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ドライクリーニングの基礎知識!マークの意味と自分で洗濯するやり方

ドライクリーニングの基礎知識!マークの意味と自分で洗濯するやり方

投稿者:ライター 吉田梨紗 (よしだりさ)

鉛筆アイコン 2021年6月18日

衣類にはドライクリーニングのマークがついているものが多い。型崩れや色落ちを防げる洗い方だが、詳しい意味について知らない方も多いだろう。この記事ではドライクリーニングの基礎知識とマークの意味を解説する。ドライクリーニングマークの衣服を自分で洗濯する方法や、おすすめのアイテムも紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

  

1. ドライクリーニングとは?水洗いと何が違う?

まずはドライクリーニングの基本的な知識を解説しよう。洗濯物を正しく洗うために、基本的な意味について学んでほしい。

水を使わずに洗うのがドライクリーニング

ドライは乾燥という意味だ。つまりドライクリーニングとは「水を使用しないクリーニング」という意味になる。自宅で洗濯する場合は水を使用するため、クリーニング店で実施するのが一般的だ。1800年代にフランスで発明された洗浄法で、油汚れを落としやすく衣類に優しい。

ドライクリーニングで用いる「有機溶剤」とは

ドライクリーニングでは、水ではなく有機溶剤を用いる。有機溶剤とは石油や塩素が原料の液体のことだ。石油系溶剤やパークロロエチレンといったの揮発性有機溶剤を使う洗濯方法から、石油系のクリーニングとも言われている。スーツやコートの洗濯表示タグに「セキユ」と書かれていたり「P」「F」といったマークがある場合は、石油系溶剤での洗濯、つまりドライクリーニングが適しているということになる。

水洗いとは

水を使わないドライクリーニングとは違い、水を使って洗う洗濯方法が「水洗い」だ。水に耐久性がある衣類を、洗剤や漂白剤を使って洗う。家庭用の洗濯機でまわせる衣類が対象で、飲料水やお酒など水溶性の汚れへの効果が高い。

2. ドライクリーニングのメリットとデメリット

ドライクリーニングにはメリットとデメリットがある。洗濯物を洗うときの基礎知識として、それぞれ確認しておこう。

ドライクリーニングのメリット

ドライクリーニングのメリットは2つだ。適した衣服や落とせる汚れを確認しておくことで、衣服をキレイに仕上げられる。

・油溶性の汚れを落とすのに適している
・型崩れや色落ちを防げる

油で揚げた食べ物のシミや油性ペンのインク、皮脂など水洗いではなかなか落ちない油性の汚れに効果的だ。また、ウール素材で作られたスーツやコートなどの型崩れ、ニット製品の縮み、色落ちを防げる。

ドライクリーニングのデメリット

デメリットとしては、水とは混ざりにくい石油系の溶剤を使うので、汗や食べ物の汁、飲料水などの水溶性の汚れが落ちにくい点が挙げられる。ドライクリーニングをしたあとに、シミが残ることがあるので注意が必要だ。ただし中には微量の水を使い、水溶性の汚れを落とすケースもある。

ドライクリーニング後ににおいが残ることもある?

ドライクリーニング後ににおいが残る原因は2つある。1つ目は「水溶性の汚れ」が残ったケースだ。ドライクリーニングでは落としきれていないと、においの原因になる。

2つ目は「溶剤」が原因の可能性だ。溶剤は乾燥の工程で揮発するのでにおいが残ることはないが、乾燥やにおいをろ過するフィルターの管理が不十分だと、石油のようなにおいがする。

3. ドライクリーニングマークの種類と意味

ドライクリーニングのマークの種類をチェックしよう。詳しい意味をマスターすれば、洗濯方法で迷う心配が少なくなる。

ドライクリーニングマークとは?

新しい洗濯表示タグ(※2)では、ドライクリーニングは2種類に分けられる。丸マークの中にPが書いてある衣服は、パークロロエチレンと石油系溶剤でのドライクリーニングができる。石油系溶剤でのドライクリーニングができる場合は、丸マークの中がFだ。

丸マークの下に横線があるなら弱い処理によるドライクリーニングができる。横線が2本あれば非常に弱い処理という意味になる。丸マークにバツが付いている場合は、ドライクリーニング禁止だ。

洗濯表示には「新旧」がある

現行の洗濯表示は、平成28年12月1日より運用が始まったものだ。だがそれ以前の旧洗濯表示が付いた衣類も多く出回っている。洗濯表示については消費者庁のサイトに詳しく書かれているので、この機会に確認しておくとよいだろう(※1・※2)。

4. ドライクリーニングマークの衣類は自分で洗濯できる?

