1. 経口補水液は飲みすぎNG!赤ちゃんや糖尿病の場合は要注意

経口補水液を飲みすぎるとよくない理由と、とくに注意が必要な糖尿病の人や赤ちゃんへ向けた注意点を説明していこう。
経口補水液は飲みすぎ注意
経口補水液には、普通のスポーツ飲料よりも多くの塩分が含まれている。メーカーによって多少の差はあるだろうが、ドラッグストアなどで多く販売されているOS-1などの経口補水液には1本(500ml)あたり約1.5gもの塩分が含まれている。そのため、経口補水液の飲みすぎには注意が必要となってくる。
糖尿病の人の経口補水液への注意点
独立行政法人農畜産業振興機構の資料(※1)によると、糖尿病とは本来血糖値を下げてくれるはずのインスリンの分泌量が不十分であることから、高血糖の状態が続いてしまうという病気である。経口補水液には塩分のほかに砂糖も含まれているため、それを摂ることで糖尿病の人の血糖コントロールを悪化させてしまうおそれがあるので、十分に注意してもらいたい。
赤ちゃんの経口補水液への注意点
脱水状態にある赤ちゃんにとって経口補水液は有用であるが、赤ちゃんの胃腸機能はまだまだ未発達のため簡単に嘔吐を引き起こしてしまう可能性がある。そのため、経口補水液を飲ませる時には、少量ずつこまめにということが基本となる。目安としては、ティースプーン1杯ずつを3分間隔で飲ませるとよいだろう。そして、少しずつ飲ませる間隔を縮めていくことが望ましい。
2. 経口補水液の飲みすぎってどのくらい?飲み方や飲む量の注意点

単に飲みすぎに注意するようにいわれても分かりにくいことから、正確に分かりやすく適した摂取量と飲み方の注意点について解説していく。
経口補水液の適量
まず、学童から成人さらには高齢者までの経口補水液の適量は、1日あたり500mlから1Lとされている。次に幼児の適量は、1日あたり300~600mlとされている。最後に乳児の適量は、1日あたり体重1kgに対して30~50mlとされている。上記で解説したとおり、乳児に経口補水液を飲ませる時には、少量ずつこまめにということが基本となるので気をつけてもらいたい。
経口補水液の飲み方の注意点
経口補水液は脱水時に有用であるが、気をつけてもらいたいのが、日常的に経口補水液を飲んでも脱水予防には繋がらないということである。経口補水液は、通常の水やお茶と比較すると塩分を多く含んでいるので、日常的に飲んでしまうと塩分の摂りすぎに繋がってしまうおそれがある。普段の元気な時の飲料は、水やお茶が適しているだろう。おそらく正常時に経口補水液を飲んでしまうと、少ししょっぱく感じるに違いない。
3. 経口補水液を飲みすぎるとどうなるの?

経口補水液を飲みすぎることによって、余計な塩分と水分を摂っていることになる。これによる悪影響は、以下のようになる。
血圧の上昇に繋がる
福島県立医科大学の資料(※2)によると、塩分と水分を摂りすぎてしまうと体液(血液)が増加してしまうため、心臓や血管内の血液量が一定量を超えてしまうことから、血管が押し広げられることになり結果として血圧の上昇に繋がってしまうおそれがある。
腎臓に負担をかけてしまう
福島県立医科大学の資料(※2)によると、摂りすぎてしまった塩分を体外に排出させるのは、腎臓の役割である。腎臓は体内の余計な塩分や老廃物などから尿を作り排出させる働きをしているため、塩分を摂り過ぎることで腎臓に負担をかけることになってしまう。
カルシウム不足に繋がる
日本栄養・食糧学会誌の資料(※3)によると、余計な塩分を尿として排出する際には、ナトリウムと一緒にカルシウムも排出させてしまうことになる。そのため塩分の摂りすぎはカルシウムの排泄量増加にも影響し、結果として体内のカルシウム不足を招いてしまうおそれがある。
結論
本記事では、経口補水液の適量を示したり飲みすぎへの注意喚起を促してきた。経口補水液の飲みすぎのための塩分摂りすぎから何か大きな病気に繋がってしまうことまでは考え難いが、塩分の摂りすぎが身体に悪影響をもたらしてしまうことは間違いないだろう。経口補水液を飲む際には、解説した適量を守り飲み方の注意点に留意しながら、必要に応じて活用していくとよいだろう。
(参考文献)
※1 独立行政法人農畜産業振興機構「糖尿病と砂糖」
※2 福島県立医科大学「塩分と水分<血圧が高くなる仕組み>」
※3 日本栄養・食糧学会誌「食塩摂取とカルシウム排泄」
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