目次
1. フォアグラとは?

フォアグラ(Foie Gras)とは、ガチョウやアヒルの肥大した肝臓のことである。トリュフやキャビアと並ぶ「世界三大珍味」の一つであり、日本でも高級食材の一つとして知られている。ほどよい柔らかさと滑らかな舌触り、濃厚な味わいが特徴で、フランス料理ではソテーやテリーヌなどにして食べられることが多い。主な産地はフランスをはじめ、ブルガリアやハンガリーなどとなっている。
フォアグラの種類とは?
フォアグラには、大きく「ガチョウの肝臓(フォアグラ・オア)」と「アヒルの肝臓(フォアグラ・カナール)」の2種類がある。一般的にフォアグラ・オアは白っぽく、コーヒー豆のような見た目をしている。一方でフォアグラ・カナールはベージュのような色味で、長方形のような見た目をしていることが多い。また、基本的にはフォアグラ・オアのほうがフォアグラ・カナールより大きい。
2. フォアグラの主な栄養価と特徴的な栄養素

フォアグラはガチョウやアヒルの肝臓であるため、脂質が多くてカロリーが高い。また、ビタミンAやビタミンB群といったビタミン類も多く含んでいる。そんなフォアグラの主な栄養価と特徴的な栄養素を、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考に確認しよう(※1)。
フォアグラ(ゆで)100gあたりの栄養価
- エネルギー:470kcal
- たんぱく質:8.3g
- 脂質:49.9g
- 炭水化物:1.5g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:18.31g
・一価不飽和脂肪酸:27.44g
・多価不飽和脂肪酸:0.61g - ビタミン
・ビタミンA(レチノール):1000μg
・ビタミンD:0.9μg
・ビタミンE:0.3mg
・ビタミンK:6μg
・ビタミンB1:0.27mg
・ビタミンB2:0.81mg
・ナイアシン:2.4mg
・ビタミンB6:0.3mg
・ビタミンB12:7.6μg
・葉酸:220μg
・パントテン酸:4.38mg
・ビオチン:-
・ビタミンC:7mg - ミネラル
・ナトリウム:44mg
・カリウム:130mg
・カルシウム:3mg
・マグネシウム:10mg
・リン:150mg
・鉄:2.7mg
・亜鉛:1mg
・銅:1.85mg
・マンガン:0.05mg
・ヨウ素:-
・セレン:-
・クロム:-
・モリブデン:- - 食物繊維:0g
(・水溶性食物繊維:0g)
(・不溶性食物繊維:0g)
脂質とカロリーが非常に多い
脂肪の塊であるフォアグラは、100gあたり約50gの脂質を含んでいる。脂質は身体を動かすエネルギー源などになるものの、摂りすぎると肥満に繋がるリスクもある(※2)。また、脂質量が多いフォアグラのカロリーは、100gあたり470kcalと高くなっている。ために贅沢するくらいなら問題になる可能性は低いが、「脂質量が多くカロリーが高い」ということは覚えておくとよさそうだ。
ビタミンAやビタミンB群が豊富
フォアグラはビタミンAやビタミンB2、B12、葉酸、パントテン酸といったビタミン類を多く含んでいる。これらの栄養素についてはフォアグラを50g程度食べれば、1食分の目安量を満たすことが可能だ。ビタミン類は種類により異なる働きをするが、基本的には体内の機能を正常に維持する働きを担っている(※3)。なお、ビタミンD・E・K・Cは少ないので、別の食材で補う必要がある。
3. フォアグラの下処理のやり方

