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キャベツの栄養は実は豊富?栄養を逃がさない食べ方とは?

キャベツの栄養は実は豊富?栄養を逃がさない食べ方とは?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 児玉智絢(こだまちひろ)

鉛筆アイコン 2021年7月16日

キャベツといえばスーパーなどで一年中見かける定番野菜だが、実は優れた栄養素がたくさん含まれているのはご存知だろうか。ここでは、キャベツに含まれるさまざまな栄養やその効能、栄養を効率よく摂取するための食べ方などを紹介する。

  

1. キャベツの栄養と効能

キャベツには、キャベツ特有の栄養素であるビタミンUのほか、さまざまな栄養素が含まれている(※1)。キャベツには一体どのような栄養成分があるのか、詳しく見てみよう。

ビタミンU

ビタミンUは、キャベツから発見されたことからキャベジンとも呼ばれている。胃粘膜の修復に作用するといわれており、荒れた胃の粘膜を正常に整える働きがある(※2)。胃腸の調子を整えたいときはもちろん、脂っぽいものを食べるときにもあわせて摂取したい栄養素である。

ビタミンC

キャベツには100g中40mg程度と、多くのビタミンCが含まれている。ビタミンCは抗酸化作用をもち、ビタミンEと協力して有害な活性酸素から身体を守る働きがあり病気などいろいろなストレスへの抵抗力を強めたり、鉄の吸収をよくするといわれている。また、意外にも皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必須なビタミンでもあるのだ(※3)。

ビタミンK

キャベツのビタミンK含有量は野菜の中でもトップクラスだ(※4)。ビタミンKは血液を凝固させる作用をもつ成分を作る栄養素で、カルシウムと同様に骨などに作用し、骨を丈夫にする働きがある(※5)。大人のみならず、ケガの多い成長期の子どもたちにとっても必要不可欠な栄養素といえるだろう。

カルシウム

骨や歯を作る栄養素であるカルシウムも含まれる。とくにキャベツはビタミンCやビタミンKをあわせてとれるため、骨を丈夫にする効果が見込めると考えられている。また、カルシウムには血液の凝固を促して出血を予防する働きもある。
ちなみにカルシウムは、外側の葉と芯の近くにとくに多く含まれている。キャベツはそのほかにも、リン・カリウム・マグネシウムなどのミネラル分を多く含むため、身体を助けるさまざまな作用が期待できる(※6)。

カリウム

キャベツは100g中に約200mgのカリウムも含んでいる。カリウムは体内の浸透圧を調整する作用などがあり、人にとって不可欠な栄養素のひとつである。もしカリウムが不足すると、食欲不振や脱力感などといった症状が出る場合もあるとされている(※7)。

葉酸

キャベツは葉酸も含んでおり、その量は100gあたり約80μgとなっている。葉酸は主に植物の葉っぱなどに含まれる栄養素で、赤血球を作るのが特徴だ。そのほかにも細胞の生産を助ける働きなどもあるため、妊娠中に欠かせない栄養素としても知られている(※8)。

イソチオシアネート

キャベツに含まれる栄養素でもうひとつ注目したいのが、イソチオシアネートである。イソチオシアネートは、キャベツなどのアブラナ科野菜に含まれる辛味成分で、発がん物質の排出を高める働きが期待できるとして注目されている栄養素だ(※9)。アメリカ国立がん研究所が発表した「がん予防に有効な成分を含む食品」では、キャベツなどアブラナ科野菜が上位に位置付けられている。

2. キャベツは芯も栄養豊富?

キャベツの芯には栄養がない、と考えている人もいるのではないだろうか。実はキャベツは葉の部分だけでなく、芯も栄養価が高いのが特徴だ。キャベツの芯はカルシウムやカリウム、マグネシウムといった栄養素を多く含み、その量は内側の葉の約2倍とされている。
しかも、実は芯のほうが葉の部分より甘みがある。さらに食物繊維も豊富なため、シャキシャキとした食感や歯ごたえが楽しめるのも魅力だ。キャベツの芯は硬いからと捨ててしまいがちだが、スープに使うなどして、ぜひ芯も上手に利用していただきたい。

3. キャベツの栄養素は加熱すると変化する?

