1. ヌクマムとは?

ベトナムの調味料
調味料の種類は多い。基本の"さしすせそ(砂糖・塩・酢・醤油・味噌)"だけでなく、みりんやコショウ、マヨネーズなど、いろいろな種類が存在する。日本料理によく使う調味料のほか、中華料理を作る家庭には甜麺醤や豆板醤、イタリア料理を作る家庭にはバルサミコ酢など、家庭でよく作る料理に必要な調味料が常備されているだろう。調味料は料理の味の決め手となる。国や地域によって料理の味付けが異なるのは多用する調味料が異なるためであり、調味料はその国や地域の料理の特徴を表す。今回のテーマはベトナムの"ヌクマム"。ベトナムではかなり頻繁に使う調味料である。
ナンプラーの仲間
ヌクマムは、タイ料理に使われる"ナンプラー"の仲間である。近年のタイ料理の人気とともにスーパーなどでも見かけるようになったナンプラーは魚や魚介類を原料とする"魚醤"だが、ヌクマムも同じく魚醤である。魚醤はアジアの国々で作られており、韓国の"エクチョッ"やマレーシアの"ブドゥ"なども魚醤にあたる。日本では大豆を原料とする醤油をよく使うが、秋田名物の"しょっつる"は魚醤である。日本料理に醤油が欠かせないのと同じく、ヌクマムはベトナム料理に欠かせない調味料。味付けだけでなく料理のタレとして使われる。
2. ヌクマムの原料や味は?

原料は小魚
ヌクマムはベトナム語で"Nuoc Mam"、水や液体を意味する"Nuoc"と発酵食品を意味する"Mam"を組み合わせた言葉である。ヌクマムの主な原料は小魚。イワシやムロアジといった魚を塩とともに樽などに入れ、半年から1年間熟成させて作る。以前はヌクマムを手作りする家庭もあったが、近年では食品メーカーによって製造されたものを使う家庭が圧倒的に多い。ベトナム国内では様々なメーカーがヌクマムを製造・販売しており、種類も豊富。ヌクマムに含まれる窒素量によって旨味度数が表示されており、一般的なものは35〜40°N。数値が低いものは加熱調理に適し、高いものは加熱料理はもちろん、そのままつけダレとして使うこともできる。
特徴的な香り
醤油の味をイメージしてヌクマムを口にすると、ほとんどの人が驚くはずだ。ナンプラーを使ったことのある人ならわかると思うが、醤油と魚醤には大きな違いがあるからだ。大豆を原料とする醤油は、色は濃いが香りはあっさりとしている。一方の魚醤は、液体の色は薄いが香りが強い。しかも、魚介類を原料とするため生臭いのだ。ヌクマムの味は塩辛く、この味に驚くことはないが、香りはかなり特徴的である。先にヌクマムは窒素量によって旨味度数が表示されていると解説したが、一般的に、この数値が低いほど臭みが強くなる。ちなみに、この香りは調理によって気にならなくなる。
3. ヌクマムはどう使う?

「食材が何もなくとも、ご飯とヌクマムさえあれば何とかなる」と言われるほど、ベトナム人の食生活に欠かせないヌクマム。ベトナム国内で1年間に消費される量は2億リットル以上とも言われており、我々日本人にとっての醤油と同様に幅広く料理に使われる。では、ヌクマムの使い道を見てみよう。
・手羽先の唐揚げ
ヌクマムと砂糖を加熱して作ったタレに素揚げした手羽先を絡める。食事にもつまみにも最高の一品。
・バインクオン
うるち米から作るライスペーパー。ひき肉やエビ、野菜などを巻き、ヌクマムをつけて食べる。
・豚肉のヌクマム煮
じっくりと煮た豚肉をヌクマムと砂糖で甘く味付けするベトナムの定番家庭料理。
・ヌクチャム
にんにくと唐辛子をヌクマムに漬け、砂糖やライムなどを加えた調味料。
この他にも、炒めた肉や野菜の味付け、煮魚、生春巻きのタレなど、ヌクマムの使い道は幅広い。
ちなみに、ヌクマムはベトナム語で"Nuoc Mam"と書くが、発音のカタカナ表記が難しく、ヌクマム、ヌクナム、ニョクマム、
ニョックマム、ヌックマム、ヌクマムなど様々な方法で呼ばれる。レシピや通販などヌクマムについてリサーチする際には、様々な呼び名で検索することでより多くの情報を得ることができる。
この他にも、炒めた肉や野菜の味付け、煮魚、生春巻きのタレなど、ヌクマムの使い道は幅広い。
ちなみに、ヌクマムはベトナム語で"Nuoc Mam"と書くが、発音のカタカナ表記が難しく、ヌクマム、ヌクナム、ニョクマム、
ニョックマム、ヌックマム、ヌクマムなど様々な方法で呼ばれる。レシピや通販などヌクマムについてリサーチする際には、様々な呼び名で検索することでより多くの情報を得ることができる。
結論
あっさりとしたくせのない味付けが特徴のベトナム料理。日本では"ベトナム料理=フォー"というイメージが強いが、主食は米であり、ヌクマムで味付けした美味しい料理がたくさんある。機会があれば、是非食してみよう。