1. ナンプラーとは?

ナンプラー(nam pla)とは、タイで作られている魚醤(うおしょう)のことである。カタクチイワシなどの小魚を塩漬・発酵・熟成させて作っており、透き通った琥珀色の見た目のほか、生臭さや塩辛さなどが特徴である。また、ナンプラーには一級品・二級品・三級品というランクがあり、一級品と二級品はつけ汁として、三級品は料理に加えて使う。食塩の代わりとして使われることが多い。
ナンプラーの名前の由来
ナンプラー(nam pla)は、タイ語で水や液体を意味する「ナム」と、魚を意味する「プラー」が合わさったものとされている。語源は中国語で魚醤を表す「魚露(ユイルー)」であり、これをタイ語で直訳して「ナンプラー」と呼ばれるようになったそうだ。
ナンプラーの誕生と歴史
ナンプラーはタイを代表する調味料ではあるが、実は誕生したのは比較的最近のことだ。東南アジアの魚醤を調べた資料によると(※1)、1922年頃にタイで売られ始めたという。それからナンプラーはタイ国内で爆発的に使われるようになり、タイを代表する調味料になったそうだ。事実、同資料でも「タイ人は、調味料の中でナンプラーに多くのお金をかけている」と記している。
2. ナンプラーの特徴や魅力とは?

ナンプラーはタイの調味料というイメージはあるものの、どのような特徴があるのか具体的にイメージできない人も少なくないだろう。そこでナンプラーの特徴や魅力についても確認しておこう。
特徴1.塩気とうま味が強い
日本では醤油と同じ感覚で使われることの多いナンプラーだが、塩分濃度は醤油が16~18%であるのに対して(※2)、ナンプラーは21~23%程度となっている。そのため、普段使っている醤油よりは、塩辛い味わいとなっている。また、小魚が持つたんぱく質がアミノ酸に分解されて、「グルタミン酸」といううまみ成分が出るため非常に強いうま味も感じられるのが特徴である。
特徴2.特有の生臭さがある
ナンプラーは小魚を発酵させて作っているため、独特な生臭さがある。この臭いが東南アジアらしい料理に繋がっているが、中には臭いが強すぎて苦手という人も少なくない。商品によって生臭さが強いもの、弱いものがあるため、初めて使うときには商品のレビューなどを参考にするといいだろう。また、加熱調理すると香りが弱まるので、炒め物やスープなどに使ってみるのもおすすめだ。
3. ナンプラーの基本的な栄養価

ナンプラーは小魚由来のたんぱく質やカルシウムなどの栄養素を含んでいるが、塩漬けしているためナトリウムも大量に含んでいる。そんなナンプラーの100gあたりの栄養価を、文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」を参考にしながら確認していこう(※3)。
ナンプラー100gあたりの栄養価
- エネルギー:48kcal
- たんぱく質:9.1g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:2.7g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0g
・一価不飽和脂肪酸:0g
・多価不飽和脂肪酸:0g - ビタミン
・ビタミンA:0μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.01mg
・ビタミンB2:0.1mg
・ナイアシン:3.3mg
・ビタミンB6:0.1mg
・ビタミンB12:1.6μg
・葉酸:26μg
・パントテン酸:0.56mg
・ビオチン:7.9μg
・ビタミンC:0mg - ミネラル
・ナトリウム:9000mg
・カリウム:230mg
・カルシウム:20mg
・マグネシウム:90mg
・リン:57mg
・鉄:1.2mg
・亜鉛:0.7mg
・銅:0.03mg
・マンガン:0.03mg
・ヨウ素:27μg
・セレン:46μg
・クロム:5μg
・モリブデン:1μg - 食物繊維:0g
(・水溶性食物繊維:0g)
(・不溶性食物繊維:0g)
4. ナンプラーの基本的な使い方3種類

