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春告魚(はるつげうお)とは?「ニシン」以外の春を知らせる魚も紹介

春告魚(はるつげうお)とは?「ニシン」以外の春を知らせる魚も紹介

投稿者:食生活アドバイザー 吉田昌弘

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2022年1月27日

春の訪れを教えてくれることから名付けられた「春告魚(はるつげうお)」。そんな春告魚といえばニシンが最も有名だが、このほかにもメバル、サクラマス、サヨリ、サワラなども春告魚の異名を持っている。今回は、そんな春の訪れを知らせてくれる「春告魚」について詳しく解説する。

  

1. 春告魚とは?

春告魚
春告魚(はるつげうお)とは、一般的にニシン目ニシン科のニシンの別名・異名を指す。また、広辞苑などには「地方によって、メバルなど春先によくとれる魚をいうこともある」と書いてあり、ニシン以外の魚が春告魚に当てはまる場合もあることが伺える。なお、春告魚の時期は一般的に3~5月頃を指すことが多く、「タケノコが美味しくなる時期」「ウグイスが鳴く時期」と同じとされている。

2. 代表的なニシンとメバル

春告魚
春告魚といえば、古くはニシンを指すことが多かった。しかし、1950年代以降はニシンの漁獲量が減り、その代わりにメバルも春告魚と呼ばれるようになる。そんな春を代表する魚のニシンとメバルについて、まずは詳しく確認してみよう。

春告魚1.ニシン

ニシンとは、ニシン目ニシン科の海水魚のこと。全長30cm前後で、その柔らかい身にはうま味が詰まっている。また、卵は「数の子」であり、正月のおせち料理に欠かせない食材の一つだ。3~5月頃に産卵のために接岸することから、古くは北海道を代表する春告魚であった。最盛期は100万トン近い漁獲量があったが、2020年の漁獲量は1万4,100トンとなっている(※1)。

春告魚2.メバル

メバルとはスズキ目メバル科の海水魚のことで、アカメバル・シロメバル・クロメバルなどの種が存在する。このうち春告魚と知られているのは「アカメバル」である。全長20~25cm程度で、体に対して目が著しく大きいことが特徴となっている。日本近海にも生息しており、青森県・秋田県・新潟県などが主な産地として知られている。特に青森県の津軽海峡メバルはブランド品として有名だ。

3. 地域ごとの主な春告魚

春告魚
春告魚というとニシンやメバルを指すことが多いが、地域によってはサクラマスやイサダなど、別の魚を春告魚と呼ぶこともある。ここでは、そんな地域ごとの主な春告魚について紹介する。

春告魚3.サクラマス(東北地方)

サクラマスとはサケ目サケ科に分類される魚の一種であり、全長50~70cm程度であり、成熟すると体表が桜色に染まることが特徴だ。主に日本海やオホーツク海で漁獲される魚であり、中でも青森県や山形県では3~5月頃に漁獲されるため「春告魚」として知られている。サケ・マスの中で最も美味しいと評価されることもあり、旬の時期のものは脂ノリもいいため格別の美味しさとなっている。

春告魚4.ハマオビウオ(伊豆諸島)

ハマオビウオとはダツ目トビウオ科の海水魚の一種であり、最大50cm超、体重1kg程度になるトビウオ科でも最大クラスの魚である。細長い棒のような形をしており、トビウオ科の魚らしい大きな胸ヒレを持っているのが特徴だ。太平洋の広範囲に生息しており、日本では伊豆諸島~九州南岸で漁獲されている。特に伊豆諸島では2~5月頃に漁獲できるため「春トビ」の愛称で親しまれている。

春告魚5.サワラ(近畿地方・瀬戸内海)

サワラとはスズキ目サバ科に分類される海水魚の一種であり、成長に合わせて呼び名が変わる出世魚である。漢字で書くと「鰆」であり、春の訪れを感じさせてくれる魚となっている。しかし、サワラは日本中で漁獲されており、多くの地域では秋が旬とされている。一方、香川県などの瀬戸内海周辺では、産卵のためにサワラが4~5月頃に瀬戸内海に入ってくるため「春告魚」として扱われている。

春告魚6.イカナゴ(近畿地方・瀬戸内海)

イカナゴとはスズキ目イカナゴ科に分類される海水魚であり、全長15~25cm程度の大きさの魚である。沖縄県を除く日本全国に生息しており、特に2~3月頃に漁解禁となる兵庫県や徳島県などの瀬戸内海周辺では春告魚として知られている。兵庫県では「くぎ煮」という醤油や砂糖で甘辛く炊いた料理が有名で、現在でも新鮮なイカナゴを手に入れてくぎ煮を作るという家庭も少なくないという。

春告魚7.カツオ(四国地方)

カツオとはスズキ目サバ科に分類される海水魚であり、通常40~65cm程度の大きさの魚である。世界中の熱帯~温帯の暖かい海を回遊しており、日本には春先に黒潮にのって北上してくる。日本全国の幅広い地域で漁獲されており、特に高知県などでは3~5月頃に漁獲される「初ガツオ」が春告魚として扱われているそうだ。一般的に、さっぱりとした初ガツオはタタキが美味しいとされている。

春告魚8.シロウオ(四国地方・九州地方)

シロウオとは、スズキ目ハゼ科に分類される全長5cm程度の小さな海水魚である。体表にウロコはなく、透き通った細長い身体が特徴的となっている。北海道から九州地方まで幅広く生息しており、春になると産卵のためにキレイな川に上がってくる。日本全国で漁獲されているが、特に福岡県や愛媛県、徳島県などでは春告魚として知られている。福岡市室見川のシロウオ料理は有名である。

4. 春告魚に関するよくある質問

春告魚
ここまで春告魚について詳しく解説してきた。しかし、中には「このほかにどんな魚が春告魚と呼ばれているか」や「近年、ニシンの漁獲量は増えているのか」などが気になる人もいるだろう。そこで最後に、春告魚に関するよくある質問・疑問に回答する。

Q1.ほかに春が旬の魚介には何がある?

春を代表する魚にはヤマメやアマゴ、カンパチ、金目鯛、サヨリなども挙げられる。また、魚介で見るとアサリ、伊勢海老、車海老、ツブ貝、ハマグリ、ホタルイカ、イサダ(ツノナシオキアミ)なども春が旬となっている。必ずしも「春告魚」と呼ばれているわけではないが、春の時期にはこれらの魚介を食べて旬を感じてみよう。

Q2.近年、ニシンの漁獲量は増えている?

代表的な春告魚であるニシンは、1950年以降に漁獲量が少なくなったが、近年その漁獲量が増えているといわれる。しかし、以前は「北海道サハリン系群」と呼ばれる大規模グループであり、近年のは「石狩湾系群」と呼ばれる小規模グループであるそうだ。そのため、ニシンの漁獲量は増えているが、従来ほどの漁獲量まで回復しているとはいえないようだ。

結論

春告魚といえば一般的にはニシンのことを指すが、地域によってはメバル、サクラマス、イサダ、イカナゴなども「春告魚」と呼ぶこともある。旬の時期の魚は脂がのっていて、ほかの時期よりも美味しいといわれることが多い。春の時期になったらぜひ地域の春告魚を食べてみよう。
(参考文献)
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  • 公開日:

    2020年3月24日

  • 更新日:

    2022年1月27日

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