目次
- 1. マルサラ酒とは
- 2. マルサラ酒とそのほかの酒精強化ワインの違い
- 3. マルサラ酒の飲み方
- 4. マルサラ酒はスイーツやソースにも使われている
- 5. マルサラ酒がないときに代用品となるお酒は?
- 6. マルサラ酒のおすすめ3選
- セッコ:辛口
- セミ・セッコ:半辛口
- ドルチェ:甘口
- フィーネ:1年
- スペリオーレ:2年
- スペリオーレ・リゼルヴァ:4年
- ヴェルジネ:5年
- ヴェルジネ・ストラヴェッキオ:10年
1. マルサラ酒とは

マルサラ酒とはどのようなお酒なのだろうか。まずは基本的なところから学んでいこう。
世界4大酒精強化ワインのひとつ
マルサラ酒はイタリア・シチリア島で作られる酒精強化ワインで、別名「マルサラワイン」ともいう。酒精強化ワインとは、醸造過程で酒精(アルコール)を加えることによりアルコール度数を高めたワインのことである。
マルサラ酒は「シェリー(スペイン)」「ポートワイン(ポルトガル)」「マデイラワイン(ポルトガル)」と並び世界4大酒精強化ワインと呼ばれている。
マルサラ酒のアルコール度数
マルサラ酒は白ワインを基調に、ブランデーなどを加えてアルコール度数を高めたものだ。主にカタラット(カタッラット)、インツォリオ(インツォリア)、グリッコ(グリッロ)という3種のぶどうが使われている。アルコール度数は18度前後と、一般的なワイン(10〜14度程度)よりもやや高めである。
マルサラ酒の香りと味わい
オーク樽で熟成するマルサラ酒の特徴のひとつが香りだ。木やキャラメル、スパイスや天草、バニラや柑橘果実など豊かな香りを楽しむことができる。アペリティフ(食前酒)に合う辛口のから、デザートワイン(食後酒)として楽しめる甘口まで味わいが幅広いのも特徴である。
マルサラ酒の種類
【甘さ(辛さ)による分類】
【熟成期間による分類】
このように甘さ(辛さ)や熟成期間によってさまざまな種類がある。そのほか、黄金色をした「オーロ」、琥珀色の「アンブア」、ルビー色の「ルビーノ」など色でも分類される。
マルサラ酒の発祥と歴史
18世紀頃、イギリスの貿易商人が悪天候によりシチリア島マルサラに避難した際、レストランで口にしたワインの味わいがポートワインやマデイラワインに似ていると感じたという。しかしイギリスへ持ち帰るには数カ月など長期に亘る航海を経なければならず、その間に腐るのを防ぐため保存性を高める目的でアルコールを加えたのだという。これが現在のマルサラ酒の始まりともいわれている。つまりマルサラ酒は「偶然の産物」といいうわけだ。
それから長い間イギリスがマーケットを占めていたが、のちにイタリア人の大富豪ヴィンツェンツォ・フローリオ氏が参入し形勢が変化した。輸出しやすいよう海の近くに醸造所を作ったり、イタリア国内外にマルサラ酒を宣伝したりした結果、シチリア島の名産品となったのだ。
とはいえ最初に開発したのがイギリスの貿易商人だったこともあり、現在でもイギリス・バッキンガム宮殿にはマルサラ酒が保存されているという。
2. マルサラ酒とそのほかの酒精強化ワインの違い

酒精強化ワインはほかにもいろいろな種類があるが、せっかくなので世界4大酒精強化ワインのうち、マルサラ酒以外のシェリー、ポートワイン、マデイラワインについても少しだけ解説させていただこう。
シェリー
シェリーはスペイン・アンダルシアの特産品で、マルサラ酒に白と赤があるのに対し白しかない。酸化するものとしないものがあり、一般的には度数が低い方が酸化しないとされている。またシェリーは新しいワインを継ぎ足すため、ヴィンテージという概念もない。
ポートワイン
ポルトガルの一部地域で作られたもの、かつ原酒を最大50年程度熟成させたものがポートワインを名乗ることができる。甘口で赤いものが多かったが最近では白やロゼも出てきている。発酵段階の酵母にぶどうの蒸留酒を加えて発酵を止めるため、独特の香りとコクのある味わいに仕上がるのが特徴だ。
マデイラワイン
モロッコ沖に浮かぶ現ポルトガル領・マデイラ島で開発されたワインだ。マデイラ産ワインにブランデーなどを入れたもので、加熱熟成という過程を経るのが特徴である。中には太陽光の熱を利用して加熱し酸化熟成を促すマデイラワインもある。この過程が、マルサラ酒とは異なる独特の香りを生むのである。
3. マルサラ酒の飲み方