ドライクリーニングマークを確認したあと、気になるのは自分で洗濯できるかどうかだ。自宅で洗濯できる衣服の見分け方を、詳しく解説しよう。

「水洗い可」であれば自宅で洗濯できる

ドライの洗濯マークは「ドライクリーニングが可能」という意味だが、「ドライクリーニングしかできない」という意味ではない。自宅で洗濯ができるかどうかは、洗濯表示タグの洗濯桶マークで確認しよう(※2)。

洗濯桶マークは、手洗いや洗濯機での洗い方を表示している。そのマークにバツが付いていないということは、水洗いができる、つまり家でも洗うことが可能なのだ。以下の記事でも詳しく説明しているため、参考にしてほしい。
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「水洗い不可」の衣類はクリーニングへ

洗濯桶のマークにバツ印がついている衣類は水洗いができない。洗濯機や手洗いなど自宅での洗濯は水を使うので、水洗い不可の衣服を洗うと傷んでしまう。かならず洗濯表示を確認して、水洗いができない衣服はクリーニングにだしてほしい。

5. 洗濯機の「ドライ」はドライクリーニングと何が違う?

洗濯機の中にはドライ機能が搭載されたものもある。ドライクリーニングとの違いを確認しておくことが重要だ。

洗濯機の「ドライ」はドライクリーニングではない

洗濯機のドライ(手洗い)は弱水流で洗うコースのことで、ドライクリーニング品が洗えるコースという意味ではない。摩擦を抑えた水洗いで、洗濯槽をあまり動かすことなく優しく洗い上げるコースだ。

ドライクリーニングは石油系溶剤と専用の機器を使うので、自宅の洗濯機での水洗いとは異なる。ドライコースでは水を使用するため、水洗い不可の衣類は洗濯できない。ドライクリーニングは油溶性の汚れ、ドライコースは水溶性の汚れと、落とせる汚れも違うので間違わないようにしよう。

ドライコースで洗濯するのに向いている衣類は?

ドライコースは、デリケートな素材や装飾が多い衣類の洗濯に適している。優しい水流で洗うため、傷みや縮みが発生しにくい。洗濯表示の洗濯桶マークに手がついていたり、下に2本の線があったりした場合は、ドライ(手洗い)コースで洗濯しよう。

ただし、シルクやカシミヤなど、一部の素材はドライコースでも傷むことがある。洗濯表示で水洗いが可能と表示されていても、傷めたくない大事な衣服はクリーニングに依頼することも検討しよう。
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6. ドライクリーニングマークの衣類を自宅の洗濯機で洗う方法

水洗いが可能でドライクリーニングマークがついた衣類なら、自宅で洗濯ができる。用意するものと正しい方法を詳しく紹介しよう。

用意するもの

ドライクリーニングマークがついた衣服を洗濯をする前に、まず洗剤など必要なものを用意する。通常の洗濯とは使用する洗剤が異なるので、あらかじめ確認してほしい。

洗濯ネット
オシャレ着用中性洗剤(またはドライマーク用洗剤)
柔軟剤(柔らかく仕上げたいとき)
平干しネット(寝かせて干すもの)

オシャレ着洗い用の中性洗剤とは、デリケートな衣類を優しく洗える洗剤だ。ドライクリーニングマークがついた衣類を洗濯するなら、ドライマークに対応している商品を選ぼう。

ドライマーク用の洗剤とは

家庭洗濯可能でドライマークがついている衣料は、中性洗剤やドライマーク用洗剤で洗うのがよいとされる。普通の洗剤や石鹸で洗うこともできなくはないが、縮みや色落ち、型崩れ、風合いの変化を予防したいなら、やはり専用の洗剤を使う方がよいだろう。ちなみに、市販されているドライマーク用洗剤には、いろいろなタイプがある。

中性洗剤タイプ
溶剤・オイル配合タイプ
樹脂配合タイプ
シリコンなどのコーティング剤配合タイプ

この中でも、樹脂やシリコン配合で汚れを落とすと同時に繊維をコーティングするタイプは、おしゃれ着用洗剤・ドライマーク洗剤の主流となっている。衣類に対するダメージが少なく、縮みや風合いの変化を抑えてくれる効果も高い。

ドライクリーニングマークの洗濯のやり方

ドライクリーニングマークの衣服を、洗濯機を使って洗う方法を紹介しよう。柔軟剤を使用したい場合は、柔軟剤投入口に量って入れておいてほしい。

1.洗濯機の電源をオンにして衣服を洗濯ネットに入れる
2.洗濯機に衣服を入れてドライコースに設定する
3.量った洗剤を洗剤投入口に入れる
4.スタートボタンを押す
5.脱水が終わったのを確認したら衣服を取り出す
6.形を整えたら風通しのよい日陰で平干しする

手洗いをする場合は、洗い桶に30度以下の水を入れてオシャレ着用中性洗剤を溶かす。たたんだ衣服を入れたら、てのひらで優しく押して洗おう。キレイな水ですすいで、洗濯機で30秒ほど脱水すれば終わりだ。

ドライクリーニングマークの衣類は乾燥機にかけられる?

