目次
- ※1※2出典:農林水産省 https://www.maff.go.jp
- ※3出典:一般社団法人 東京都食品衛生協会「微生物による食中毒」 https://www.toshoku.or.jp/eiseijigyo/201310pdf/201310-2.pdf
- ※4出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A(案)」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/dl/s1205-5g.pdf
1. 牡蠣をスーパーで買っても大丈夫?

牡蠣フライや牡蠣のオイル漬け、焼き牡蠣、鍋料理、炊き込みごはんなど、さまざまな調理法で味わえる牡蠣だがスーパーで買っても大丈夫なのだろうか。
生食用と加熱用
新鮮な牡蠣は生で食べても大丈夫と思いがちだ。しかし牡蠣は新鮮な状態でも生で食べると食中毒になることがある。生で食べるときのポイントは、生食用として販売されている牡蠣を購入することだ。では生食用と加熱用の違いとは?牡蠣のみを見ただけでは、生食用か加熱用かを見分けることはむずかしい。また見ためが新鮮そうでも、必ず生食に適しているわけではない(※1)。
生食用と加熱用を見分けるポイント
スーパーで販売されている牡蠣は生食用と加熱用や加熱調理用、加熱加工用とパックやパッケージに書かれている。生食用として販売されている牡蠣は、食品衛生法に基づいて海水中の大腸菌数が定まった基準を満たしている海域で採れたものだ。または同等の基準を満たしており、海水や人工塩水で浄化したものだ。さらに洗浄殺菌された器具で衛生的な場所で加工したものなどの基準を満たしたものだ。ポイントは牡蠣を生で食べるなら必ず生食用と書かれたものを購入すること。加熱用や加熱調理用、加熱加工用と書かれている牡蠣は、必ず加熱して食べることが大切だ(※1、2)。
2. スーパーの牡蠣であたる可能性

ここではスーパーで販売されている牡蠣を食べて、お腹があたる可能性があるかを解説する。
絶対にないわけでは無い
11~3月にかけての冬場に多く発生する食中毒をノロウイルスという。感染経路は、汚染した食品を介して人から人へ感染することが報告されている。ノロウイルスに汚染された食品の中で、とくにカキを含む二枚貝の報告が多い。またノロウイルスに感染している調理従事者から食品に移行し、それを食べた人が食中毒になる事例がある。さらに感染者の便に触れたり、吐しゃ物が飛散したりすると二次感染が起こることがある(※3)。
ノロウイルスの症状
ノロウイルスのおもな症状はおう吐と下痢だ。潜伏期間は24~48時間ほどで、腹痛や発熱(38℃以下)のような症状が出るケースもある。通常は3日以内で回復するうえ、感染していても全員が発症するのではない。中には発症しても風邪のような症状ですむ人もいる(※3)。ちなみに牡蠣以外の二枚貝では、シジミやハマグリ、ウチムラサキ貝(大アサリ)などが食中毒の原因になっている(※4)。
3. 牡蠣をスーパーで買って調理する方法

牡蠣をスーパーで買って調理する食べ方のポイントを解説しよう。牡蠣をスーパーで購入して調理しようとしても、どういった点に注意すればいいのかわからないという人もいるだろう。ノロウイルスのような食中毒を予防する牡蠣の調理法とは?
食中毒の予防方法
ノロウイルスはおもに牡蠣の内臓、とくに中腸腺と呼ばれる黒褐色の部分に存在しており、表面を洗うだけでは多くのウイルスは除去できない。洗うときはウイルスが蓄積していることがある内臓を除去すること。また牡蠣を殻から出すときや洗うときに、まな板や包丁のような調理器具を汚染することがある。ポイントのひとつは専用の調理器具を使用することだ。また牡蠣の処理に使うまな板などは、しっかりと水洗いするか熱湯消毒を行うこと。そのまま使わず、ほかの食材への二次汚染を防ぐことが重要だ。さらに牡蠣の調理後は手指をよく洗浄、消毒すること。ほかにもマスクや手袋を着用することを習慣づけ、調理中は会話をしないことも大切だ。先述したように牡蠣のような二枚貝は中心部までしっかりと加熱して食べること。加熱加工用の牡蠣は、生食を想定した処理がされていないので、いくら新鮮でも絶対に生食しないこと(※3、4)。
結論
先述したようにスーパーで販売されている牡蠣には生食用と加熱用があり、生で食べられるのは生食用のみだ。見ためが新鮮そうでも加熱用と書かれている牡蠣はかならず十分に加熱して食べることが、食中毒を防ぐことになる。
(参考文献)