目次
1. 日本三大珍味とは?

珍味とは、その地域ならではという珍しい食材、なかなか味わえない貴重な食材などのことだ。まずは、日本人ならぜひ知っておきたい日本三大珍味から紹介していこう。
日本三大珍味は「うに」「このわた」「からすみ」
諸説あるのだが、農林水産省のホームページを見てみると、日本では江戸時代から越前のうに、愛知県(三河)のこのわた、長崎のからすみを日本三大珍味と呼んでいたようだ(※1)。それぞれ、詳しく解説していく。
2. 【日本三大珍味その1】うに

鮮やかなオレンジ色をした濃厚なうには、寿司屋でも高級食材として有名だ。日本三大珍味ということに異論がある方は少ないのではないだろうか。
生ではなく「塩うに」を指す
一般的に、うにというと寿司のネタにもなっている生うにを想像するかもしれないが、日本三大珍味におけるうには、卵巣や精巣に塩を混ぜ合わせてペースト状にした「塩うに」のことだ。「うに塩辛」などと呼ばれることもある。「越前うに」が有名なことからも分かるように、名産地は越後国(現在の北陸地方)だ。
そのまま味わうのがおすすめ
「塩」と聞くとしょっぱそうなイメージがあるが、実は塩が余分な水分や臭みを取り除いてくれるため、生のうによりも食べやすく味も濃厚なのである。そのまま食べてじっくり味わうのもよし、ホカホカのご飯にのせるのもよし、おにぎりやパスタに使ってもよしと、使い勝手のよい食材だ。
3. 【日本三大珍味その2】このわた

続いて紹介する日本三大珍味は 「このわた」だ。聞き慣れない方も多いだろう。いったいどんな食材なのか、なぜ日本三大珍味なのかを見ていこう。
正体は「ナマコ」のはらわた
ナマコは「こ」という異称を持つ。そのナマコの「腸(はらわた=内臓)」であるところから、このわたと呼ばれるようになったのだ。具体的には、ナマコの腸を塩漬けにして、熟成させたものを指す。ナマコ1匹につき腸1本しか取れないため非常に貴重なことから、日本三大珍味と称されるようになったようだ。能登や尾張、三河などのこのわたが、将軍家に献上されていたといわれている。
やはりそのまま食すのがおすすめ
こちらも塩漬けにしているので、そのまま味わうのがおすすめだ。酒の肴にピッタリなので、日本酒を飲みすぎないように気をつけよう。もちろん、ホカホカのご飯にのせて食べても美味しいし、イカや甘海老などと和えても美味しい。軽く叩きにしてからお椀に入れ、薄めの汁を注いで作るこのわた汁も絶品だ。
4. 【日本三大珍味その3】からすみ

日本三大珍味の最後に、からすみを紹介しよう。からすみはギリシャやトルコなどで造られ、安土桃山時代の1652年頃に、中国から長崎に伝えられたといわれている食材だ。
ボラの卵を塩漬けし乾燥させたもの
ボラとは、世界中の熱帯や温帯に広く分布するボラ目・ボラ科の大型の魚だ。からすみは、そのボラの卵を塩蔵して乾燥させたものである。形が唐(とう=当時の中国)の墨に似ているということで唐の墨、からすみと呼ばれるようになったといわれている。
アレンジの幅が広い食材
からすみは、塩うにやこのわたと比べるとクセが少ない。そのため、日本三大珍味を初めて食すという方はからすみからチャレンジしてみるのがおすすめだ。そのままスライスして食べてもよいし、大根などと一緒に食べても美味しい。いずれも酒の肴にピッタリだ。少し炙ると香ばしくなってより美味である。そのほか、チャーハンの具にしたりお茶漬けにしたり、すりおろしてパスタと和えたりなどアレンジの幅が広い食材でもある。
5. 【世界三大珍味その1】トリュフ