キャベツは、煮たり焼いたり生で食べたりと、いろいろな調理の仕方があるのが魅力だ。しかしより効率的にキャベツの栄養を摂取するには、調理するうえで気を付けておきたいポイントがいくつかある。

茹でる場合

キャベツを茹でる場合に気を付けたいのが、ビタミンの流出だ。キャベツに含まれる栄養のうち、ビタミンBやビタミンCなどは水溶性なので、茹でると水に溶けてしまう性質がある。
そのためキャベツを茹でる場合は、溶け出た栄養も余さず食べられるスープ料理などがおすすめだ。なおキャベツのみを調理したい場合は、キャベツを切ってから茹でるのではなく、茹でてから切るといいだろう。水溶性ビタミンは主に切り口から水に溶け出すため、あとから切ることで水溶性ビタミンの流出を抑えられるからである。

炒める場合

キャベツを炒める場合は、野菜炒めなどにして、油と一緒に食べるといいだろう。そうすることで、ビタミンAやビタミンDといった脂溶性ビタミンをより効率的に摂取することができる。ただし、キャベツに含まれるビタミンUは熱に弱いため、炒める場合は短時間で調理するのがポイントだ。

生食がベスト!

上でも説明したとおり、キャベツはビタミンUをはじめ、加熱に弱い栄養素も含んでいる。これらの栄養を無駄なく摂取するには、生食がおすすめだ。また、イソチオシアネートを効率よく摂取するには、キャベツをより細かく切り刻むといいだろう。なぜなら、切り口から出てくる配糖体という成分が酵素と触れ合うことで、イソチオシアネートになるからである。
これらのことから、キャベツの栄養素をより効果的に摂取するには、千切りがベストといえるだろう。ただし生のままでは食べられる量も限られるため、千切りしたうえで軽く蒸すかさっと炒めるのもおすすめだ。

4. 千切りキャベツは水にさらすと栄養が減る?

千切りキャベツがいいことはわかったが、「つけあわせのキャベツに栄養はあるのか」という疑念をまだ取り払えない人もいるだろう。そのカギは、実はあのパリッとした食感の出し方にある。
基本的にキャベツは千切りにしたあと、パリッとした食感を出すために水にさらされることが多い。キャベツを刻むと切り口からは水分が飛んでしまうが、水にさらすことで、キャベツに水分が補われるからである。冷水にさらせば低温でしまるので、さらにパリッとした食感が生まれる。
ところが上でも説明したとおり、キャベツの代表的な栄養成分はビタミンUやビタミンC、カリウムなど、水に溶けやすい性質をもつものが多い。そのため、あまり長時間水にさらすのは避けたいところだ。
美味しさを重視して短時間冷水でしめてもいいが、それ以外に食感を生み出す方法として、繊維を断ち切ることをおすすめする。キャベツの繊維を断ち切る方向にカットすることで、食べやすい歯ごたえになるのだ。この方法ならキャベツの栄養を損なわずに済むだけでなく、イソチオシアネートを活性化させる点でも理にかなっている。

5. キャベツの保存方法

栄養豊富なキャベツだが、1玉買ってもなかなか食べきれないケースも少なくないだろう。しかしキャベツを保存していると、すぐに切り口が黒ずんでしまったり水気がなくなってしまったりすることもある。そのような場合は、保存方法に問題がある可能性が高い。そこで、まるごと・カット・千切りに分けて、キャベツの保存法や保存期間の目安も紹介しよう。

キャベツをまるごと保存する方法

キャベツを1玉まるごと保存する場合は、芯をくり抜く方法がいいだろう。芯が残っているとキャベツが成長し続け、葉の栄養が失われてしまうためだ。

1玉まるごと保存する方法

  • 包丁やティースプーンなどで芯をくり抜く
  • 水に濡らして丸めたキッチンペーパーを、くり抜いた部分に詰める
  • 同じく水に濡らした新聞紙でキャベツを包む
  • ポリ袋に入れて口を軽く閉じる(呼吸ができなくなるので密閉しない)
  • 芯があった部分を下にして野菜室に入れる
  • 定期的にキッチンペーパーを交換する

