1. 新しい古典的チーズ、オールドウィンチェスター
チーズはもともと保存食である。生のミルクの保存が難しい時代に、少しでも無駄にしないようにとバターやヨーグルトなどとともに作られてきたといわれている。できるだけ長期間保存させるため、昔のチーズは腐敗を防ぐために味を濃くしたり乾燥させたりなどして保存性を高めてきた。
ところが、近年保存技術が高くなり、流通も比べ物にならないほどよ良くなった昨今、柔らかいものや水分量の多いフレッシュなチーズが、多く作られるようになってきた。現代人の嗜好性の変化もあるだろうが、保存方法の悩みからある程度解放され、好きなものを作れるようになったのだろう、毎年作られる新作のチーズにその傾向が見えるようだ。
そんなチーズ業界の流れの中、オールドウィンチェスターは2000年以降の誕生ながら、9~16ヶ月、モノによってはもっと長い期間の熟成を経た、保存に向いたガッチリとしたハードタイプのチーズである。レシピはゴーダチーズをベースにしたそうだが、オリジナルの味わいを作りあげている。オールドウィンチェスター、またはオールドスマレス(Old Smales)とも呼ばれるそれは、イギリス・ランドフォードにある酪農家が生産している。見た目は非常に地味な円筒形の、ごろんとしたチーズである。覆われているプラスティックを外すと、外皮はオレンジかかった明るい茶色で、内側に行くにつれてクリーム色になっていく。ゴーダを元に作られているが、チェダーチーズの味わいもあり、噛みごたえがある生地だ。しっかりと噛みしめていくうちに、ナッツのような香りとクリーミーな味わいがでてくる、モダン・ブリティッシュチーズとして人気である。
ところが、近年保存技術が高くなり、流通も比べ物にならないほどよ良くなった昨今、柔らかいものや水分量の多いフレッシュなチーズが、多く作られるようになってきた。現代人の嗜好性の変化もあるだろうが、保存方法の悩みからある程度解放され、好きなものを作れるようになったのだろう、毎年作られる新作のチーズにその傾向が見えるようだ。
そんなチーズ業界の流れの中、オールドウィンチェスターは2000年以降の誕生ながら、9~16ヶ月、モノによってはもっと長い期間の熟成を経た、保存に向いたガッチリとしたハードタイプのチーズである。レシピはゴーダチーズをベースにしたそうだが、オリジナルの味わいを作りあげている。オールドウィンチェスター、またはオールドスマレス(Old Smales)とも呼ばれるそれは、イギリス・ランドフォードにある酪農家が生産している。見た目は非常に地味な円筒形の、ごろんとしたチーズである。覆われているプラスティックを外すと、外皮はオレンジかかった明るい茶色で、内側に行くにつれてクリーム色になっていく。ゴーダを元に作られているが、チェダーチーズの味わいもあり、噛みごたえがある生地だ。しっかりと噛みしめていくうちに、ナッツのような香りとクリーミーな味わいがでてくる、モダン・ブリティッシュチーズとして人気である。
2. オールドウィンチェスターができるまで

オールドウィンチェスターを生み出したのは、もともとは牛乳を搾り、販売していた酪農家であった。牛乳価格の下落をきっかけに、牛乳のみで生計を立てることができなくなった時のことを考え、チーズ生産に乗り出すことにしたのだ。しかし、チーズを作るための知識がなかった彼らは、有名なチーズメーカーコースを受講するなどしてチーズ作りを学んだが、それはチェダーチーズの生産方法だった。近隣にはすでに良質で伝統的なチェダーチーズを生産しているメーカーがたくさんあったため、チェダーチーズではなく別のチーズを作ることを考えていた。そこで考えついたのがゴーダチーズのレシピである。しかし彼らの頼りはレシピと、たった数日学んだチーズメーカーの知識だけであった。当然のように作製は難航したが、そのうちに、自然に彼らの中にあるゴーダチーズとチェダーチーズ制作の技術を組みわせていたのだ。ここで新しいチーズ「ライバーンゴールド」という、セミハードのゴーダチーズが生まれた。滑らかでクリーミー、ブリティッシュ・チーズアワードというチーズの大会でメダルを獲得するほどの出来栄えであった。
