1. 大和野菜の一角をなすひもとうがらし

京都には京野菜があるように、奈良には大和野菜がある。古都奈良の特産品として、この地の風土から生まれた独特の味わいをもつ野菜に「大和の伝統野菜」という称号が与えられる。ひもとうがらしは、25種ある大和野菜のひとつである。
奈良県の味として古くから定着
ひもとうがらしは、伏見甘長とうがらしとししとうの雑種から選ばれたという説が有力である。古くから、奈良県では自家用に栽培されてきた歴史がある。栽培が安易で多収量であることから、家庭で気軽に栽培できる野菜として定着していたのである。
ひもとうがらしは、奈良との深い関係が認められて「大和の伝統野菜」として2005年に認定を受けている。近年は、栽培農家が徐々に増え出荷数も増加した。多収性であるためコンスタントに市場に出回るというメリットがある。
ひもとうがらしは、奈良との深い関係が認められて「大和の伝統野菜」として2005年に認定を受けている。近年は、栽培農家が徐々に増え出荷数も増加した。多収性であるためコンスタントに市場に出回るというメリットがある。
別名は「水引きとうがらし」
細長い形状から、ひもとうがらしは「水引きとうがらし」の別名を持つ。鉛筆よりも細身である見ためが、ひもとうがらしの最大の特徴といえるだろう。太さは約5mm、長さは約10cmに成長する。濃い緑色にはつやがあり、ししとうを想起させる形状にもかかわらず苦みや辛味が少ないことで知られている。
2. 奈良の夏を彩るひもとうがらし

まろやかな甘さだけではなく、すがすがしい香りが夏にふさわしいとされるひもとうがらし。旬や特徴について、詳細をみていこう。
収穫時期は7~10月
多収性を持ち露地栽培に向いているひもとうがらしは、7~10月に収穫される。旬の真夏から初秋にかけて、美味しく食べられる。ハウス栽培のひもとうがらしは、5~7月に出回る。極細のひもとうがらしは、調理の際もすぐに火が通るために短時間で料理ができあがる。みずみずしい味わいは、いかにも古都の夏を感じさせて美味しい。
油との相性がよいひもとうがらし
夏向きの料理に最適なひもとうがらしは、油との相性がよい食材とされている。たしかに、素揚げや天ぷら、炒め物などに登場頻度が高い。とくにナスやズッキーニなどの夏野菜とともに炒め物にすると、旬の味を堪能できる。ひもとうがらしは食味がしっかりとしているため、あっさりとした味付けが向いている。
ひもとうがらしの選び方
ひもとうがらしは、熟しすぎると辛くなることもあるため、若い実であることが辛さのないことの条件となる。実はぼこぼこしていても問題ないが、ハリとツヤだけはよくよく確認して購入しよう。また、大きくなりすぎたものよりも少し小ぶりのほうが柔らかいひもとうがらしを愉しむことができる。
3. 奈良県につたわるひもとうがらしの佃煮

油と相性がよいとされるひもとうがらしであるが、もちろん煮ても焼いても美味しい。細さを利用して豚肉に巻いて焼いたり、煮びたしにしたりしてもよいだろう。
ちょっと変わったところでは、奈良県に古くから伝わるひもとうがらしの佃煮がある。醤油やみりんの味わいに負けないしっかりとしたひもとうがらしの食感が、夏の食欲をそそってくれる一品となる。つくだ煮は実の部分ではなく、葉も使ったタイプもある。いずれも、さわやかなひもとうがらしの香味を利用した奈良県の味覚といえるだろう。
ちょっと変わったところでは、奈良県に古くから伝わるひもとうがらしの佃煮がある。醤油やみりんの味わいに負けないしっかりとしたひもとうがらしの食感が、夏の食欲をそそってくれる一品となる。つくだ煮は実の部分ではなく、葉も使ったタイプもある。いずれも、さわやかなひもとうがらしの香味を利用した奈良県の味覚といえるだろう。
結論
奈良県の味として大和の伝統野菜に認定されているひもとうがらしは、極細の形状が特徴のししとうである。辛味はほとんどないため、さまざまな調理法を駆使できる食材である。とくに油を使った料理が美味しく、盛夏の味わいとして楽しめる。もともと自家用の栽培が主流であったというが、近年は出荷も増えた。懐かしさを覚えるような奈良の夏の味を、ぜひ堪能したいものである。
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