ナンプラーは定番のタイ料理以外にも、和食・洋食・中華料理などにも使うことが可能である。ここではさまざまある使い道の中から、ナンプラーの基本的な使い方を3種類紹介しておこう。
使い方1.本場タイ料理に使う
購入したナンプラーを使って、本場のタイ料理に挑戦するのはおすすめだ。ナンプラーを使ったタイ料理には、ガパオライス、トムヤムクン、パッタイ、タイスキ(タイ風すき焼き)、カレー(グリーンカレー・レッドカレー・イエローカレー)、ソムタム(青パパイヤのサラダ)などがある。このようにさまざまあるが、まずは日本でも人気のガパオライスなどに挑戦してみるといいだろう。
使い方2.炒め物の隠し味に使う
ナンプラーは通常の炒め物に使うことも可能だ。たっぷりと使って「ナンプラー炒め」にしてもいいし、慣れないうちは醤油の半量くらいを目安に隠し味として使うのがおすすめだ。塩や醤油とは異なるナンプラー特有の香りとうま味が加わるため、エスニックな料理を楽しめるようになる。また、慣れてきたら使う量を増やしてみて、より東南アジア感のある料理を楽しむようにしよう。
使い方3.スープの味付けに使う
ナンプラーは、スープや煮込み料理などに使うことも可能である。スープや煮込み料理などのように加熱調理することで、ナンプラーの独特な香りを弱めることもできる。また、ナンプラーの風味を楽しみたいというときには、たっぷりと使って「エスニック風スープ」を作るのもおすすめだ。トッピングにパクチーなどを乗せることで、より東南アジア料理っぽく仕上げることができる。
5. 市販のおすすめナンプラー3選

近年は、日本でもさまざまな種類のナンプラーが販売されている。ここでは数あるナンプラーの中から特に人気があるナンプラーを3種類紹介しておこう。
おすすめ品1.ユウキ食品「ナンプラー」
ナンプラーは、中華料理・エスニック料理の調味料を扱っているユウキ食品が販売している商品である。カタクチイワシを塩漬・発酵・熟成させて作ったナンプラーであり、スッキリとしたうま味と香りを楽しむことができる。日本人でも食べやすい味付けで、内容量は70gと少量からラインアップされているので、初めてナンプラーを試すという人にもおすすめとなっている。
おすすめ品2.丸美屋「魚醤(ナンプラー)」
魚醤(ナンプラー)は、加工食品や調味料などを扱っている丸美屋食品工業が販売しているナンプラーである。イワシに天然海塩を加えてから、自然発酵させて作っている。他のナンプラーに比べるとややナンプラー特有の香りが弱いのが特徴。そのため、ナンプラーのニオイが苦手な人にもオススメとなっている。タイ料理だけでなく、普段の料理の塩や醤油の代わりに使うことも可能だ。
おすすめ品3.ヤマモリ「ナンプラー」
ナンプラーは、調味料・レトルト食品・缶詰などの製造や販売を行っているヤマモリの商品である。カタクチイワシと食塩で作ったナンプラーであり、うま味が強くて、塩気や生臭さが少ないのが特徴となっている。また、密閉タイプのスクイズボトルに入っており、いつでも新鮮なナンプラーを楽しむことが可能だ。上質な味わいのナンプラーを楽しむことができる。
結論
日本でもおなじみの調味料になったナンプラーは、エスニック料理には欠かせないアイテムといえるだろう。また、エスニック料理以外にも和食・洋食・中華料理などにも使うことが可能だ。醤油や塩の代わりとして使うことで香りとうま味がアップするので、ぜひ購入したナンプラーをさまざまな料理に使ってみよう。
【参考文献】
- ※1:国立民族学博物館研究報告「東南アジアの魚醤 魚の発酵製品の研究5」
https://ci.nii.ac.jp/naid/110004728178 - ※2:しょうゆ情報センター「醤油を大きく分ければ5種類」
https://www.soysauce.or.jp/knowledge/kinds - ※3:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm
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