マルサラ酒は辛口から甘口までいろいろあるため、上手に飲み分けるとよい。
アペリティフ(食前酒)として飲むなら「辛口」
アペリティフとしてマルサラ酒を飲むのであれば辛口を選ぼう。18度前後とやや高めのアルコール度数が、胃を刺激し食欲を増進させるといわれている。
デザートワイン(食後酒)として飲むなら「甘口」
デザートワインとしてマルサラ酒を飲む場合は甘口がおすすめだ。消化の促進や満足感を高めるといった効果が期待できるといわれている。
マルサラ酒を美味しく飲める温度
マルサラ酒はアペリティフかデザートワインかで適した温度が変わってくる。アペリティフであれば6〜8℃、デザートワインであれば18℃前後が目安だ。ただし同じデザートワインでも、スイーツに合わせるなら12℃前後が適温とされている。
4. マルサラ酒はスイーツやソースにも使われている

マルサラ酒は飲んでも楽しめるが、スイーツやソースなど飲む以外にもさまざまな使われ方をしている。代表的なものを紹介しよう。
ティラミスの風味づけにマルサラ酒
イタリアンスイーツの中でもとりわけ知名度が高いティラミス、その風味づけに使われるのがマルサラ酒だ。ティラミスのスポンジにコーヒーやマルサラ酒を混ぜたシロップを塗れば、豊かな風味を存分に楽しめるだろう。
肉料理や魚料理に合うソース作りにマルサラ酒
マルサラ酒をソースパンなどに入れて半分以下まで煮立たせたら、フォンドヴォー(フランスのコンソメ)やバター、水溶きコーンスターチなどを加える。あとは塩と胡椒で味を整えれば肉料理や魚料理に合うソースが完成する。
5. マルサラ酒がないときに代用品となるお酒は?

マルサラ酒を使いたいのに切らしていた、手に入らなかったなどというときは、ほかのお酒で代用できる場合があるので覚えておこう。
マルサラ酒の代わりになるお酒
たとえばティラミスを作る際、マルサラ酒がなければ白ワインとブランデーで代用できる。マルサラ酒を75ml使うとした場合、白ワイン50mlとブランデー25mlを混ぜればOKだ。料理であれば赤ワインやラム酒といったお酒でも代用が利くので、いろいろ試してみてほしい。
6. マルサラ酒のおすすめ3選

おすすめのマルサラ酒を3つ紹介しよう。
フローリオ「グランシェフ マルサラ フィーネ」
濃厚なドライフルーツのような香りとバランスの取れた味わい、金色がかった琥珀色などが特徴のマルサラ酒だ。料理にもよく使われ、とくに肉料理のソースを作る際などに重宝する。
フローリオ「マルサラ スペリオーレ セッコ」
熟成に30カ月以上という長い月日をかけて完成するマルサラ酒。バニラやレーズンの甘い香りを楽しめる。デザートワインとしてのほか、料理の風味づけなどにもおすすめだ。
フローリオ「マルサラ スペリオーレ ドルチェ」
そのまま飲んでも美味しい甘口のマルサラ酒。同じく30カ月以上の月日をかけてじっくり熟成させる。デザートワインやティラミスの風味づけなどにピッタリだ。
結論
マルサラ酒はワインに酒精を加えてアルコール度数を高めた「酒精強化ワイン」である。アペリティフやデザートワインとしてのほか、料理やスイーツの風味づけなど幅広く使える。マルサラ酒が手に入ったら、ぜひその豊かな香りを楽しんでみてほしい。