目次
- 1. 市販の「にんにくの芽」は芽ではない
- 2. 「にんにくの芽」や「芽が出たにんにく」は食べられる?
- 3. にんにくの芽の意外なメリットとは?栄養が豊富ってホント?
- 4. にんにくの芽の取り除き方
- 5. にんにくから芽が出るようになった理由
- 6. 「にんにくスプラウト」とは?育て方も解説
- 7. にんにくの保存方法
- 鉄
- 亜鉛
- カルシウム
- GABA など
- にんにくの外皮をむき、尻の部分を切り落とす
- 縦半分にカットする(断面に芽が見える)
- 包丁のアゴを使ってえぐり取れば完了
- にんにくの外皮がついた状態で尻の部分を切り落とす
- 皿に並べる、またはラップで包む
- 鱗片3〜5個の場合500Wで1分ほどを目安にレンジで加熱する
- 粗熱がとれたら飛び出している芽を手で引き抜く
- にんにくの外皮をむき、頭と尻の両端を切り落とす(両端から芽が見える)
- 頭のほうから爪楊枝を差し込む
- 尻のほうから芽が押し出されるので抜き抜けば完了
- ※1:野菜類_(にんにく類)_にんにく_りん茎_生 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類|文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06223_7 - ※2:野菜類_(にんにく類)_茎にんにく_花茎_生 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類|文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06224_7&MODE=0
1. 市販の「にんにくの芽」は芽ではない

スーパーなどで手に入る「にんにくの芽」と本稿で解説するテーマ「にんにくの芽」は同じではない。ややこしいところなので最初に説明しておこう。
市販の「にんにくの芽」は茎である
「にんにくの芽」として売られているものは花茎、すなわち茎である。にんにくの芽のつもりが、実は茎を食べていたというわけだ。なお「本来の」にんにくの芽は「茎にんにく」の名で売られていることがある。
混同を防ぐため、本稿では本来のにんにくの芽を「にんにくの芽」または「芽」、市販されているにんにくの芽を「にんにくの芽(花茎)」または単純に「花茎」などと分けて表記する。
2. 「にんにくの芽」や「芽が出たにんにく」は食べられる?

にんにくをしばらく放置していると芽が伸びてくる。じゃがいもの芽が有毒であることから、にんにくの芽も有毒なのではないかと不安に思う方もいるだろう。だが心配は不要だ。
「にんにくの芽」も「芽が出たにんにく」も食べられる
じゃがいもと違い、にんにくの芽は食べられる。鱗片から芽が伸びるとその部分が硬くなるため取り除かれがちだが、一緒に調理して食べることは可能だ。もちろん、芽が出てしまったにんにくそのものも食べられる。
にんにくの芽はどの部位から出てくる?
我々がよく見るにんにくは「鱗片」と呼ばれる部位である。鱗片を細かく分けると保護葉、貯蔵葉、発芽葉に分けられる。普段食べているのは貯蔵葉で、放置していると発芽葉が育ち芽が出てくる。すなわち、にんにくの芽となるのは発芽葉である。
3. にんにくの芽の意外なメリットとは?栄養が豊富ってホント?

ネガティブなイメージを持つ方も多いにんにくの芽だが、問題なく食べられることはお分かりいただけただろう。しかも、意外なことに栄養素も豊富に含まれている。
にんにくの芽に含まれる主な栄養
にんにくの鱗片もさることながら、にんにくの芽にも多くの栄養素が詰まっている。鱗片より多く含まれているのが鉄と亜鉛、カルシウムだ。とくに鉄は鱗片の約9倍も含まれている。
GABAが多く含まれるのも特徴のひとつだろう。GABAはアミノ酸の一種で、神経伝達物質として交感神経の働きを抑制する働きをもつ。より多くの栄養素を摂りたければにんにくの芽も一緒に食べるのがおすすめだ。
花茎も栄養が豊富
市販のにんにくの芽、すなわち花茎は緑黄色野菜である。栄養素の種類はにんにくと変わらないが、βカロテンやビタミンC、カルシウムなどの栄養素はにんにくより多い(※1)(2)。にんにくよりも量を食べられるため、効率よく多くの栄養を摂取できるメリットもある。
4. にんにくの芽の取り除き方

