目次
- ※1:かびとかび毒についての基礎的な情報:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/kiso.html - ※2:「カビとカビ毒」P.19-20|内閣府 食品安全委員会
https://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/sousyuhen.data/07.pdf
1. 干し柿の白い粉はカビ?見分け方を解説

干し柿の表面の白い粉のようなものはカビなのだろうか?実際には、食べても問題ない白い粉とカビがあるため、その見分け方をきちんと知っておくことが大切だ。
カビかどうかは、見た目や感触である程度判別できる
干し柿の表面に見えるものがカビなのかそうでないのかは、見た目や感触(手触り)である程度判別できる。いかにもカビといった緑、青などの色がついていればカビと判断できるが、迷うのは白い粉のようなものが付着していた場合である。
ザラザラした白い粉は「柿霜(しそう)」といい、食べてもOK
もともと、干し柿は表面に白っぽいものが浮き出ていることが多い。これは、ブドウ糖と果糖が混ざり合い結晶化したもので「柿霜(しそう)」という。美味しい干し柿の証ともいわれている。この場合はもちろん食べても問題ない。
フワフワした白い粉はカビなので食べないほうがよい
いっぽう白カビが生えていた場合、柿霜のようなざらざらした感触ではなくフワフワしている。したがって、白い粉のようなものが柿霜かカビかで迷ったら、触れてみれば見分けがつくはずだ。
黒や緑、青といった斑点はカビのおそれがある
干し柿全体が黒色っぽく変わった場合は、柿に含まれるタンニンによる変色なので心配ない。だが黒や緑、青などの斑点が見られる場合は、カビの胞子のリスクが高い。
2. カビが生えた干し柿は食べられる?食中毒になる?

少々のカビであれば干し柿を食べられるのだろうか?それとももったいないが廃棄せざるを得ないのだろうか?
白カビは有害なので食べてはいけない
柿霜ではない白カビが発生している干し柿は食べることをおすすめしない。健康に害を与えるおそれがあるし、そもそも風味が落ちて美味しくない。白カビと思われるときは、残念だがあきらめよう。
取り除けば食べられる場合もあるがおすすめしない
発生直後でキレイに除去できるなら食べられるといわれている。だが目に見えない胞子を取り込むリスクや、完全に除去できたかどうか安心できないところもある。食品ロス対策が叫ばれる昨今、大変心苦しいが健康にはかえられない。やはり可能な限り避けたほうがよいだろう。
干し柿のカビによる食中毒のリスク
農林水産省では、2002年から「かび毒」による汚染について調査を進めている。現在のところ、カビを食したことによる人体への影響はそれほど多くないと報告されている。
しかしカビの種類によっては、嘔吐や下痢を引き起こすケースもある。また長期的な摂取の積み重ねがガンの発生につながるという報告もある。誤ってカビが生えた干し柿を食べてしまい、体調がすぐれないといった場合は、速やかに医療機関を受診しよう。(※1)(※2)
3. 干し柿のカビ対策

自家製の干し柿を楽しんでいるご家庭も多いだろう。作る段階からカビ対策を講じることでより長持ちさせられる。作り方から保存方法まで解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
柿同士が触れ合わないように乾かす
干し柿は天日乾燥させることで渋みが抜け、長期保存に耐えられる食材となる。自家製干し柿を作る場合は柿同士が触れ合わないよう、上手に組み合わせて干せばカビにくくなる。
風通しがよく日当たりが強すぎない場所に干す
乾燥前にしっかり柿の水分を除去しておき、風通しがよく日光が強すぎない場所に干すようにしよう。
雨の日や夜間は室内に移動する
雨に濡れたり昼夜の気温差によって結露が生じたりすることも、干し柿のカビの一因となりうる。雨が当たらない軒下や室内に移動する、夜間は室内に取り込むといったことでできる限り濡らさない工夫をしよう。
直射日光や高温多湿を避けて保存する
干し柿をカビから守るには高温多湿を避けて保存することも重要だ。冬に買う干し柿は、温かい部屋に置くと糖分がベタベタすることも多い。これ自体は問題ないがカビは発生しやすい環境となる。直射日光や高温多湿を避けるため、ラップに包んで冷蔵庫で保存しよう。
焼酎などアルコールで消毒する
干している間も定期的にアルコール度数35度を超える焼酎やホワイトリカーなどを吹きかける、あるいはそれらを含ませたキレイな布で拭くといった方法もある。アルコールの除菌作用により、干し柿にカビが生えにくくなるというわけだ。
カビ対策には冷凍保存もおすすめ
干し柿をラップに包んで冷凍庫に入れるだけでよい。ただし冷凍した干し柿は、常温で解凍するとべたつくことが多い。食べるときは冷蔵庫に移して自然解凍したほうが美味しいだろう。
4. 干し柿のカビは正しく見極めることが大切!不安なときは食べないように

黒や緑、青といったカビは見分けやすいが、白い粉のようなものは柿霜なのか白カビなのか見分けにくいことも多い。少量だからと油断せず、きちんと見分けることが大切だ。どうしても判別がつかないときなどは、たしかにもったいないし心苦しいかもしれないが、健康のためにもあきらめたほうがよいだろう。
結論
干し柿はカビやすい。表面の白い粉は糖の結晶「柿霜」であることが多いものの、中には白カビということもある。見た目や手触りでチェックしよう。カビを取り除けば食べられることもあるが、やはり食べないほうが無難だ。自家製干し柿を作る際も、水分を付着させないといったカビ対策を講じて上手に保存し、最後まで美味しくいただいてほしい。
(参考文献)