ドライクリーニングマークがついているウールやシルク、革製品など熱に弱いデリケートな素材の衣類は、乾燥機を使うことはおすすめしない。型崩れや縮みなどが生じるおそれがあるためだ。

またウールやシルク以外でも、洗濯表示で「タンブラー乾燥(回転ドラム式の乾燥機)」がNGになっている衣類は乾燥機に入れないようにする。そのほか、ドライマーク・吊り干し・陰干し・平干しの洗濯表示タグがついている衣類も乾燥機は避けたほうがよいだろう。

7. ドライクリーニングマークの衣類を自分で洗濯するときの注意点

ドライクリーニングマークがついた衣類を、自分で洗濯するときの注意点をまとめた。大事な衣服を守るために、ぜひチェックしてほしい。

お湯は使わない

汚れはお湯のほうが落ちやすいが、デリケートな衣服に使用すると衣服が縮むことがある。ドライクリーニングマークの衣類には、必ず30度以下の水を使おう。

脱水の際に手でギュッと絞らない

手洗いのときに手で絞るとシワがついたり繊維が縮んだりする。とくにウールは固くなりやすいので注意が必要だ。また、脱水時間が長いとシワの原因になる。ドライコースは脱水時間が短いためあまり心配はないが、終了したら早く取り出して干してほしい。

干すときは型崩れに注意する

ドライクリーニングマークがついた衣服を脱水したあと、そのまま干すと型崩れする可能性がある。ウールなどのセーターはとくに型くずれしやすい。手で軽く伸ばし、形を整えてから干すのがポイントだ。平らな場所に置いて干す「平干し」なら型崩れを防止できる。

8. ドライクリーニングか水洗いかで迷ったときは?

お気に入りの衣類だと洗い方に迷うことがある。ドライクリーニングマークがあり水洗いが可能な衣類の場合、判断が難しいケースがあるだろう。ドライクリーニングマークを確認したくても、洗濯表示が薄くなっていることもある。

迷ったときは「型崩れのしやすさ」「高価な衣類」「デリケートな素材」「特殊な加工」の4つを判断基準にしてほしい。スーツやドレスは型崩れがしやすく、シルクやカシミヤは自宅で洗うのが難しい素材だ。プリーツやシワなどの特殊加工は、自宅で洗うと崩れる可能性がある。

水洗いができる衣服でも、自宅で洗うと型崩れしたり傷んだりする可能性があるので注意が必要だ。失敗したくない大事な衣服なら、専門店によるドライクリーニングを検討しよう。素材や形によって適した方法でクリーニングするため、デリケートな衣服でもキレイに仕上がる。

9. ドライクリーニングに出したときの料金や日数の目安

衣服をドライクリーニングに出すとき、気になるのが料金と日数だ。それぞれの目安について紹介しよう。

ドライクリーニングにかかる料金の目安

ドライクリーニングの料金について大まかな目安をまとめた。エリアや衣服の種類によって料金に差はあるが、以下の料金を参考にしてほしい。

・スーツ(上下):2,000~4,100円
・スーツ(三揃):2,800~5,600円
・ネクタイ:500~900円
・コート・トレンチ:2,000~4,200円
・ダウンジャケット:2,300~4,600円
・セーター/カーディガン:600~1,300円

同じ衣服でも素材やブランドによって料金は異なる。高級ブランドや高級素材だと追加料金がかかる可能性があるので、先に確認しておくと安心だ。

ドライクリーニングにかかる日数の目安

一般的には3日~1週間くらいが目安になる。乾燥に時間がかかるダウンジャケットや、カシミヤなどのデリケートな素材、高級ブランドだと日数が長くなることも。しみ抜きやオプションを依頼した場合も同様だ。

ただし、当日仕上げや翌日仕上げなど、早く仕上げてくれるクリーニング店もある。店舗や衣服の種類によって期間は異なるので、ドライクリーニングを依頼する前にあらかじめ確認しておこう。

10. ドライクリーニングマークの衣類を自宅で洗濯する際のおすすめアイテム

ドライクリーニングマークの衣服を、キレイに仕上げたいときに役立つアイテムを紹介する。それぞれの特徴を説明するので、洗濯に役立ててほしい。

花王/「エマール」

伸びやヨレを整える「カタチコントロール洗浄」が特徴のオシャレ着用中性洗剤だ。さらに毛玉や縮みを防ぐため、ドライクリーニングマークがついたデリケートな衣服がキレイに仕上がる。

ライオン/「アクロン」

「キレイ修復洗浄」により、繰り返し洗っても新品のような風合いが持続する。2つの成分で繊維をコーティングすることで、洗濯中や着用中の毛玉を防止。すすぎが1回でよいため節水にもおすすめだ。

積水樹脂/「セーター干しネット」

ドライクリーニングマークがついた型崩れがしやすい衣類を、平干しにできるアイテムだ。2~3段まで積み重ねができるため、狭いスペースでも複数の衣服を干せる。使わないときは折り畳めるため収納しやすい。

結論

ドライクリーニングとは水を使わない洗濯方法だ。油汚れに高い効果を発揮するが、クリーニング店に依頼する必要がある。ただし、洗濯表示で水洗いが可能な衣類なら、ドライクリーニングマークがついていても自宅で洗濯ができる。オシャレ着用中性洗剤を使用して、ドライ(手洗い)コースで洗ってほしい。ただし、水洗いができない衣服は自宅で洗濯できないので、料金や期間を確認してクリーニング店に任せよう。

(参考文献)
※1消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html

※2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html
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  • 公開日:

    2019年5月16日

  • 更新日:

    2021年6月18日

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