上述のようににんにくの芽は食べられるし栄養も豊富だ。だが鱗片に比べるとにおいや辛みが強く、調理の際に焦げ付きやすいデメリットもあるため、気になる場合は取り除こう。
包丁でえぐり取る
大きなにんにくから出た芽は包丁を使うと簡単に取り除ける。小さいにんにくや、包丁の扱いが苦手な方などは次の方法を試してみてはいかがだろうか?
レンジで加熱して手で引き抜く
レンジで加熱することで外皮も簡単にむけるようになる。時短も兼ねた便利な方法なので覚えておこう。もちろん、大きなにんにくをレンジで加熱してもよい。
爪楊枝で取る
頭と尻を両方切り落とすことになるが、こちらも簡単な方法なので覚えておいても損はないだろう。
5. にんにくから芽が出るようになった理由

ところで、にんにくの芽が出るようになったのは意外なことに近年である、という事実をご存じだろうか?その理由を解説しよう。
2002年に発芽抑制剤の使用が禁止されたことが大きな理由
2001年頃まで、国内のにんにく農家では収穫の1週間前に、発芽を抑制するためのホルモン剤を散布するのが一般的であった。だが2002年以降、その発芽抑制剤の使用が禁止された。放っておいたにんにくが芽を出すようになったのはそれ以降の話である。
現在は乾燥・冷蔵・熱処理による発芽抑制が主流となっている
研究や試行錯誤により、国内では乾燥や冷蔵、熱処理による発芽抑制が主流となった。発芽抑制剤は使わないが、現在手に入る国産にんにくの多くは発芽が抑制されているということだ。薬剤を使用しない安全な方法を採った結果、芽が出る個体も混じって流通している。
外国産のにんにくは発芽しない?
発芽抑制剤の使用が禁止されたのは国内の話で、外国産はその限りではない。外国産にんにくを買う方にとって芽はなじみが薄く、逆に国産にんにくを買う方には身近な出来事ということだ。芽が出る=薬剤を使用していないので安心、と捉えることもできるだろう。
6. 「にんにくスプラウト」とは?育て方も解説

にんにくに芽が生えた「にんにくスプラウト」「芽子にんにく」などもある。ご家庭でも手軽に育てることができるので、ぜひ試してみてはいかがだろうか?
「にんにくスプラウト」とは
鱗片から出た芽をそのまま育てたものが「にんにくスプラウト」である。そのまま食べられるため、栄養素をまるごと摂取できる。にんにくといえばにおいが気になるが、にんにくスプラウトはにおいが弱いため気にせず食べられるのも長所だろう。
にんにくスプラウトの育て方
市販の水耕栽培キットに、皮をむいて1片ずつバラしたにんにくを、尖った部分が上になるようにセットする。あとはそのまま育てれば発芽する。芽が5〜10cmまで伸びたら食べごろだ。
ただし、にんにくの中には発芽抑制処理されているものがあるため、必ずしもすべてのにんにくが発芽するわけではない点だけ覚えておいてほしい。
7. にんにくの保存方法

せっかくなので、にんにくの保存方法についても触れておこう。
にんにくの常温保存方法
にんにくは常温で約1カ月は保存できる。風通しがよく日が当たらない場所を選ぼう。皮がついた状態でよいが、袋に入れたままだと風通しが悪くなるため、ネットやカゴなどに入れ直すのがおすすめだ。
にんにくの冷蔵保存方法
低温保存がよいとされているため、野菜室がおすすめだ。皮つきのまま新聞紙で包み、保存袋に入れれば1〜2カ月保存できる。皮をむいてしまった場合は傷みやすいため、新聞紙に包んで保存袋に入れたとしても、できる限り早めに食べきろう。
にんにくの冷凍保存方法
長期保存なら冷凍だ。皮つきで半年ほど保存できる。1片ずつ分けてラップをし、保存袋に入れておくと便利である。使う際は冷凍状態で根元を切り落として水に浸ける。皮がむけたらすぐに料理に使える。
皮をむいたにんにくは、冷凍でも保存期間が約2週間と短い。ただしカットやすりおろし状態で冷凍すれば解凍せずそのまま使えるメリットもあるため、上手に使い分けよう。
結論
にんにくの芽を伸ばせば、鱗片のにんにくとはまた違った風味や食感が楽しめる。発芽して間もない硬い芽も食べられるが、そのまま伸ばして「にんにくスプラウト」まで成長させ、普通のにんにくとの風味の違いを味わってみるのも面白いのではないだろうか?
(参考文献)
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