保存期間の目安

上記の手順を踏んで野菜室で保存する際は、2週間〜長くても1ヶ月を目安に使い切ろう。なお、冬場など気温が低い時期(目安として5℃以下)であれば、常温保存も可能だ。ただしその場合は保存期間が若干短くなる。1〜2週間を目安に使い切ろう。

使うときは葉を1枚ずつはがす

包丁で真ん中からザクッと真っ二つにしてしまうと、切り口が酸化して黒ずんだり、水分が抜けたりしてしまう。外側から葉を1枚ずつはがして使おう。

カット済みのキャベツを保存する方法

半分や1/4サイズなどにカット済みのキャベツを保存する場合も、まずは芯を切り落としておくことが大切だ。以下の手順で行おう。

カットしたキャベツを保存する方法

  • 包丁で芯を切り落とす
  • 水に濡らしたキッチンペーパーでキャベツを包む
  • ポリ袋に入れて口を軽く閉じる(密閉はしない)
  • 可能であれば切り口があった面を下にして、野菜室に入れる

保存期間の目安

すでにカット済みということで、切り口が酸化したり水分が抜けたりし始めている。そのためまるごと保存するときと比べると保存期間は短くなるので覚えておこう。おおよそ3〜5日程度が目安になる。

千切りにしたキャベツを保存する方法

続いて、千切りキャベツの保存方法を見ていこう。カットしたものよりも断面が多いため、酸化や乾燥しやすいのが千切りキャベツだ。保存期間もさらに短くなるので覚えておこう。

千切りキャベツの保存方法

  • 保存用の容器に入れる
  • たっぷり水を注ぐ
  • 野菜室で保存する
この方法なら酸化や乾燥はある程度遅らせることができるが、キャベツの栄養が水に溶け出してしまうという欠点がある。その日のうちに食卓へ出すのであればこの方法で構わないが、そうでない千切りキャベツは、後述する冷凍保存をおすすめする。

保存期間の目安

できる限りその日のうちに使い切ることが望ましいが、難しいときは2日以内に消費しよう。

キャベツは冷凍保存も可能!方法や期間は?

最後にキャベツを冷凍保存する方法も紹介する。上でもお伝えしたように、千切りキャベツはとくに冷凍保存をおすすめする。

キャベツを冷凍保存する方法

まずは、キャベツを洗って千切りや1口サイズのざく切りなどにカットしよう。水気をしっかり切ったら、チャック付きの冷凍用保存袋に素早く入れ、できる限り空気を抜く。なるべく薄く平らにした状態でアルミトレイなどにのせて、急速冷凍モードで冷凍する。急速冷凍モードがない場合は保冷剤で挟むなど、できるだけスピーディーに冷凍させられるような工夫をしよう。

保存期間の目安

千切りキャベツでも2週間〜最長1ヶ月くらいは保存可能だ。すぐに使い切れないことがわかっているときは、最初から冷凍保存するとよいだろう。

冷凍保存したキャベツの使い方

千切りキャベツは自然解凍させて、水分を少しだけ残すように意識して絞ろう。まるで塩もみでもしたかのような状態になる。塩分を控えめにできるうえ、ドレッシングがよくしみわたるはずだ。一方、ざく切りキャベツの場合はザルに入れて、流水でじっくり解凍しよう。

結論

キャベツはビタミンやカリウム、イソチオシアネートなど、さまざまな栄養を含んだ野菜である。しかも芯まで無駄なく食べられるので、ぜひ調理方法や保存方法を工夫して、その豊富な栄養を余すところなく利用してみていただきたい。
(参考文献)
※1 文部科学省「食品成分データベース」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06061_7

※2 独立行政法人農畜産業振興機構「野菜ブック」
https://www.alic.go.jp/content/001162824.pdf

※3 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

※4 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail17.html

※5 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

※6 厚生労働省「e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html

※7 厚生労働省「e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html

※8 公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-yousan-biotin.html

※9 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ「アブラナ科野菜と肺がんとの関連について」
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/7885.html
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  • 公開日:

    2017年1月20日

  • 更新日:

    2021年7月16日

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