1. ロンカルってどんなチーズ?

ロンカルは、スペインのナバーラ州ピレネー山脈にあるロンカル渓谷で作られている。羊の生乳を原料とするハードタイプのチーズだ。ロンカルという名称は産地であるロンカル渓谷が由来となっているが、これは原産地呼称認定制度(DOP)が関係している。ほかの地域で作られた類似品との差別化をはかるため、DOPによってロンカル渓谷で作られているものだけが、ロンカルとして販売できるよう決められているのだ。
原料となるミルクは2種の羊のみから
ロンカルの原料に使用するミルクは、ラチャ種とナバーラ種の2種の羊から搾乳したものに限られている。これもDOPでそのように規定されているから。土壌の性質が農業に向かないピレネー山脈一帯で暮らす人々は、牧畜に頼る生活をせざるを得なかった。羊やヤギの頭数を増やせば生活は豊かになるが、家畜が増えることはエサとなる植物が消費されることにつながる。それは、ピレネーの自然環境が脅かされることを意味するのだ。そこで、2種の羊のみを飼育しながら乳製品を作るという考えに至ったのである。
伝統的製法で作られる期間限定のチーズ
ロンカルはピレネーで古くから作られ、親から子へとその作り方が伝授されながら引き継がれてきた伝統的なチーズである。正確なレシピが作られたのもDOPに指定されてからだ。そのため、同じロンカルでも工房によって味が若干変わるということがいまでもあるといわれる。また、ロンカルが作られる時期は12~7月に限られている。この時期の羊のミルクが最も濃くて良質だからだ。期間限定のチーズという点もロンカルの魅力の一つである。
2. ロンカルの味の特徴

一般的に、羊のミルクは牛乳よりも濃厚である。そのうえロンカルは、1年のうち最も脂肪分の高いミルクを使用して作られているため、非常にこってりとしたチーズなのだ。
熟成期間により異なる味わい
どのチーズにもいえることだが、熟成期間が長くなるほどクセが強くなる。ロンカルも、熟成が若いものほどミルク感が強くこってりとしており、熟成が進んだものはアミノ酸の結晶ができピリッと刺激を感じる。いずれもバターのようなコクが感じられるのがロンカルの特徴で、独特の風味はマッシュルームの香りと表現されることもある。
羊のミルクならではのクセ
羊の肉には独特のクセがあるが、ミルクにも同じことがいえる。とくに羊のミルクを飲み慣れていない日本人にとっては、ロンカルのクセを獣臭いと感じるかもしれない。とはいえ食べ慣れてくるうちに気にならなくなる程度であり、逆にやみつきになる人も多いそうだ。
3. ロンカルの食べ方

ロンカルのクセが気になる場合は、ジャムと一緒に食べるとよい。塩気が強くないチーズのため、甘いものと組み合わせると意外と美味しいのだ。クセに慣れれば素朴な美味しさの虜になり、毎日でも食べられる。サンドイッチの具などにもおすすめである。
また、長期熟成した硬質のロンカルは、すりおろしてサラダやパスタなどの料理にかけても美味しい。ちなみにロンカルをつまみとして食べる場合は、フルーティーな赤ワインや風味の強めな白ワインを合わせるのがおすすめだ。
また、長期熟成した硬質のロンカルは、すりおろしてサラダやパスタなどの料理にかけても美味しい。ちなみにロンカルをつまみとして食べる場合は、フルーティーな赤ワインや風味の強めな白ワインを合わせるのがおすすめだ。
結論
羊のミルク自体、飲んだことがないという人も多いだろう。羊は、肉同様にミルクにも独特のクセがあるが、それがロンカルの魅力に直結しているともいえる。日本ではなかなか見かけることのないチーズだが、スペインの食材専門店などで稀に取り扱われていることもある。もし運よく出会えたら、ぜひチャレンジしてみよう。
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