【ドリアン】の特徴と栄養。おすすめの食べ方も紹介

ドリアンの原産地は東南アジアのマレーシアやインドネシアのボルネオ島とされている。現在でも主に東南アジアで栽培されている希少な果物だ。現地では4月の中旬から7月頃に旬のピークを迎え、日本にも出荷されているため手に入れることはできる。
その昔、ドリアンの類まれなるおいしさと高い栄養価を持つことから、国王が好んで食していたため、「王の果実」と呼ばれるようになったという。他にも、「果実の王様」「悪魔の果物」「禁断の果物」など、数々の異名をもつ。
ホテルやバスなど多くの公共の場への持ち込みが禁止されているほど強烈なにおいをもつ果物としても知られているが、品種改良を重ねてそれほどにおわないものも出回るようになった。
果実は1～5㎏ぐらいの重量で子どもの頭ほどの大きさに生長する。非常にかたい殻と複数のトゲ（マレー語で「ｄｕｒｉ：ドリ」）をもち、中は5つほどの房に分かれて淡黄色の果肉がある。果肉の中にはかたい種子が入っている。果肉は甘味のあるねっとりとしたカスタードクリーム状の舌触りで、独特の香りと濃厚な風味をもつが、その味を唯一無二のおいしさと表現する人もいるくらいだ。「ドリアン中毒」と呼ばれるほどの愛好家もいる。熟すと10～30ｍほどの高さのある木から実が落ちるのだが、熟して自然落下したものが最高においしいとされている。

ドリアンは熟してくると殻に亀裂が入ってくるのだが、通常は、なたなどを使って縦に固い殻を割り、果肉部分を露出させる。
丸のままのドリアンが手に入れば家でカットすることになるので、その方法を解説しよう。
1. 前述したようにドリアンは熟すとおしりの部分が5つに割れてくる。中の果肉部分を傷つけないように気をつけながら、その亀裂に沿って包丁を入れると切りやすい。
※ドリアンには硬く鋭いトゲがあるので手やテーブルが傷つかないように注意が必要。切るときには軍手をはめ、ドリアンの下にはタオルなどを敷くようにしよう。
2. ドリアンの果肉は、たいていは白い膜につつまれた5つの房に分かれている。白い膜を取り除いて果肉を出す。
3.果肉は種を巻き込んでいるので、そのまま食べてもよいが、食べやすくするためには果肉を2つに切り、中の種を取り出す。
4.さらに果肉を小さくカットする。ドリアンの皮を器にして盛りつけると雰囲気が出る。
熟す前のドリアンはおいしくないので、熟すまで常温においておき、おしりの部分に亀裂が入ってくる食べごろを見極めよう。
カットした果肉はラップで包んで冷蔵庫で数日間保存できるが、冷凍もできるので、長期保存したい場合はカットしてから冷凍庫に入れるようにしよう。

ドリアンはとても栄養価が高いことでも知られている。
カリウム、リン、鉄分、カルシウム等といったミネラル分が豊富で、糖質をエネルギーに変換するときに必要なビタミンB1は果物中でトップクラス。疲労回復効果や細胞の再生を促進する働きも強いとされ、強精効果があると言われている。
そんな栄養価が高く滋養があるドリアンだが、食べすぎると発熱してしまいかえって体調を悪くすることもあるという。一説には、ドリアンの食べ過ぎで命を落とす人が毎年いるとか・・・。
東南アジアでは、「ドリアンとアルコールは食べ合わせが悪い」と昔から言い伝えられ、最悪の場合死に至るとまで言われている。ドリアンとアルコールの組み合わせで死に至ったという科学的根拠はないようだが、実際に消化不良や違和感、具合が悪くなることはあるのだという。「ドリアンはお酒と一緒に食べないで下さい」という注意書きを目にすることもある。
胃腸内で異常発酵が起こることで、のぼせや発熱などの症状を経験する人も多いため、地元の人はドリアンを食べ過ぎないように注意しているという。どんなにおいしくても毎日食べるようなことはしないそうだ。
ドリアンを食べると体に熱がこもったようになるようなことがあるといわれるが、逆にドリアンの種や皮には体を冷やす働きがある成分が含まれているとされ、これらを浸した水を飲みながらドリアンを食べるようにすると発熱を防止できるという民間伝承のようなものもあるというが効果は定かではない。

ドリアンは他の食べ物では代用できないほどの個性を持っている。「ドリアンは3回食べると好きになる」と言われているように、1回食べて苦手だった人も、2回、3回と食べると好きになることも多いという。ドリアンには食べているうちに病みつきになる魅力があるようだ。