」の別名も。

2. アルゼンチンをワインの国とたらしめたマルベックの実力とは

一説には、アルゼンチンの経済危機を救ったのはマルベックのワインとまでいわれている。くせの強さで万人向きではなかったフランス原産のマルベックは、アルゼンチンで理想的な気候を見出し、世界中のワイン通をうならせるレベルにまでのしあがったのである。

■なによりの特徴は、濃厚な色!

マルベックは、葉が大きいわりに房は中くらいである。房の形が、ピラミッドを逆にしたようになる特徴がある。ぶどうの実は中ほど。なによりの特徴は、黒に近い濃厚な色合いである。マルベックのワインが「黒ワイン」と呼ばれるゆえんである。主要生産国はアルゼンチンだが、チリやカリフォルニア、オーストラリアでもマルベックは栽培されている。とはいえ、アルゼンチンのマルベックを超すレベルには至っていない。栽培が難しい品種といわれるマルベックは、アルゼンチンに理想的な気候と土壌を見出したといえる。

■1990年代に大躍進

マルベックが大躍進を遂げたのは、1990年代である。アルゼンチンのワイン生産者ニコラ・カテナ・サパーナ氏によって、マルベック種は標高1,500mの地に植えられ、新たなワインを生みだした。21世紀に入り、世界各地で行われたブライングテイスティングにおいて優秀な成績を収め続けたマルベックは、世界中にその名を知られるようになる。ワイン生産においては、アメリカ大陸のブランク・スペースという不名誉なあだ名を持っていたアルゼンチンは、マルベックによって名誉挽回したというわけである。アルゼンチンの経済さえも救ったといわれたマルベックは、アメリカにおいてとくに需要が高まり、一時期はオーストラリア産のシラーズのアメリカへの輸出量に影響を与えるほどになったという。

3. 好き嫌いが別れるマルベックのワイン、その楽しみ方

近年では、英国の人気グループU2のボーカルBonoが、アルゼンチンのメンドーサに50haのブドウ畑を購入。マルベックも栽培しているそうだ。一流のアーティストをも魅了するマルベックは、強いタンニン、高い含有量のポリフェノールによって、非常に個性的な味わいである。そのため、好き嫌いがわかれるワインともいえる。
若いマルベックは、アペルティフにも向いている。サラミなどの前菜とともに飲んでもおいしい。一方、熟成されたマルベックはどっしりとした肉料理と合う。重々しさがあるワインのため、ジューシーで脂がのった肉ととくに相性がよい。

結論

黒ワインというカテゴリーを生み出すほど濃い色が特徴のマルベック。原産はフランスだが、現在はアルゼンチンを代表するワインとして高い知名度を誇る。色と同様に、味わいもブラックベリーを濃縮したような重厚感がある。アルゼンチンのマルベックは、フランスのそれと比べるといくぶん穏やかな味わいである。アルゼンチン経済を救ったともいわれるマルベック、こってりとした肉料理と一緒にその豪壮な味を楽しんでみよう。
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  • 更新日:

    2019年10月26日

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