フォアグラを食べるときは、血管を抜いたり筋を取り除いたりする下処理・下ごしらえを丁寧に行う必要がある。そこで、フォアグラの基本的な下処理のやり方・手順を以下で紹介する。なお、以下で紹介している手順は、フォアグラをソテーなどに使うためのものである。
フォアグラの下処理・下ごしらえの手順
- 冷凍フォアグラは冷蔵庫で解凍しておく
- フォアグラを開き、つなぎ目部分の血管を切り離す
- 切り離した房を包丁で開きながら血管や筋を取り除く
※小さい房も同じように、包丁で開きながら取り除く - 血管や筋を取り除いたフォアグラを重ねて一つにする
- 食品用ラップで丁寧に細長い円筒形になるように包む
- フォアグラを1.5cm幅にカットしラップ取り除いたら完了
【フォアグラの下処理・下ごしらえのポイント】
- あらかじめ牛乳などに2時間程度浸けておくと臭みが和らぐ
- 血管や筋を気にしない場合は(2)の後にスライスしてもよい
- スライスするのが大変なら(5)の後に一度冷凍するとよい
4. フォアグラの美味しい食べ方

フランス料理では、フォアグラはソテー・グリルなどの焼き料理にされるほか、テリーヌやパテのようなペーストにされることも多い。そんなフォアグラの美味しい食べ方を2種類紹介しておこう。
食べ方1.フォアグラのソテー(Foie gras sauté)
ソテーとは少ない油で食材を炒める料理のことで、フォアグラ料理の定番である。油やバターを引いたフライパンでフォアグラをゆすりながら火を通していき、両面がきつね色になるまでこんがりと焼き上げる。それから大きめのお皿に盛り付けて、ベビーリーフ・ミニトマト・ソースなどで飾ればフォアグラのソテーの完成だ。見た目も華やかなので、お祝いの日などにはピッタリの一品である。
食べ方2.フォアグラのテリーヌ(Recette Terrine de foie gras)
テリーヌとはテリーヌ型を使ったペースト状の料理で、こちらもフォアグラ料理の定番といえる。現在はテリーヌ型を使わないものもあるが、基本は血抜きをしておいたフォアグラをテリーヌ型に詰め込んでオーブンで焼くというものだ。フォアグラだけでできているため、濃厚なコクと滑らかな舌触りを楽しむことができる。作るのに手間はかかるが、時間があるなら試してみたい一品といえる。
5. フォアグラを購入する主な方法

パテや缶詰などのフォアグラは輸入品を扱っているスーパーでも目にすることが多いが、高級食材であるフォアグラは普通のスーパーなどでは見かける機会が少ない。そのため、高級食材や輸入食材を扱っているデパート・百貨店、もしくはAmazonや楽天市場などのECモールで探してみよう。ECモールだと自分の目で見て確認はできないが、手軽に購入できるのでおすすめとなっている。
6. フォアグラに関するよくある質問

ここまでフォアグラについて詳しく解説してきた。しかし、中には「フォアグラの名前の由来とは何か」「フォアグラはいつから食べられているのか」などが気になる人もいるだろう。そこでフォアグラに関するよくある質問・疑問に回答する。
Q1.フォアグラの名前の由来とは?
フォアグラ(Foie Gras)をフランス語で直訳すると「肥大した肝臓」という意味になる。フランス語で「フォア(Foie)」は「肝臓(レバー)」を意味し、「グラ(Gras)」は「肥大した、脂肪分が多い」という意味がある。そのため、ガチョウの肥大した肝臓を指して「フォアグラ」と名付けられた。なお、アヒル(鴨)のフォアグラの場合は「Foie Gras de Canard」と呼び分けることもある。
Q2.フォアグラの誕生と歴史とは?
フォアグラの歴史は古く、ルーツは紀元前2500年ごろの古代エジプトまで遡るとされている。古代エジプト人は野生のガチョウの肝臓が美味しいことを知り、それがきっかけで飼育(肥育)することが始まったと考えられている。現在ではフランスでの消費量が世界中でも圧倒的に多い。ただし、その生産量はフランス国内では補いきれず、ブルガリアやハンガリーなどから輸入しているという。
結論
ガチョウやアヒルの肝臓であるフォアグラは世界三大珍味の一つであり、特にフランス料理には欠かすことができない食材である。高級食材であるため中々目にすることは少ないが、最近はAmazonや楽天市場で購入することも可能だ。もし新鮮な生フォアグラが手に入ったら、ソテーやテリーヌなどにして美味しく食べてみよう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf - ※3:厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html