1. きびだんごとはどんなお菓子?

きびだんごと聞いて、どんなお菓子を思い浮かべるだろうか。じつはきびだんごとは、きびを使って作られた団子を指す。岡山県岡山市の銘菓としても知られ、コロンと丸い形ともちもちとした食感が特徴。原材料はもち米の粉や砂糖、水あめやきびなど。名前はきびだんごだが、主原料はきびではなくもち米の粉の場合が多い。きびは香りづけ程度に入れられているのだ。形はお団子のような小さめの丸型が多く、基本は白い見た目をしている。中にはきなこやあんこを合わせて作られたきびだんごもあり、味によって見た目が異なるのも特徴。
作り方は意外と簡単で、もち米の粉と水を鍋に入れて混ぜながら加熱する。粘りが出てきたらきびの粉末や水あめを加えてさらに練り、全体に透明感が出てきたらバットなどに広げて冷ます。粗熱が取れたら一口サイズに丸め、くっつかないように周りに片栗粉をまぶせば完成。できたては柔らかく、冷めると少し硬くなる。水あめや砂糖が入っているため、冷めてもカチカチに固まらないのも特徴の1つだ。
2. きびだんごの由来とは?

きびだんごとはきびを使って作られた団子だが、名前の由来はそれだけではない。きびだんごの始まりは江戸時代の末期とされていて、当時は茶席用の菓子として求肥をアレンジして作っていた。最初に作ったのは武田浅次郎で、吉備津神社の境内の茶店で伊木三猿斉に勧められて茶席の菓子として出すために作ったそうだ。吉備の国と原材料のきびを掛け合わせ、きびだんごと呼ばれるようになった。もともとは求肥にきびの風味を付けたお菓子がきびだんごで、きびがメインというよりは求肥がメインだったようだ。現在のきびだんごを見ても、きびよりももち米の粉が主原料として使われている。きびだんごはいまも昔も、ほとんど変わらない材料で作られているのだ。
きびが豊作だったために作られた説もある
江戸時代にきびを作っていたが、とても豊作だったためにきびを使って団子を作ったという説もある。たくさんのきびが収穫されたことから、団子にして食べたそうだ。そのときにきびを栽培していたのが吉備の国だったので、きびだんごと名付けられた。ちなみに、吉備の国は現在の岡山県である。
3. きびだんごとももたろうとの関わりとは?桃太郎伝説

きびだんごといえば、昔話のももたろうが思い浮かぶ人も多いだろう。ももたろうのもととなる桃太郎伝説の起源は、きびだんごと同じ岡山県。桃太郎伝説といえば鬼とももたろうが戦うシーンが印象的だが、当時鬼としておそれられていたのは「百済の王子・温羅(うら)」と呼ばれる人物。さらにももたろうのモデルになっているのは、鬼である温羅を成敗したといわれている「孝霊天皇の皇子・吉備津彦命」。漁夫が鬼と戦う吉備津彦命に献上品としてきびだんごを持っていったところ、大変喜んだことからきびだんごと桃太郎伝説には深い関わりが生まれた。きびだんごとはきびで作った団子というだけでなく、岡山県で戦ってきた人々の思いも込められているのだ。岡山県がももたろうの発祥地といわれているのは、吉備津彦命の活躍のおかげ。童話のももたろうは作り話のように見えるが、じつはしっかりとモデルとなった人物が存在していたのだ。
結論
きびだんごとはどんなお菓子なのか知らなかった人は、ももたろうとの深い関係や名前の由来に驚いただろう。きびだんごは岡山県の銘菓としても知られているが、自宅でも簡単に作ることができる。興味がある人は、ぜひ試してみてはいかがだろうか。
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