1. カネストラートってどんなチーズ?

カネストラートの名前の由来は、「カゴ」である。その名の通り、表面にはカゴのような細かい網目模様が見られる。熟成させる際にカゴに入れているため跡がつくのである。
カネストロと呼ばれるカゴで熟成
カネストラートは南イタリアのプーリア州で生産される。この地方では、カネストロと呼ばれる葦で編まれたカゴが民芸品として知られている。かつてはチーズの水分を飛ばしやすくするために、このカゴに入れて熟成させていたそうだ。現在はカネストロの素材が葦からプラスチックに変わったものの、カゴ由来の網目模様はカネストラートの象徴として受け継がれている。
羊乳で作られる大きなハードチーズ
カネストラートはプーリア原産の羊から搾られたミルクで作られた、じっくりと熟成させるハードタイプのチーズだ。イタリアではプーリア州以外の地域でもよく見かけられる。直径14~34cm・重量7~14kgと大きなチーズのため、切り分けられて販売されるのが一般的だ。切り分けると網目は目立たなくなってしまうが、転々と見られる穴がいかにもヨーロッパのチーズといった雰囲気である。
DOP認定のものも
カネストラートの中でも、とくに北プーリア・フォッジャ県の近郊で生産されているものは「カネストラート・プリエーゼ」と呼ばれDOP認定されている。
2. カネストラートの味とは

カネストラートといえばカゴ模様のチーズというイメージだが、肝心な味のほうも気になる。カゴで熟成させられることにより、しっかりと水分が抜けミルクの成分が凝縮しているカネストラートはどのような味なのだろうか。
羊乳ならではの濃厚さと熟成による変化
カネストラートは羊のミルクで作られている。一般的に、牛乳よりも羊乳のほうが濃く独特の風味があるため、羊乳ならではのコクを感じられるチーズに仕上がっている。また、カネストラートの熟成期間は最低でも90日間。これだけ熟成していれば水分は抜けミルクの旨みが凝縮されるが、クセはあまりない。さらに10ヶ月以上熟成させると、ピリッとした辛みを感じる酸味や独特のクセが出てくる。このように、同じカネストラートでも熟成期間によってかなり風味が変わってくるため、好みで選ぶとよいだろう。
3. カネストラートの美味しい食べ方

カネストラートはそのまま食べても美味しいし、料理に加えてもアクセントになる。熟成期間によって使い分けよう。
若いタイプはつまみに
熟成期間が短めのカネストラートは、薄くスライスしてそのまま食べるのがおすすめである。クセがあまりないため、羊乳のチーズを食べ慣れていない人でも比較的食べやすい。赤ワインとも白ワインとも相性のよいチーズのため、ぜひつまみとして楽しもう。
すりおろして風味付けに
熟成期間が進むと、カチコチになりそのまま食べるには刺激が強いかもしれない。その場合は、すりおろして料理に加えて食べよう。凝縮されたミルクの旨みとコクと辛みが加わり、ほどよいアクセントとなる。
食べ比べもおすすめ
熟成期間の異なるタイプや、DOPに認定されているものと一般的なものを食べ比べてみると、それぞれの持つ個性をより感じられるだろう。カネストラートはイタリア産チーズの中でも比較的入手しやすいため、チーズ専門店などの取り扱いをチェックしてみよう。
結論
びっしりと表面を飾るカゴの模様がなんともおしゃれなカネストラートだが、羊乳を熟成させた濃厚な旨みやコクもまた魅力である。カネストラートを入手する機会があったら、個性的な外観だけでなく味も存分に楽しんでほしい。
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