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型はキッチンのアレ?円盤型の羊乳のチーズ【バークスウェル】とは

型はキッチンのアレ?円盤型の羊乳のチーズ【バークスウェル】とは

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 藤江美輪子(ふじえみわこ)

鉛筆アイコン 2019年12月10日

特徴的な形のハードタイプチーズ、バークスウェルはイギリスで作られる羊乳チーズである。厚みのある円盤型、あるいはUFO型といえばいいのか、こんもりと丸い形と外皮に残る網目模様が面白い。羊のミルク、またはそのチーズは日本ではあまり馴染みがないが、チーズ愛好家の間では人気のある種類なのだ。バークスウェルについて紹介する。

  

1. バークスウェルとは

イギリスのウェストミッドランズ州は、ロンドンから車で2~3時間ほどの場所にある小さな村だ。まるで映画のセットのような古典的な教会は必見だ。この村の南東にラムホールという1600年の歴史を持つ農家でバークスウェルチーズは生まれた。当初は羊のミルクを販売することが目的だったが、近隣の商家に勧められ、そのミルクでチーズを作るようになったそうだ。その当時はまだ現在のようなチーズの味や形状には至っておらず、ウェールズのチーズやケアフィリーのレシピを参考に作られ、長い歴史の中で徐々に変化し、現在のオリジナルの製造方法が確立された。

現在食べられているバークスウェルは、サイドが円盤のようにとがった独特な形をしている。これはチーズを固めるときに使う型に、キッチンで使うコランダー(日本でいうところのザル)を使っているためである。外皮につく模様もコランダー由来のものだ。1つの大きさが約5ポンド、約2.5kgなのでカットされて販売されていることも多いため、全体の形を見ることはないかもしれない。1ピースの形だけでも面白いが、全体を想像してみるのもいいだろう。

2. バークスウェルの味と香り

低温殺菌されていない生の羊乳でつくられているバークスウェルは外皮はざらつき、模様がついている。バークスウェルは最短でも6ヶ月ほど、プラスチック製のコランダーの中で熟成される。その際に、チーズの表面にコランダーの模様がつくのだ。

バークスウェルは1年中食べることができるが、その味わいの変化は劇的であるという。秋に羊のミルクを絞り仕込まれたものは、春に販売が始まる。そのころのバークスウェルは野生のイチゴのようにフルーティーな香りがするという。市場に出たてのバークスウェルは、なかなか日本に入ってくることはないのが残念だ。

徐々に熟成が進むと、軽い塩味とミルクの甘みにはちみつのような香り、そして後味にパイナップルを思わせる香りを感じられるようになる。酸化臭ではない、もっとさわやかな香りだ。

また、キャラメルのような香りに、ナッツのような甘みであると感じる人もいる。熟成のタイミングもあるが、食べた感想はそれぞれだ。共通するのは甘い味と香り。ぜひ自分の舌でどのような甘みなのか確認してみてほしい。淡い黄色の生地は粗目だが、みっしりと重く、食べるとしっかりとした歯ごたえがある。旨みがぎゅっと凝縮されているようだ。見た目は田舎のチーズだが、品のある味わいで、イタリアの羊乳チーズ、ペコリーノに似ている。熟成が進むとアミノ酸の結晶ができることがある。これは旨みの塊なので異物として取らずにそのまま食べよう。食感も変わっていて面白い。薄くカットして香りを楽しみながらそのまま食べるか、ブロック状に砕き、サラダなどに入れても美味しい。

3. 羊のミルクのチーズとは

日本では食用の羊というと肉であり、ラムかマトン料理、またジンギスカン鍋くらいしか浮かばない。しかしヨーロッパでは牛より古くから利用され、羊乳チーズが生産されている。マトンのにおいや、山羊のミルクにある独特のクセの強さから、羊のミルクもネガティブなイメージを持たれがちだ。確かに、牛乳とは違った味わいがあり、羊乳はゴクゴクと飲みにくいため、飲み物となることはない。しかし、牛乳より濃厚なので、チーズにはもってこいの材料なのである。

羊のミルクで作られたチーズには、さほど強いクセはなく、実は食べやすいタイプのチーズが多い。牛乳のチーズより味わいが濃厚になりやすく、甘みが強いものになる。ハード系の硬いチーズが多いのも特徴だ。羊で作るチーズの代表的なものは、イタリアのペコリーノ・ロマーノ、スペインのケソ・マンチェゴ、そして世界3大ブルーチーズの1つ、ロックフォールが有名だ。とくにペコリーノは、日本のイタリアンのファミリーレストランチェーンでトッピングになっているので、知らずに食べている人もいるだろう。ロックフォールはクセのあるチーズだが、これは羊のクセというよりはカビの個性である。

ちなみにフランス語で羊は「ブルビ」、イタリア語なら「ペコラ」、スペイン語なら「オヴェハ」、そして英語で「シープ」という。チーズのラベルを見て、原材料がわかると選びやすい。

結論

独特の形と模様で、チーズショップの中にあっても目立ち、バークスウェルは探しやすいチーズである。個性的な見た目とは裏腹に、マイルドな味わいである。ワインと合わせるなら、強めの赤ワインがおすすめだ。牛乳とは違う、羊乳のコクと赤ワインの渋みがほどよく調和する、大人の味わいを楽しもう。
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  • 更新日:

    2019年12月10日

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