ここからは世界三大珍味を紹介する。まずはトリュフからだ。黒いダイヤと称される一般的な黒トリュフはフランス産である。一方、より希少な白トリュフはイタリア産が多く、ピンポン玉サイズで数万円の値が付くこともある。
香りも見た目も強烈なきのこ
トリュフは子嚢菌類(しのうきんるい)・セイヨウショウロ目のきのこだ。楢や樫の林に自生するが、地中に埋まっているため訓練された犬に嗅がせて掘り起こす必要がある。その探し難さから希少で高価な物だったが、最近では養殖も行われている。料理に使う量はアクセント程度なので、元々大量に食べるような物ではない。
味ではなく香りに価値がある
トリュフ自体は食感の良い無味のきので、その価値は味ではなく独特な香りとされる。どれほど独特で強烈かというと、ガソリンやガス漏れに例えられる程だ。実は、西欧人と日本人には好みの香りに違いがある。日本人が良いと思う松茸の香りは、西欧人には悪臭なのだそう。このため、世界では三大珍味と称されるトリュフの香りも、日本人が嗅ぐと西欧人のように「この世の物とは思えないかぐわしさ」には感じないかもしれない。
6. 【世界三大珍味その2】フォアグラ

日本人にとってもっとも美味しく感じられる世界三大珍味は、王族貴族の大好物・フォアグラかもしれない。食べごたえがあり、フランス料理として口にする機会が多い食材だ。
ガチョウ・アヒルの肝臓
フォアグラは肉ではなくホルモンに分類される。フランスの伝統的な食材で、アヒルやガチョウなど渡り鳥の「肥大した肝臓」だ。渡り鳥は長期間の飛行に備えて肝臓に栄養分を蓄える性質を持っている。これを利用してエサを大量に与えて太らせ、美味しくなった肝臓を食材とするのだ。イタリア人作曲家のロッシーニも愛したというその味は、ソテーする際にバター要らずの濃厚さである。コッテリ好きにはたまらないが、胃が弱い人は胸焼けする可能性がある。
飼育方法が問題視されることも
理想的な飼育方法は1年ほど放牧して、ストレスが最小限になるよう数秒の給餌で終わるスタイルだ。しかし安価なフォアグラは、狭い飼育箱で無理やりエサを与え続け約2週間で出荷することもある。確かに美味しい食材だが、いくら三大珍味とはいえその飼育方法は世界的に問題視されており、輸入禁止国すらある。ストレスはフォアグラの味にも影響するようなのだが、消費者側から生産方法を知ることは難しい。
7. 【世界三大珍味その3】キャビア

最後に紹介する世界三大珍味は、海の宝石キャビアだ。ロシアではいくらのことをキャビアと呼び、キャビアのことを「チュールナヤ・イクラー」と呼ぶのだそうだ。どちらも魚卵のことである。
ロシア名産チョウザメの卵
新鮮なチョウザメの卵を塩漬けにしたものがキャビアだ。チョウザメは何種類か存在し、それぞれ生む卵の大きさが違う。キャビアが高価な理由は、乱獲しすぎて天然のチョウザメが希少になったことや、養殖が難しく卵を宿すまで7~10年もかかることが挙げられる。さらに雄か雌か分かりづらく、いざ育てて雄だった場合は今までの苦労が水の泡になる。餌代がかかることもある。これではキャビアが高級なのも当然だ。
しょっぱい理由
原産国のキャビアは塩分濃度が低いため、チョウザメの卵本来の美味しさを味わえる。ところが輸出品は保存性を高めるため、塩分濃度を限界値まで上げる必要がある。これではせっかくの味わいどころか、しょっぱさが際立ってしまうわけだ。生ものを海外輸出しようとしたら、山のような塩に浸けなければならない。日本で口にするキャビアは本来の味ではないと思っておこう。
結論
日本と世界、それぞれの三大珍味を紹介してきた。ただし、三大珍味には諸説あるうえ「珍味」と呼ばれる食材はまだまだ世界中にたくさんある。これに限らず、機会があればぜひ一度、その地域の珍味を味わってみるとよいだろう。
(参考文献)
※1:日本三大珍味といわれている「うに」、「このわた」、「からすみ」について教えてください。:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1601/01.html#:~:text=%E5%9B%9E%E7%AD%94,%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
※1:日本三大珍味といわれている「うに」、「このわた」、「からすみ」について教えてください。:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1601/01.html#:~:text=%E5%9B%9E%E7%AD%94,%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82