1. ビタミンB1の解説と効果

ビタミンB1は米ぬかから発見されたビタミンである。化学名をチアミンといい、水溶性の性質を持つ。
ビタミンB1の主な働き
自然の状態ではリン酸エステルとして存在し、食品から摂取されるとビタミンB1となって吸収されて身体の中で再びリン酸化される。ビタミンB1の主な働きは以下のとおりだ。
- 糖質からエネルギーを産生する
- 脳の働きを正常に保つ
- 皮膚や粘膜の健康を維持する
ビタミンB1はエネルギーを作るための「クエン酸回路」において必要な栄養素だ。食事から摂取したブドウ糖は、体内においてピルビン酸に変換され、さらにアセチルCoAとなったのち、クエン酸回路に入って酸素を消費して代謝される。ブドウ糖は最終的には二酸化炭素と水になり、エネルギーを生み出すというのが糖質の代謝の仕組みだ。クエン酸回路において糖質がピルビン酸からアセチルCoAに変換される際にビタミンB1が必要となるのだ。
ビタミンB1の推奨摂取量
ビタミンB1の摂取推奨量は30~40代の男性で1.4mg、女性では1.1mgとなっている。日本人の平均摂取量は成人において0.88mgとなっており、不足している人が多いことがうかがえる。米など糖質量の多い食材を多く摂取する人やアスリートなどエネルギー消費量が多い人は必要量が増す需要が増すため、積極的にビタミンB1を摂取してほしい。
2. ビタミンB1を含む食べ物や飲み物

ビタミンB1は植物性動物性問わず、さまざまな食品に含まれている。具体的な食品名をみてみよう。
- 穀物 (玄米、そば粉、ライ麦、小麦胚芽)
- 豆類(インゲン豆、えんどう豆、大豆)
- 種実類(ごま、落花生)
- 動物性食品 (豚ヒレ肉などの肉類、うなぎなどの魚介類)
植物性食品においては、精製されていない食品に多く含まれている。たとえば、精白米よりも玄米、小麦を使ったパンよりもライ麦パンの方がビタミンB1の含有量は多い。主食を変更するだけでビタミンB1の摂取量は増やすことができるのだ。
食品の中にはビタミンB1を分解する酵素が含まれるものもある
食品のなかには、ビタミンB1を分解して活性を壊してしまう「チアミナーゼ」という酵素が含まれているものもある。チアミナーゼは貝類や山菜、淡水魚に含まれているが、加熱することによって活性が失われる。生で食べない限り、影響は少ない。
3. ビタミンB1不足と感じたら?

ビタミンB1は食事からの摂取量が少ない場合や、糖質やアルコールの過剰摂取などによって不足する場合がある。ビタミンB1が不足したときに起こりえる症状としては次のようなものが挙げられる。
ビタミンB1不足で起こり得る症状
- ウェルニッケ脳症
- 脚気 (全身の倦怠感、体重低下、手足の知覚障害、心拡大、腱反射の消失)
脚気は昔の日本人によくみられる病気であった。かつての日本では玄米食が主流であったが、徐々に精白米が広まり脚気が流行したのだ。
ビタミンB1の不足を防ぐために
前述のとおり、ビタミンB1は運動量が多くエネルギー消費量が多い人や、糖質やアルコールの摂取量が多いと必要量が増す。そのため、このような条件に当てはまり、意識的にビタミンB1の摂取量を増やす場合には、先ほど紹介したビタミンB1を含む食材を摂るとよいだろう。
ただし、ビタミンB1は水溶性のビタミンであり、余分は排出されるためあまり気にする必要はないが、特定の栄養素を過剰摂取するのではなく、バランスよく栄養を取り入れるようにしよう。
ただし、ビタミンB1は水溶性のビタミンであり、余分は排出されるためあまり気にする必要はないが、特定の栄養素を過剰摂取するのではなく、バランスよく栄養を取り入れるようにしよう。
結論
ビタミンB1は糖質の代謝に関わる重要な栄養素だ。ビタミンB1が不足すると、糖質をエネルギー源としている神経や脳の働きにも影響を及ぼすことがある。日本の30-40代の平均摂取量は推奨量を下回っており、とくに摂取推奨量エネルギー消費量が多い人はビタミンB1の必要量が増すため、意識的にビタミンB1を含む食材を摂取しよう。
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