1. テストゥン・アル・バローロってどんなチーズ?

テストゥン・アル・バローロは、イタリア・ピアモンテで生産されているハードタイプのチーズだ。テストゥンとは「石頭」という意味のイタリア語で、バローロは地元で生産される赤ワインの名前である。石頭という名からは非常に硬いチーズがイメージされるが、バローロによってまったく違う食感になるのだ。
■硬いチーズがワインの力で変身
テストゥン・アル・バローロの作り方は、牛乳とヤギ乳から作られたチーズをまず1年ほど熟成させる。この時点ではまさに石頭のように硬いのだが、バローロの搾りかすに漬けて寝かせることでしっとりと柔らかくなる。ワイン樽の中で熟成されたテストゥン・アル・バローロは、食感だけでなくワインの旨みや香りも吸収し、芳醇な味わいに変化するのである。
■酔っ払いチーズコンクールで優勝
イタリアでは、ワインの搾りかすに漬け込んで熟成させたチーズがほかにも数多く生産されているが、テストゥン・アル・バローロの美味しさは格別といわれている。その証拠に、スローフード協会が開催する酔っ払いチーズコンクールで1999年に優勝を果たしている名高いチーズなのだ。
■生産は年に1回
テストゥン・アル・バローロは高級ワイン・バローロありきで作られるため、生産も1年に一度と限られている。贅沢な製法のうえ生産量も少ない、高価で貴重なチーズなのだ。特別な日にじっくりと味わいたい逸品として毎年入荷を待ちわびるファンも多い。
2. テストゥン・アル・バローロは搾りかすまで美味しい

テストゥン・アル・バローロは、赤黒い搾りかすに覆われたままの姿で販売されている。粕漬のように表面を洗い流したくなるかもしれないが、ワイン好きの人は搾りかすも一緒に食べたほうがより美味しいそうだ。
■搾りかすはブドウの皮と種
バローロの原料はネッビオーロというブドウなので、テストゥン・アル・バローロの表面を覆う搾りかすは、このブドウの皮と種ということだ。搾りかすにも赤ワインの濃厚な風味が残っているため、取り除かずにそのまま食べれば、まるでワインとチーズを同時に味わっているような贅沢な気分になれる。酒が好きな人だけでなく、粕漬や奈良漬けが好きな人にも好まれやすい味といえるだろう。
3. テストゥン・アル・バローロはつまみ向け

チーズ自体に赤ワインの風味がしみ付いているテストゥン・アル・バローロは、料理に使うよりも薄く切ってそのまおつまみとしてじっくり味わいながら食べたい。酒を飲む必要もない気がするほど芳醇だが、赤ワインとともに楽しむのがやはりおすすめだ。
■ピエモンテのワインとともに
テストゥン・アル・バローロは、合わせる赤ワインもやはりバローロが一番といわれる。バローロが手に入らないときは、バルバレスコなどほかのピエモンテ産赤ワインを選ぼう。赤ワイン以外の酒を合わせる場合は、デザートワインや味のしっかりとした地ビールなどを選ぶとよい。
結論
チーズをつまみに赤ワインを飲むのが好きな人にとって、テストゥン・アル・バローロは最高のチーズといえるだろう。石頭のようにコチコチだったチーズが、バローロワインに漬け込まれることによってとろけるように柔らかく芳醇に変化するのは興味深い。その魅惑の風味を一度は体験してみたいものである。
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