目次
- ヘタの近くまで含めて全体の赤みが濃い
- 果実にツヤとハリがある
- 果実の硬さが均一
- 持つとずっしりとして重みがある
- ヘタの緑色が鮮やか
- 果実とヘタの間に隙間がない
1. 次郎柿とは

まずは次郎柿の特徴を見ていこう。
甘みが強い品種
次郎柿は、平べったく四角い形で、縦に4本の溝が入った柿だ。果汁は少なく、コリコリとした歯ごたえのある食感が特徴的。固いと甘くないと思うかもしれないが、糖度は16~18度と高糖度でしっかりと甘みを感じられるほか、種がほとんどないため食べやすい。贈答用のもので約10玉4,000円程度の値段で販売されている。
代表的な柿の種類として、国内流通の多い富有柿と比較されることもある次郎柿。どちらも甘い柿だが、「富有はあごで食べ、次郎は歯で食べる」と称されるように、富有柿はやわらかな食感、次郎柿は硬めの食感であることが大きな違いである。甘く歯ごたえのある次郎柿が、柿の種類のなかでもっとも美味しいとする方も多くいるようだ。
次郎柿の成り立ち
江戸時代末期、静岡県周智郡森町の農家であった松本治郎が太田川の河原で見つけた柿の幼木を家に持ち帰り、育てたものが次郎柿のはじまりとされている。明治に入ってから近くで起きた火災により木は焼けてしまうが、根元から出てきた新たな芽が成長すると、とても美味しい甘い実をつけるようになったそう。人々は甘い実を次郎柿と呼び、量産するようになっていったのが次郎柿の成り立ちだ。現在も森町は柿の産地となっており、毎年皇室に献上している。
2. 次郎柿の産地と旬の時期

続いて、次郎柿の主な産地や旬の時期についてまとめる。
主な産地
次郎柿の栽培面積を見ていくと、愛知県が44.6haともっとも多く、次いで静岡県が32.2ha、愛媛県17.9ha、三重県14.4ha。そのほかには山梨県と石川県でも栽培が行われている。なかでも愛知県の豊橋市や、森町を含む静岡県西部のエリアである遠州地域などが、主な生産地として挙げられるのだ。特定の地域でのみ栽培されているので、次郎柿を口にしたことがないという方も多いのではないだろうか?
次郎柿は、苗木を購入して自宅の庭などで育てることも可能だ。正しい育て方をすれば、植え付けから3~4年ほどで収穫できる可能性がある。
旬の時期
次郎柿の収穫はハウスのものが9月中旬~10月中旬ごろ、露地栽培のものが10月中旬~12月初旬ごろに行われる。露地栽培のものに関しては10月下旬~11月中旬ごろが食べごろそのもので、もっとも旬な時期といえるだろう。
3. 次郎柿の選び方と保存方法

ここからは美味しい次郎柿を選ぶためのポイントと、美味しさを長持ちさせるための保存方法についてまとめていく。次郎柿を手に入れたら実践してみよう。
選び方のポイント
美味しい次郎柿を選ぶためにおさえておきたいポイントは、以下のとおりだ。
中でも気をつけておきたいのが、果実とヘタの隙間だ。この現象はヘタ隙きと呼ばれ、隙間から虫や水が入り、果肉が劣化してしまう恐れがある。
次郎柿を食べるときには、切り方にも注意しておきたい。ヘタの近くは甘みが薄く一番下の部分がもっとも甘いため、縦に切ることでバランスよく甘みを味わうことができる。ヘタの周りは少し大きめに切り取っておこう。
保存の仕方
柿は追熟する果物である。そのまま常温保存しておくと1週間もしないうちにやわらかくなり、次郎柿独特の歯ごたえを感じることができなくなってしまう。追熟を抑えるには、ポリ袋に入れたりラップでくるんだりして冷蔵庫の野菜室に保管するのがよい。さらに、ヘタと同じくらいの大きさに畳んだティッシュペーパーを濡らしてヘタのうえに置いてから袋やラップでおおい、ヘタを下向きにして保存すると追熟を抑えることができる。食べきれない場合には、干し柿にすれば長い間楽しめるだろう。
逆にすぐ食べたいけれどまだ熟していないという場合にはリンゴと一緒に密閉できる袋で保管すると、リンゴが発するエチレンガスによって追熟を早められる。
結論
歯ごたえのある食感と自然な甘さを感じられる次郎柿は、1度食べるとまた食べたくなってしまうこと間違いなしの果物だ。店頭で見かけることがあれば今回紹介した選び方を踏まえながら美味しい次郎柿を選び、近くで栽培されていない場合には通販などを利用して、旬を味わってみてはいかがだろうか?