1. シズル感とは

シズル感とはみずみずしく、いかにも美味しそうな表情が映し出された写真や画、映像について使われる言葉だ。シズルとは、そもそも英語のsizzle。肉が焼けて、肉汁が滴り落ちるような状態を表す言葉からきている。被写体の臨場感を表す言葉といえるだろう。
シズル感の必要性
そもそもシズル感とは、広告写真の現場で使われてきた言葉だ。みずみずしい写真の奥にあるのは、簡単にいえば「旨そう!」「お腹が空く!」「買いたい!」と購買意欲が湧くような感覚だ。シズル感は食欲をそそる感覚ともいえるかもしれない。
撮影現場では
食にまつわる撮影現場では、シズル感を出すためにさまざまな工夫がなされている。たとえば、生鮮食品は撮影用ライトの元ではあっという間に乾燥し、パサついてしまう。そこで、オイルや水でシズル感を演出する。チーズがのびるような瞬間を撮影する場合は、箸で上手に持ち上げる。
2. シズル感と広告

シズル感に意味があることを示したのは、アメリカのコンサルタント、エルマー・ホイラーである。彼は販売にまつわるノウハウ、いわゆる「ホイラーの5つの公式」を発見し、本にまとめた。そのひとつ目に該当するのが、「ステーキを売るな、シズルを売れ」である。これはシズルが何よりもセールスポイントであることを示している。
広告の常識
エルマーがこの本を上梓したのは、1937年。いまから84年も前ということになるが、この法則はマーケティングやコピーライティングを学ぶ人にとっては、定番中の定番。真をついているからこそ、こんなに長く活用されているのだ。実際にホイラーはこのノウハウを用いて、大手百貨店やホテルなどの売り上げに貢献した。
3. シズル感の実例

実際にシズル感のある写真の例をいくつか挙げてみよう。まずは、ビール。ただ、注いだだけでなく、グラスが冷えている様子を表現したほうがぐっとシズル感のある写真になる。ステーキの写真なら、肉汁が出ていたり、煙が漂っていたりしたものがいい。
失敗も
前述のようにシズル感とは作られた美味しさ、みずみずしさである。ゆえに、加減が難しい。やりすぎてしまうと一気に興ざめしてしまうのだ。フィルターを通して見るとそうでもなかったものが、やりすぎているという場合も多い。客観視することが重要だ。
4. シズル感を出すコツ

仕事や商業的に使うのでなければ、シズル感を出すために食品にオイルを塗ったり、水を吹きかけたりという作り込みをすることは必要ない。しかし、ブログやSNSに載せる写真にシズル感を求める人もいるだろう。今回は、そういった写真向けにシズル感を出すコツをお届けしよう。基本中の基本は、いろいろな角度、バランスで撮影してみること。数をこなすことでバランスやコツが掴めるようになってくる。さらに自分の好きな構図を理解することも重要だ。
接写を活用
接写とは、レンズをぐっと被写体に近づけて撮影する方法。余計なものが写り込まない分、臨場感が出やすい。さらに湯気や肉汁、グツグツ沸いている表情なども写りやすい。
アングルにこだわる
写真は角度も重要。被写体に合わせて角度を選ぶ必要がある。ちなみに料理の場合は、上から撮影するハイアングルが基本だ。皿全体を写したい場合は、俯瞰を用いることもある。下から撮影するローアングルは難しいものの、水平よりのアングルで撮影することで、湯気の立ち上りなどを表現することもある。
結論
シズル感とは、食欲や購買意欲をぐっとあげる感覚のこと。そもそもは広告業界で使われていたものが、一般化したのは、SNSなどを通じて多くの人が料理写真を撮影するようになったからかもしれない。嫌味にならないシズル感を意識して写真を撮影するだけで、いつもとはひと味違う写真になるはず。
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