しかし、地元の人たちは新しいチーズをなかなか受け入れてはくれなった。チェダーチーズを基本として食生活が完成されていたので、チェダーチーズより柔らかく、色の薄いライバーンゴールドは敬遠されたのだ。なので、ライバーンゴールドを熟成させ、より硬く色を濃くした。それを近隣の街の名前にちなんで「ウィンチェスター」と名付けて販売したが、それでもいい反応は得られなかった。最終的にはチーズを16ヶ月以上、じっくりと熟成させて水分を飛ばし、がっちり固めることによって、ようやく地元の理解を得られたのだ。これが、「オールドウィンチェスター」なのである。ゴーダチーズの甘さ、チェダーチーズのナッツのような香り、そしてパルメザンチーズに似た微かなスモーキーさが加わり、素晴らしいチーズができあがったのだ。
しかし、地元の人たちは新しいチーズをなかなか受け入れてはくれなった。チェダーチーズを基本として食生活が完成されていたので、チェダーチーズより柔らかく、色の薄いライバーンゴールドは敬遠されたのだ。なので、ライバーンゴールドを熟成させ、より硬く色を濃くした。それを近隣の街の名前にちなんで「ウィンチェスター」と名付けて販売したが、それでもいい反応は得られなかった。最終的にはチーズを16ヶ月以上、じっくりと熟成させて水分を飛ばし、がっちり固めることによって、ようやく地元の理解を得られたのだ。これが、「オールドウィンチェスター」なのである。ゴーダチーズの甘さ、チェダーチーズのナッツのような香り、そしてパルメザンチーズに似た微かなスモーキーさが加わり、素晴らしいチーズができあがったのだ。
3. オールドウィンチェスターは旨みの塊

オールドウィンチェスターは、マイルドで甘さを感じるチーズである。クセは弱く、食べやすい。また固いチーズなので、パルメザンチーズのように削って使っても美味しい。使われるミルクは低温殺菌された牛乳のみ。ベジタリアンレンネットという凝乳酵素を使用しているため、ベジタリアンパルメザンとして、ベジタリアン向けレストランでも使用可能のチーズである。食感はほろりとしているが、熟成期間が長いものはチーズの中にプチプチとした、まるでとびっこのような魚卵が練りこんであるような面白い食感になる。このプチプチは結晶質ともいわれ、アミノ酸が結晶化したものだ。食品タンパク質が分解されて生じる「チロシン」の結晶である。食べられるので安心してほしい。
食品のタンパク質は、20種のアミノ酸で構成されるが、水に溶けにくいチロシンだけが目に見える結晶になる。このように目に見えるアミノ酸はチロシンだけだが、そこには食品タンパク質が分解されて、ほかの旨み成分であるアミノ酸もたっぷりあるという目印である。チロシンが出現しているチーズは、熟成が進んでいると判断していい。チロシンそのものに味はないが、食感がユニークである。固いチーズなので、すりおろしたり砕いたりして、調理に使うのもいいがそのまま食べるのもいいつまみになる。マイルドな味わいなので、ブラックペッパーをひとふりすると、甘みがより引き立つ。酒との相性もアップするのでおすすめだ。
食品のタンパク質は、20種のアミノ酸で構成されるが、水に溶けにくいチロシンだけが目に見える結晶になる。このように目に見えるアミノ酸はチロシンだけだが、そこには食品タンパク質が分解されて、ほかの旨み成分であるアミノ酸もたっぷりあるという目印である。チロシンが出現しているチーズは、熟成が進んでいると判断していい。チロシンそのものに味はないが、食感がユニークである。固いチーズなので、すりおろしたり砕いたりして、調理に使うのもいいがそのまま食べるのもいいつまみになる。マイルドな味わいなので、ブラックペッパーをひとふりすると、甘みがより引き立つ。酒との相性もアップするのでおすすめだ。
結論
オールドウィンチェスターは、オールドスマレスとも呼ばれる。チーズの名前に地名がつくのはよくあることで、ウィンチェスターはわかりやすい。余談であるが、このチーズを作りだした人物が、ランドフォードのマイクとジュディ・スマレスである。ひょっとしたら、作り手の名前がついたチーズだったのかもしれない。
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