目次
1. カベルネ・フランとは?味わいや色などの基本的な特徴を解説

カベルネ・フランは主にフランスで多く栽培されている赤ワイン用のブドウ品種だ。フランス・ボルドーの赤ワインにブレンド用で使われることが多く、どちらかというとメインではなく補助品種と見られることが多い。その味わいなどの特徴を見ていこう。
カベルネ・フランの特徴とは
カベルネと聞くとカベルネ・ソーヴィニョンというブドウ品種が思い浮かぶ人が多いだろうが、その親品種がこのカベルネ・フランだ。カベルネ・ソーヴィニョンより発芽や完熟がやや早く、より冷涼な気候でも熟すことができるブドウである。ボルドーワインの補助品種というイメージが強いが100%カベルネ・フランの単一品種ワインをつくる産地もある。
カベルネ・フランの味わいや香り
カベルネ・フランはカベルネ・ソーヴィニョンと共通する風味を持ちつつも、比べるとどの要素においてもより軽めでエレガントだ。やや明るめの外観、中程度のボディ、ほどよい渋味や酸味を持っている。特徴としてよく挙げられるのがピーマンやしし唐などの青さを想像させる香りで、これは果実が完熟しなかった冷涼な年により強く現れる。ほかにもブルーベリーやスミレの花など上品で少し控えめな香りを持つブドウだ。
2. カベルネ・フランはどこで栽培されている?主な産地の特徴と違い

カベルネ・フランはその生産量の7割近くをフランスが占めている。主な生産地について見てみよう。
フランス・ボルドー
赤ワインの銘醸地であるフランス・ボルドーは、その地域を流れる川の左側が左岸、右側が右岸と呼ばれている。メドックなどの地区がある左岸エリアではカベルネ・ソーヴィニョンやメルロなどのブドウとブレンドする目的で、全畑の1割ほどを使ってカベルネ・フランを栽培することが多い。サンテミリオンなどの地区が有名な右岸エリアでは左岸よりも渋みが控えめでまろやかなワインがつくられており、主となる品種メルロとのブレンド用でカベルネ・フランが使われる。カベルネ・フランの割合が高い高級ワインも存在し、オーゾンヌやシュバル・ブランなど1本10万円を越えるような名だたるワインをつくりだしている。
フランス・ロワール
同じフランスでもボルドーより北に位置するロワール地区では、最も生産量の多い黒ブドウがカベルネ・フランだ。ブレンド用にすることの多いボルドーとは違い、カベルネ・フランが主体のワインが多くつくられている。赤ワインだけではなくロゼやスパークリングもこの品種でつくられているのが特徴的だ。シノン、ブルグイユなどがつくられることで有名な産地として挙げられ、カベルネ・フランの持つ酸味やしなやかさを感じられるキレイな味わいのワインが多い。
その他の生産地
イタリア、アメリカ、カナダ、オーストラリア、南米などカベルネ・フランは世界中で栽培されている。また日本でも山梨、長野、新潟などにこの品種を栽培しているワイナリーが複数あり、海外のものを越えると称されるワインもあるほどだ。カナダなどではカベルネ・フランを使ったアイスワインもつくられている。
3. カベルネ・フランに合う料理は?おすすめの飲み方と合わせて確認

カベルネ・フランはしっかりした渋みや酸味を持ちつつも、軽やかな味わいのワインだ。料理もハムやグリルしたお肉など少しあっさりした肉料理が合わせやすい。またカベルネ・フランの持つ青っぽい香りに合わせて、薬味や香草を使うベトナム料理なども意外と相性がよい。軽めのカベルネ・フランであれば少し冷やして飲んでも美味しいので、ぜひ試してみて欲しい。
4. カベルネ・フランのおすすめワインは?日本ワインもある?

カベルネ・フランを使ったワインのおすすめを見ていこう。
Boutinot 『デキャゴン カベルネフラン』
販売元:リカーマウンテン
フランス南部のラングドック地方でつくられるカベルネ・フラン。オーク樽熟成5か月間のあとにコニャック樽でさらに5か月間熟成するという変わったつくりになっている。カベルネ・フラン独特の軽やかで上品な味わいにコニャック樽由来のリッチな風味が合わさった珍しいタイプのワインだ。
シャトー・ド・クーレーヌ『シノン・ソレイユ・ド・クーレーヌ』
販売元:京橋ワイン
ブドウの有機栽培や手摘み収穫といった丁寧なワインづくりをしているワイナリーの1本。銘醸地シノンの中でも土壌の異なったカベルネ・フランをブレンドしており、ボリューム感がありつつも飲みやすさを備えた素晴らしいバランスのワインだ。
井筒ワイン『NAC カベルネフラン』
販売元:井筒ワイン
ワイン産地として有名な長野県塩尻市で昭和8年からワインづくり・ブドウ栽培を行っている井筒ワイナリーのカベルネ・フラン。このワインはNAC(長野県原産地呼称管理制度)の認定を受けており、田崎真也氏など一流のソムリエによる審査をクリアしている1本だ。上品でサラリとした飲み心地は国産ワインらしい繊細さを感じさせる。
結論
世界中で栽培される国際品種、カベルネ・フランを紹介した。よく見かけるタイプのブドウ品種ではないものの、多くのブレンドワインに使われていたりさまざまな気候条件下で育てられている。渋さなど赤ワイン独特の特徴をしっかり持ちながらも飲み疲れしにくいので、一人でしっとり飲み明かしたい日の1本におすすめしたい。