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「フレンチはぬるい」が基本!?その理由とは?

「フレンチはぬるい」が基本!?その理由とは?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 渡邉里英(わたなべりえ)

鉛筆アイコン 2021年5月21日

フランス料理のフルコースにはぬるい料理が多いと感じることもある。それには、日本人特有の文化や欧米人との違いがあった。料理小噺の一つとして、フランス料理の歴史やフルコースの構成の意味について触れ、フランス料理がぬるい理由について探る。

  

1. フランス料理の歴史

フランス料理は、イタリア料理の影響を受けながら、フランス王国の宮廷料理として発展した。もともと洗練されていたイタリア料理の料理人を連れて、当時のフランス王であるアンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスがその流れを作ったとされている。

これまでは手づかみであった食事作法に、ナイフとフォークを取り入れたり、高度に発達したソースを用いたりすることで、今日のフランス料理の礎を築いていった。

ハプスブルク家の興隆に伴って、ロシアやドイツなどの宮廷にも広まったが、すぐに料理の冷める寒冷なロシアで工夫された「ロシア式」のサーブ方式は、フランスにも逆輸入されることとなった。もともと食卓に全ての料理を一度に置いて食べていたのだが、前菜から順序立てて運ばせるという方式をとることとなったのが、現在のフランス料理の原型だ。

フランス革命以後、宮廷の職を失った料理人たちがパリをはじめとする市街でレストランを開き始めたことから、洗練されたフランス料理は庶民の口にも入るようになった。

宮廷料理に端を発しているため、格式高くマナーが重視される傾向にあるが、プロヴァンスやバスクの家庭料理などは一般的に親しまれている。

2. フルコースの料理の意味

(1) アミューズブーシュ:食前酒とともに供され、「つまみ」や「突き出し」、「お通し」として、これから始まる食事の準備をさせるはたらきをもつ。シェフの独断によって、内容が自由に決められるのがオードブルとの違いだ。
(2) オードブル:量は少なく、塩味や酸味がやや強めな色鮮やかな料理で食欲を駆り立てる。何品か出される場合には冷たいものから温かいものに向かって食す。
(3) スープ:コンソメやブイヨンの澄んだものやクリーミーなポタージュタイプが多い。食べやすいスープからメインコースが始まる。
(4) 魚料理「ポワソン」:脂身の多い肉料理に比べて、消化しやすく味も淡白なものが多いため、肉料理よりも先に出される。
(5) ソルベ:肉料理に入る前に、さっぱりと甘くて冷たいシャーベットを食べ、魚料理の「口直し」をする。
(6) 肉料理「ヴィアンド」:家畜・家禽肉やジビエがメインとして料理される。
(7) サラダ:サラダは、血液をアルカリ性にし、肉料理と中和させる働きがあるとされる。
(8) チーズ「フロマージュ」:チーズには二日酔いを緩和する働きがあるとされ、ワインとの相性を求められる。メイン料理とデザートをつなぐ橋渡しとしての役割をもつ。
(9) デザート「デセール」:「皿や料理を片づける」が語源であり、メインがきれいに片づけられた後、デザート専用のカトラリーがセットされる。デザートの前に「アヴァン・デセール」とよばれる小菓子が出されることもある。
(10) コーヒーと小菓子「カフェ・ブティフール」:消化促進と食事の終了を示す。「プティフール」と呼ばれる小さな洋菓子(お茶うけ)でフルコースは締めくくられる。

3. フランス料理はぬるいのが普通?

日本では、「熱いものは熱く、冷たいものは冷たくして供する」ことが料理の基本であるが、フランスをはじめとする多くの国ではそうでないことも。
熱々を好む日本人にとって、フランス料理が「ぬるく」感じられるには、いくつかの理由が考えられる。
食材の本来の味や香りを保つため:特にフランス料理では、食材がもつ本来の味わいを活かすために、ぬるめの温度で料理を出す配慮をする事も多いという。食材の成分を熱変化させないようにし、食味や香りを保つように気をつけて温度管理しながら調理しているといったところであろうか。
フランス人は口の中が敏感:フランス人は熱い食べ物が苦手であり、苦味や辛味にも弱いということもいわれている。フランス料理は、日本人から見て「猫舌」であるフランス人が好む温度で供されるため、料理が「ぬるい」と感じてしまうのかもしれない。
宮廷料理は食べるまでに冷めていた:フランス料理は宮廷料理の流れを汲んでいることは、前述したとおりである。広い宮殿において、調理室で作られた料理が食堂に運ばれるまでには時間がかかり、食べるまでに冷めてしまう。熱々ではなく、やや冷めている状態の料理が「食べごろ」となっていったという説がある。
このような理由から、一般的な日本人にとってフランス料理はぬるいと感じられるのかもしれない。

結論

フランス料理には、日本人特有の「熱いものは熱く、冷たいものは冷たくして供する」という価値観とは別の感覚でおいしさを追求している一面がある。フランス料理誕生の歴史的背景なども、フランス料理がぬるく感じる要因となっているのかもしれない。
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  • 公開日:

    2018年2月 5日

  • 更新日:

    2021年5月21日

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