1. かつおのたたきは高知県の郷土料理
かつおのたたきが高知県の郷土料理なのは、高知県といえばかつおといわれるほど古くからかつお漁が盛んだったからといわれている。
県の魚として指定
かつおは1988年に「県の魚」として指定されている。高知県の古い名称であり現在も県内の地名として使われている「土佐」から、かつおのたたきは「土佐造り」とも呼ばれる。高知県のみならず四国地方を代表するといわれる地域ブランド「土佐かつお」も有名だ。
高知県民が作り出したかどうかは謎
かつおのたたきは高知県の名物であり、発祥ももちろん高知県民からだと信じて疑わない人がほとんどではないだろうか。実際、土佐の漁師のアイデアで生まれた料理という説もある。しかし、じつのところはわからないのだ。古い資料「旅の友」「土佐協会雑誌」「土佐史談」などによると、かつおのたたきが他国からの移入である可能性すら示唆される。たたきという調理法自体は薩摩や伊豆などにも古くから伝わっており、土佐が発祥であるという確証はない。このようにかつおのたたきの正確な発祥は明らかになっていないが、高知県で古くから食べられてきたことは事実で、県民にとってソウルフードであることは間違いない。
2. かつおのたたきの由来とは
かつおのたたきがいつ生まれたのか、またなぜかつおのたたきという名称なのかという由来に関しても諸説あり、未だ解明されていない。
かつおのたたきの名称の由来
かつおのたたきは一見叩かれているようには見えない。しかし、じつは実際に叩いて作られているのである。その叩き方にも、包丁で身を叩く・塩をふってから馴染ませるために手で叩く・盛り付けて調味料をかけてから叩くなど諸説ある。叩かずに炙っただけのものもあるが、厳密にいえば叩いているからかつおのたたきという名称なのである。
かつおのたたきの発祥とは
かつおのたたきが高知県で食べられるようになったのには、かつお漁が盛んだった背景があることは間違いない。ただ、誰が最初にかつおのたたきを作ったのか、いつからあるのかということに関しては明らかにはなっていない。発祥に関する有力な説をいくつか紹介しよう。
- 刺身に飽きた漁師が刺身に塩をふって炙ったのが始まりという説
- 江戸時代に食中毒が横行したことでかつおの生食が禁止された際、焼き魚と偽った説
- 明治維新の際、西洋人が肉の代用としてかつおを半焼きにしたという説(他国移入説)
どれが最初だったかという点が不確かだが、いずれも実際に行われていたことが想像できるものばかりではないだろうか。
3. かつおのたたきの旬
かつおには旬が二度ある。春が旬の初がつおと、秋が旬の戻りがつおだ。いずれも刺身として食べられるが、まったく違った味わいなのである。
かつおのたたきも旬は2回
初がつおは3~5月が旬で、さっぱりとした味が特徴。それに対し9~11月が旬の戻りがつおは、脂が乗っているのが特徴だ。どちらもかつおのたたきに調理すると美味しくいただけるが、10~11月頃に高知県で捕れる戻りがつおで作ったものがとくに美味しいといわれる。ただ、戻りがつおはたたきにせずそのまま刺身で食べても美味しいため、かつおのたたき=初がつおで作るものと考える人も多いようだ。
結論
かつおのたたきの由来ははっきりとわかっていないが、そのミステリアスさもまた魅力の一つといえるだろう。いずれにしても、かつおをより美味しく食べるために生まれた料理であることは間違いない。かつおの旬によって違う味わいも楽しんでみてはいかがだろう。
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